菅直人首相は2日、東日本大震災への対応に一定のめどをつけた時点で退陣する意向を表明した。野党が提出した内閣不信任決議案は否決されたが、採決を欠席した民主党の小沢一郎元代表らとの対立の火種が残った。調停役の鳩山由紀夫前首相は首相の月内の退陣に言及しており、退陣時期や「ポスト菅」を巡る党内抗争も激化する。不信任案否決の代償として発した退陣表明で政局の混乱はさらに続きそうだ。
首相は2日夜の記者会見で「東京電力福島第1原子力発電所の原子炉の冷温停止、放射性物質がほぼ無くなるまで全力を挙げる。当然の私の責任だ」と表明。政府が原発事故対応の工程表で来年1月としている原子力事故の収束時期まで退陣しない考えを示唆した。
首相は同日昼、不信任案採決前の民主党代議士会で「震災対応など一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継いでいただきたい」と表明。これに先立つ鳩山氏との会談では(1)復興基本法案の成立(2)今年度第2次補正予算の早期編成にめどをつける、と確認した。鳩山氏はこうした確認を退陣条件として代議士会で紹介。記者団にも「2次補正は6月いっぱいにめどが立つ。めどが立った時期に身を引いてほしい」と月内退陣の見通しを示していた。
これに対し首相は同日夜の記者会見で「確認書で書かれた以外の一切の約束はない」と指摘。鳩山前首相が示した2次補正の早期編成などは退陣条件にあたらないとの立場を鮮明にした。その上で今国会会期について「事実上の通年国会、12月のある時期までになろうと思う」と、大幅延長の意向も表明した。
同日採決した不信任案は賛成152、反対293、欠席・棄権は33だった。共産党は棄権、社民党は退席した。採決直前の首相の退陣表明で、民主党からの大量造反は回避されたが、党内からは元代表に近い松木謙公氏と、離党を表明していた横粂勝仁氏の2人が賛成。元代表とそのグループの議員、田中真紀子元外相ら15人が棄権した。
党執行部は造反を防ぐため、賛成票を投じた議員の除名などの方針を採決前に打ち出していた。岡田幹事長は採決終了後、賛成した2議員と党員資格停止処分中の元代表の除名を主張したが、輿石東参院議員会長が反発。結局、2日夜に開いた党常任幹事会では、賛成した2議員は除名、欠席・棄権者は元代表を含め改めて事情聴取をした上で後日、処分を判断すると決定した。
国会運営の見通しも立たない。自民党の谷垣禎一総裁は記者会見で、予算執行への影響が大きい赤字国債法案や2次補正予算案について、首相退陣後の次期政権で取り組むべきだとの考えを表明した。公明党の山口那津男代表も「辞めることを宣言した首相が責任を持って仕事をできるのか」と強調した。
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