会見で暴行を認めたTARU選手(左)と同選手の無期限出場自粛を発表した全日本・内田雅之取締役=1日午後(撮影・江坂勇始)【フォト】
事故なのか、それとも事件なのか。全日本プロレスはこの日、都内の事務所で緊急会見を設定。内田雅之取締役(49)と会見場に姿をみせたTARU選手は、平井選手へ暴行を加えたことを認め、憔悴しきった表情で謝罪した。
「控室で数発、顔面を殴打した。結果的にこんなことになるとは…深く反省している」
TARU選手によると、試合会場となった神戸サンボーホールの控室で平井選手と口論となり、勢い余って顔面を殴ったという。そのとき控室にはTARU、平井両選手以外にも3人のレスラーがいたが、暴行に関与したかどうかについては全日本が調査中。TARU選手も、「興奮して何も覚えていない」と話すにとどめた。
その後、2人は和解しシングルマッチに出場した平井選手のセコンドはTARU選手が務めた。平井選手の体調が急変したのは試合後で、会見中におう吐し、救急車で神戸市内の病院へ運ばれ開頭手術を受けた。その後に「急性硬膜下血腫」と診断され、現在も予断を許さない状況が続く。
内田取締役によると、警察からの事情聴取の要請はまだないという。全日本は平井選手の病状回復を最優先にし、TARU選手も会見後に神戸へ向かい、平井選手の親族と今後について話し合った。刑事事件に発展した場合、「われわれの話ではなくなる」と司直の手に委ねる考えを示した。
「ご家族と関係者に迷惑をおかけし、反省している」。TARU選手は平井選手も所属していたヒール軍団「ブードゥー・マーダーズ」のリーダーとして活躍していた。06年8月の全日本・両国大会では、試合中に客席になだれ込み、観戦していた森喜朗元首相(73)の胸ぐらをつかんだこともあった。仲間への叱咤が、最悪の事態を招いた可能性もある。
(紙面から)