長谷川は夢を見ていた。
もう大分帰っていない、遠い故郷の雄大な景色の中、ぽつんと一人佇んでいる。
清流が流れ、真青な空と白い雲。
「懐かしいな。」
川のせせらぎに手を浸けようとしたところで眼が覚めた。
久しぶりに深い眠りについていたようだった。
起きるとそこは何も無いコンクリートの無機質な部屋だった。
ベッド以外は何も置かれていない。
「なんだ?なぜ俺はこんな場所に居るんだ?」
頭は重く、体もだるい。
昨日の記憶がほとんど思い出せない。
たしかカジさんと一緒にいたはずなんだが…。
「そうだ、たしか俺は追われていたはずなんだ…。」
『カチッ』部屋のドアが突然開いた。
スーツを着た男たちが4人入ってきた。
「良く眠れたかな?長谷川君。」
「……。なんで俺の名前を知っているんだ?」
「まあ、それはおいおいゆっくり話そう。これから 飯でも食ってもらいつつ、2、3質問に答えてもらうとするか。ついてきたまえ。」
「おい、その前になんで俺がこんな所にいるのか、説明しろよ。」
「まあ、それも飯を食いながらでいいだろう。安心したまえ。君は我々にとってはとても大事な客人なのだからな。悪いようには扱わない。」
大変流暢な日本語を話しているのだが、この男は外国人だ。サングラスのような色の入ったメガネをしている。
身長は高い。180以上はありそうだ。
皆同じようなダークスーツを着こんで、左脇が少し膨らんでいる。
銃を携行している。
長谷川は尻をかくフリをしてポケットの付近を探った。
ライターは前のポケットに入れていたがすでに盗られたか、落としたのか。無くなっている。
尻のポケットには自転車のキーが入っているはず。
あった!
キーホルダーはステンレス製のリーフ形状になっていてペーパーナイフに使えるものだった。
長谷川にとっていざと言う時に使う御守りだ。
得体の知れない4人に囲まれながら白い大きな部屋に移動した。
BOZZ@AGAN
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