暴力団「ヤンウニ派」組長、トロット歌手を脅迫

株式投資で損した知人の依頼を受け「正直に答えなければ殺す」

トロット歌手を脅迫した疑いで警察の捜査を受けている暴力団「ヤンウニ派」のチョ・ヤンウン組長が、1996年に原作を手掛け、主演も務めた映画『ボス』のワンシーン。
 1970年代から80年代にかけ全国を舞台に暗躍した暴力団「ヤンウニ派」のチョ・ヤンウン組長(61)が、知人の依頼を受け、大物トロット(韓国演歌)歌手のCさんを脅迫していた容疑が浮上し、警察の捜査を受けていることが分かった。

 ソウル竜山警察署は30日、チョ組長が知人K氏から依頼を受け、Cさんに対し「K氏が株式投資で被った損害を補償しろ」と脅迫したとして、近く逮捕状を請求する方針だ、と発表した。警察の関係者は「脅迫行為も請負による暴行容疑を適用できる」と話した。

 警察によると、チョ組長は2009年8月、K氏から「Cさんから紹介され株式投資を始めたが、30億ウォン(約2億2500万円)ほど損した。何とかしてほしい」と依頼され、Cさんを脅迫した疑いが持たれている。

 チョ組長は同年8月初め、組員4人と共に、Cさんをソウル市江南区ノンヒョン洞のホテルに呼び出し「子分に命じて足を切断させ、土に埋めてやろうと思ったが我慢した。おれの質問に正直に答えなければ殺すぞ」と脅したという。また同月半ばにも、2人の組員をCさんのもとに派遣し「おれたちはヤンウニ派の組員だ。兄貴(チョ組長)がお前を連れてこいと言っている」と脅したとのことだ。

 警察は昨年半ばからチョ組長に対する捜査に着手したが、犯行を認めた組員一人が供述を翻し、チョ組長が組織的に証拠の隠滅を図ったため、捜査は難航を極めた。だが最近、通話記録などの証拠を確保したという。

 チョ組長は1975年当時、ソウルで最大規模の暴力団だったシンサンサ派を奇襲攻撃した「明洞サボイホテル事件」を主導し、その後全国的に名をとどろかせたが、80年に暴力団結成容疑で逮捕・起訴され、15年間服役した。

 出所後の96年には、アクション映画『ボス』の主役を務めたが、同年に数億ウォン(1億ウォン=約750万円)相当のスキー会員権を脅し取ったとして2年間服役し、98年に出所した。その後は「信仰の道に進む」としてキリスト教の伝道師になったが、2007年には海外での賭博への関与や、『ボス』の版権を奪うために暴力を振るった容疑で逮捕され、1年6カ月間服役するなど、犯罪から足を洗うことはできなかった。チョ組長が服役した期間はおよそ19年4カ月に上る。

 警察の関係者は「ヤンウニ派は現在、組員が10人ほどしかいない小規模な組織で、名前だけが残っているような状態だ。チョ組長が今回また逮捕されれば、名前すらもなくなる可能性がある」と話した。

チェ・ヨンジン記者

チェ・インジュン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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