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夢の敬老施設あきらめない 開所目前に津波被害 東松島
 | 津波被害に遭った「老莱子の家」。飴屋さんは再建を目指す=25日、東松島市 |
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東日本大震災による大津波被害で、宮城県東松島市新東名のNPO法人「創る村」が苦境に立たされている。開所を控えた高齢者施設「老莱子(ろうらいし)の家」が浸水し、建物を担保にした融資がストップした。スタッフは「高齢者が安らかに過ごせる敬老の施設をオープンさせたい」と資金調達に奔走している。 老莱子の家は、創る村の村長で元宮城教育大教授の飴屋善敏さん(78)が「104歳の母親を介護している経験から、高齢者を心から敬う精神を体現し世に広める施設を造りたい」と着工した。 施設は、奥松島の眺望と木のぬくもりを生かした内装にこだわった。音楽や芸術活動を通じた介護、フリースクールの子どもとの交流も計画していた。 松島湾の堤防沿いに立つ施設は、8人が入居できる有料老人ホームと15人を受け入れるデイサービスを兼ね備える。4月1日の開所に向け4〜5人の入所も内定し、思い描く理想郷への第一歩を踏み出すはずだった。 津波は木造2階の建物を襲い、1階が高さ1.5メートルまで浸水。建物は残ったが、エレベーターが故障。床や内装は泥水をかぶり、全面的な張り替えが必要になった。 予定していた金融機関からの3000万円の融資は、改修工事が完了し、事業開始のめどがつくまで受けられなくなったという。 改修にはさらに1800万円を要する。現在、入居希望者には待機してもらい、NPO法人などを支援する共同募金会に助成を申請するなど、各方面からの資金を募っている。 「人間が幸せに生きるための施設を造るという使命感は失っていない。なんとか事業をスタートさせる」。逆境に耐えながらも、飴屋さんは前を見据えている。
2011年05月28日土曜日
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