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福島第1原発:茨城などの茶、出荷停止に

 政府は2日、食品衛生法の暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたとして、茨城県全域と神奈川、千葉、栃木県の一部地域で生産する茶の出荷停止を各県に指示した。原子力災害対策特別措置法に基づく茶の出荷停止措置は初めて。

 茶は、刈り取った生葉を乾燥させて荒茶にし、製茶して湯で抽出し飲料になるまでにセシウムの濃度が変わるため、どの段階で規制をかけるか政府内で調整を進めていた。

 今季の一番茶は既に大半が荒茶に加工済みで、厚生労働省は同日、各自治体に改めて荒茶での検査を要請した。これまで、荒茶での検査はほとんどの自治体で実施しておらず、既に規制値を超過した茶が出荷された可能性もある。厚労省は「規制値の超過が判明すれば、食品衛生法に基づき回収などの措置を取る」と話した。

 農水省などによると、お茶に含まれるセシウムは、生葉で1キロあたり500ベクレルの場合、乾燥させた荒茶は重量が約5分の1になり、相対的に1キロあたりの濃度は5倍の2500ベクレルに上がるが、湯で抽出した飲用茶では数十ベクレルにまで減る。

 農水省や産地の静岡県などは「荒茶は消費者が直接口にするものではない」として生葉での検査を求めていた。しかし、一部の荒茶が抹茶アイスなどの加工食品に使用されていることなどから荒茶や製茶も規制対象にした。

 農水省などによると、全国の荒茶の生産量は09年で約8万6000トンで、静岡と鹿児島の両県で全体の約7割を占める。出荷停止になった4県のシェアは合計1%未満。

 二番茶の収穫に向け準備を進めていた神奈川県小田原市の生産農家、田中康介さん(59)は「県の出荷自粛で一番茶は刈り捨てた。それでも二番茶が摘めれば、来年に向けて期待が持てると思っていたのに、見通しが真っ暗になった」と話した。

【佐々木洋、佐藤浩、澤晴夫】

 出荷停止指示が出た地域は次の通り。神奈川県=南足柄市、小田原市、愛川町、真鶴町、湯河原町、清川村▽千葉県=野田市、成田市、八街市、富里市、山武市、大網白里町▽栃木県=鹿沼市、大田原市

毎日新聞 2011年6月2日 21時05分(最終更新 6月2日 21時11分)

 

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