IAEA 問題点の詳細分析へ
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IAEA 問題点の詳細分析へ

6月1日 19時27分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

IAEA調査団の報告の概要は、およそ1週間にわたる調査で得られた事実関係を整理し、事故対応や津波に対する備えなど、一部について問題点などを指摘しています。しかし、詳細な分析はこれからで、今後、事故が起きた原因の背景にどのように迫り、教訓を導き出すのか、IAEAの真価が問われることになります。

報告の概要はA4判4枚にまとめられ、まず、福島第一原発の事故を巨大地震に伴う津波が原因だったとしました。そのうえで事故の背景として、津波の想定を過小評価していたと指摘し、原発の設計や運転をする際には、すべての自然災害の危険性を正しく評価し、対策を取るべきで、新たな知見が得られた場合は、評価を更新すべきだとしています。また、今回の津波では、冷却機能を維持するために重要な非常用発電機が水没して使えなくなっていたことなどから、報告では、電源を多重化したり発電機が水没したりしないよう対策を取るなど、重大な事故に対して複数の手段を事前に用意しておくべきだと指摘しています。さらに今回の事故で政府の中心として対応に当たっている経済産業省の原子力安全・保安院については、IAEAの安全基準に基づいて独立性を担保し、その役割が明確にされるべきだと指摘しました。この独立性については、IAEAが2007年に日本の原子力安全規制についてレビューした際の報告書でも指摘されていて、将来的に今よりもはっきりと独立性を持つべきで、原子力安全委員会との役割も明確にすべきだとしていました。ただ、今回の事故対応で独立性に問題があったかどうかは触れられていません。これについて調査団のウェイトマン団長は、報告を提出したあと、記者団の質問に答え、「IAEAの安全基準では、規制当局に独立性を求めている。単に明確化するだけでなく、体制・人・専門性でも独立性が必要になる。この原則に従って日本はさらに検討することが必要で、閣僚級会合でも取り上げられるテーマの1つとなると思う」と述べました。こうした問題点の指摘の一方で、現場での事故対応については、過酷な環境の中で、作業員たちが最大限の安全を確保しながら作業に当たっているとしたほか、住民の避難を含めた日本政府の国民を守るための対応はよく組織されているなどとして高く評価しています。IAEAでは、今回の事故の報告書を世界の原子力安全の教訓にしたい考えで、20日にウィーンで開かれるIAEAの閣僚級会合での発表に向けて、今回の調査結果を詳細に分析するとしています。今後、事故が起きた原因の背景にどのように迫り、教訓を導き出すのか、IAEAの真価が問われることになります。