環境配慮型の都市、いわゆる「スマートシティ」の構想を企業が相次ぎ打ち出している。電力を効率的に使うスマートグリッド(次世代送電網)などを取り入れ、省エネや温暖化ガスの排出削減などを推進する都市開発事業だ。
パナソニックはこのほど自社の工場跡地に約1千世帯分の住宅などを建設する構想を発表した。このほか新日本製鉄やトヨタ自動車などもそれぞれ異業種の企業と連携し、事業化を目指している。
環境都市は大震災後、重要性が一段と増した。ひとつは電力不足が今後も続くなか、安定した電力供給を実現する方法としてスマートグリッドが注目され始めたためだ。その技術を蓄積する場として環境都市への取り組みは重要になる。
さらにインフラ分野の柱と考えられてきた原発の輸出が難しくなり、輸出の新たなけん引役として、スマートグリッドや環境都市に必要な機器・設備への期待が高まっている。
今後のエネルギー政策を決める議論は時間がかかりそうだが、企業はそれを待たずに動くべきだ。欧米、中国などでも国主導で環境都市づくりを打ち出す動きが増え、2030年までに関連需要が累計3千兆円に達するとの試算もある。
すでに多くの海外企業がこの市場に参入し、例えば日本が得意な太陽光パネルでは韓国などの追い上げが激しい。製品を単に売るのでなく、様々な製品やサービスを一体で売る環境都市分野は巻き返しの好機だ。
米政府は最近、この分野での日米企業協力を呼びかけてきた。米国は電池などの技術を日本から取り入れ、サービスを組み合わせて利益を出す仕組みをつくり、競争に勝とうとの狙いだ。日本も戦略を体系的に練らないと下請け企業に甘んじる。
東芝はどれだけ電力を使っているかがインターネット経由ですぐわかる電力計「スマートメーター」の世界最大手を買収する。世界標準を押さえるようなM&A(合併・買収)を今後も進めてほしい。
日本の技術をまねされにくくする「ブラックボックス化」の取り組みも重要だ。被災地での環境都市づくりも検討に値しよう。産業を育て、技術と復興を世界に示す場になる。
トヨタ自動車、スマート、新日本製鉄、パナソニック、スマートグリッド、環境都市、省エネ、温暖化ガス、東芝、電力供給、韓国、スマートメーター、環境配慮
| 日経平均(円) | 9,719.61 | +25.88 | 1日 大引 |
|---|---|---|---|
| NYダウ(ドル) | 12,569.79 | +128.21 | 31日 16:30 |
| 英FTSE100 | 5,978.17 | -11.82 | 1日 12:40 |
| ドル/円 | 81.36 - .38 | -0.23円高 | 1日 20:35 |
| ユーロ/円 | 117.18 - .22 | -0.42円高 | 1日 20:35 |
| 長期金利(%) | 1.155 | +0.005 | 1日 15:07 |
| NY原油(ドル) | 102.70 | +2.11 | 31日 終値 |
使用率:77.7%3334/4290万kW
予想最大電力:3330万kW14時~15時
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載
詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)