内閣不信任決議案で民主党内の駆け引きが激化する中、党執行部と小沢一郎元代表側は5月31日も中間派の激しい争奪戦を繰り広げていた。小沢元代表側は中間派議員に個別に接触するなど働きかけを強める一方、安住淳国対委員長も中間派が求める国会会期(会期末6月22日)の延長検討に言及するなど取り込みを図った。一方、自民党内では早期提出に慎重論も出た。【大場伸也、吉永康朗】
執行部側に近い新人衆院議員は31日、小沢元代表の側近の辻恵衆院議員から小沢グループの議員が集まる夜の会食への誘いを受けた。別の中間派の新人衆院議員も「元代表側から賛成してほしいと繰り返し、言われている」と打ち明けた。
一方、執行部側の安住氏は会期延長に言及した際、「(樽床伸二元国対委員長が主張する会期延長論と)考え方が合えばそれでいい」と語った。樽床氏は小沢元代表に近かったが現在は中間派で、樽床グループの取り込みを意識したためだ。樽床氏は同日夕、仙谷由人官房副長官と会談。小沢グループ幹部は「樽床グループからは不信任案賛成はゼロだ」と語った。中間派の旧民社グループも31日の会合で不信任案に反対する方針を確認した。
ただ、不信任案に賛成しないことを決めた中間派が無条件で菅直人首相を支持しているわけではない。「不信任案とは一線を画す」と語った原口一博前総務相は31日に国会内で開いた勉強会「日本維新の会」の設立総会で、政権の原発対応を「命を守ることができているのか。正しい情報を開示するべきだ」と批判、首相信任ではないとの心情を吐露した。
一方、31日の自民党代議士会では岩屋毅衆院議員が「拙速な提出には反対だ。復興基本法案の始末もついていないのに大義がない」と明言。同党幹部も「こんなときに自民党は何をしているんだと言われてしまう」とこぼした。
こうした声を押し切る形でベテラン議員が求める早期提出論に乗ったことは谷垣禎一総裁にとっても賭けで、否決された場合、党内外から批判を浴びる可能性もある。
対立はここから:民主代表選 2氏の推薦人(10年9月)
■菅氏推薦人■
<菅氏グループ> 土肥隆一(衆7)、岡本充功(衆3)、江田五月(参4)、岡崎トミ子(参3)、大河原雅子(参1)
<前原誠司国土交通相グループ> 前原誠司(衆6)、玄葉光一郎(衆6)、林久美子(参2)
<野田佳彦財務相グループ> 藤村修(衆6)、野田佳彦(衆5)、蓮舫(参2)
<鳩山由紀夫前首相グループ> 牧野聖修(衆4)
<旧社会党グループ> 鉢呂吉雄(衆7)
<羽田孜元首相グループ> 北沢俊美(参4)
<新人> 井戸正枝(衆)、金森正(衆)、山尾志桜里(衆)
<不明> 渡部恒三(衆14)、岡田克也(衆7)、中川正春(衆5)、長妻昭(衆4)、菊田真紀子(衆3)、藤田一枝(衆2)、白真勲(参2)、石井一(参1)
■小沢氏推薦人■ <小沢氏グループ> 笠浩史(衆3)、前田武志(参2)
<鳩山氏グループ> 海江田万里(衆5)、松野頼久(衆4)、伴野豊(衆4)、中山義活(衆4)、米長晴信(参1)
<旧社会党グループ> 赤松広隆(衆7)
<新人> 皆吉稲生(衆)、村上史好(衆)、岸本周平(衆)、田中美絵子(衆)、野田国義(衆)、谷亮子(参)
<不明> 川内博史(衆5)、三井辨雄(衆4)、小泉俊明(衆3)、太田和美(衆2)、田中直紀(参3)、那谷屋正義(参2)、岩本司(参2)、大久保勉(参2)、川崎稔(参1)、武内則男(参1)、外山斎(参1)
※敬称略。参院議員の新人は10年に初当選した議員