野菜と海藻(ワカメ・コンブ・のり) 放射能汚染調査の全記録「隠したがる」「減らしたがる」国より、環境NGOのほうが信用できる

2011年06月02日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「隠したがる」「(危険な数値を)減らしたがる」国とグリーンピース、どちらが信用できるか、もはや比較するまでもないだろう。

 グリーンピースはこれまで空気、土壌、海水に加えて、野菜、海藻についても独自に放射能汚染調査を行い、その結果を公表している。その驚くべき数値を、ここにすべて記そう。

 まずは海藻。いずれも5月3日~9日の間に、福島県内の沿岸または沖合で獲れたものだ。

●久ノ浜港沿岸で採取したホソメコンブ=1万9000ベクレル/kg以上
●久ノ浜港沿岸で採取したフクロノリ=1万6000ベクレル/kg以上
●四倉港沿岸で採取したカヤモノリ=1万4000ベクレル/kg以上
●四倉港沿岸で採取したホソメコンブ=1万8000ベクレル/kg以上
●江名港沿岸で採取したアカモク(ホンダワラ科の海藻)=2万1000ベクレル/kg以上
●富神崎港南沿岸で採取したアカモク=2万3000ベクレル/kg以上
●福島第一原発の南東53km沖合で採取したアカモク=1万3000ベクレル/kg以上

 この値は放射性物質の総量を示している。放射性ヨウ素の基準値が2000ベクレル/kg、放射性セシウムの基準値が500/kgだから、いずれにしてもとんでもなく高い値だ。

 なぜ海藻を調べるのか。東京海洋大学名誉教授の水口憲哉氏が説明する。

「海に放出された放射性物質は、水より比重が大きいから、いずれは海底に堆積していきます。ですから、海底に棲息して動かない海藻類は放射能汚染の影響を受けやすいんです。本来、海藻を調べるのが汚染の実態を知るいちばん簡単な方法なんですが、政府は絶対に調べようとしない」

 グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長もこう首をかしげる。

「放射能汚染を調べる際の国のガイドラインに、コンブなどの海藻類を『指標生物として使う』と明記されています。政府だって、海藻が汚染のリトマス試験紙になると、本当はわかっているはずなんです。動き回る魚と違って、汚染のマッピングもできるわけですから。もっと言えば、まず海底の土を最初に調べるべきなのに、政府はそれすらやっていない」

水産学者も本籍は原子力村

 なぜ、政府は調べようとしないのか。ある海洋学者が匿名を条件に明かしたその理由に、また呆れる。

「省庁の縄張りを理由にしているんです。水産庁は漁業を管轄する省庁だから、『食用になる海産物を担当する』というタテマエがある。だから海底の土は、現状では文科省の担当になるんです。でも文科省は陸の調査で忙しい。普段は利権拡大に利用する縄張りを、今回は怠慢の言い訳に使っているわけです」

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