微細帯電ダスト LONG RUN TEST 2

May
30
2011

 流石に3年間となると、ケース内部のパーツにはおびただしい量のダストが堆積する結果となりました。では具体的に堆積の激しかった部分をピックアップして掲載いたします。

 

 

 左の画像は何処だと思いますか?実はこれは電源側面部に切られた排気スリットなのです。実は電源はPCパーツの中でも最も微細帯電ダストが堆積しやすいパーツで、経年劣化した電源を解体したりすると、大変なことになっている場合が多いです。コンデンサやトランス周辺がダストで埋もれていると、必要な放熱が行われず、性能劣化が起きます。コンデンサなどは熱感受性の非常に高い部品なので、出来る限り清掃を施さないといけないと思いますが、実際には高圧電流部品にために、解体はできません。弊社では定期的に、工場でコンプレッサエアで吹き飛ばすと言うことをしていますが、一般ではなかなか難しいですね。そこで、安全にケーシングを開ける構造が出来れば、いいと提案したことがあります。実現は難しいと言われてしまいましたが、ならば手軽にプレッシャーエアが使えるツールがあれば・・・とあれこれ探しました。模型工作用の小型コンプレッサなどは使えそうですが・・・。



 これは電源吸気部分の画像です。一見それほどでもないかな、と思えるものですが、良く見るとファンブレード、そしてその奥のパーツにはおびただしい量のダストが堆積していました。

 そもそも電源の冷却構造は、吸気から90度のエアフロー反転がスタンダードになっています。その場合、ALCADIAのフロントパネル裏面のように、ダストの慣性によってパーツにダイレクトに堆積してしまうわけで、これは何とか工夫しないといけない部分であると思います。

 ケース屋からすると出来ればケーシングをなくしてPCケース内部構造で保持したいところですが・・・。 



 さて、この画像、少しショッキングですが、これはCPUクーラーの微細帯電ダスト堆積の状況です。当然のことながらファンブレードにはダスト堆積が見られますが、ショックなのはヒートシンク本体の放熱ブレードの堆積状況です。ご覧頂いた通り、こうなると放熱効果はほとんど期待できなくなってしまいます。このヒートシンクは、ケースフロント側から吸気して、リア側に抜く方式で、この形式にブレード間隔のせまい(多数ブレードの)ヒートシンクを使うと、初期には非常に冷却効果が高いのですが、ダスト堆積が始まると極端に性能が低下します。放熱面積を稼ぐためにブレード間隔を細かくするのはいいのですが、こういう状態になりやすいということを考慮して、こまめにメンテナンスする必要がありますね。このCPUクーラーは現実的には狭すぎる。微細帯電ダストの保温効果は非常に高く、さらにエアフロー消滅によって放熱効率は極めて劣化していました。



 ITEのSATAドライブチップ(RAIDチップかな?)のマウント状況です。この画像を掲載したのは、このようにリード線が露出したチップマウントがマザーボードにはよく見られますが、このリード線上に微細帯電ダストが堆積すると、湿度によってはショートの原因となることは明白です。

こういう場合は、エアで吹いても取り除けない場合も多く、弊社ではやわらかめの歯ブラシや筆で除去します。 



 この画像はPCIスロットの様子ですが、ここにも極めて危険が潜んでいるのがお分かりいただけると思います。言うまでもなく、スロットの端子位置に微細帯電ダストが堆積してしまうわけです。原因は、樹脂製コネクタに発生した静電気による引き付けですが、これでPCIカードを増設してしまうと、最悪の場合は簡単にショートを起こしてしまいます。

 これで思い出すのが、初期ファミコンやPENTIUM IIのスロットです。初期ファミコンのゲームソフトはスロット式で、ここがダストによりショートしてソフト故障の原因NO.1でしたし、PENTIUM IIスロットも故障多発で実に悩ましいものでした。 



Posted by hoshino | この記事のURL | コメント (0) |

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