平成23年6月1日
5月になってすぐ、韓国の春川 (ちゅんちょん) 女子 高校 から大きなダンボ
ールの箱が送られてきまし た。 春川女子高校は本校と一昨年の秋に姉妹
校締結を行った学校です 。 昨年春には学園の音楽部吹奏楽団100名以上
のものが訪韓して大変な歓迎を受け、秋には韓国から李校長先生をはじめ
3名の先生と15名の生徒が来日し、金光学園で交流を深めることができまし
た。この3月の東日本大震災が発生した直後に、春川女子高校の校長先生
より「姉妹校提携とは互いが励ましあい助け合う関係であると思います」とい
う心温まるお見舞いと励ましのお便りをいただきました。東北とは遠く離れた
この岡山の地ではもちろん直接的な被害はなかったのですが、その温かい
心に感動し、感謝の気持ちで一杯になりました。今回送られてきたダンボー
ル箱の中にも一杯の温かい心が詰まっていました。DVDには先生方や生徒
さんたちの励ましのメッセージや歌声がありました。生徒さん達が作った沢山
の寄せ書きや、韓国には千羽鶴の風習があるのかどうかわかりませんが、ガ
ラスケースに入った千羽鶴も納められていました。また佐藤元信前校長や私
に書いてくださった手紙や先生方や生徒たちにあてた手紙も一杯入っていま
した。本当に嬉しく、有り難い贈り物でした。
ゴールデンウィーク後、各部活動では新中1のために一日入部を行いまし
た。毎年新中1は、入学後通学や学校に慣れて5月初旬から入部するという
ことを原則にしています。昨日の時点で2桁以上新中1が入部した部は、野球
部27名、音楽部吹奏楽23名、ソフトテニス男子21名、サッカー12名、コーラス
12名などでした。もちろん他の部にも多くの生徒が入部しており、文化部、体
育部を合わせて現時点で 9 割以上の入部率になっています。「人間は1人で
は成長することは出来ず、人間関係の中でしか成長することが出来ない」と
言われていますが、部活動ではチームメートや先輩や後輩の中で共に頑張
ったり、励ましあったり、時にはもまれたりしながら、成長していくことができま
す。教室や授業だけでは十分経験できない協力や思いやりの精神や、体力
や忍耐力や精神力をつけることができるのも大きな意義だと思います。もち
ろん学校は勉強をするところで、それをおろそかにしては絶対なりません。
全員が勉強と部活動の両立を目指し、元気に頑張ることを期待したいと思っ
ています。
5月の大きな学校行事の一つに、中2の大佐山教育キャンプがあります。
去る25日(水)〜27日(金)に2泊3日で行われました。今44回目を迎えました
が、この間、キャンプ地も蒜山から大山の鏡ヶ成そして大佐山と移されて現
在に至っています。最近は宿泊施設を利用しての取り組みが多い中で、学園では昔から大自然の中でテント生活や 飯盒 (はんごう) 炊爨 (すいさん) など
野外炊事をしながら、お互い協力をし、助け合いながら苦しさを乗り越えて頑
張るという活動を 続けてきています 。 また1979年からはその中で、大山登
山も行っています。とてもハードではありますが、全員で登頂し、頂上から見
る素晴らしい景色に感動し、その達成感や充実感は素晴らしいものがありま
す。今回天気予報は2日間は雨という最悪の予報でしたし、台風2号の接近も
あり、帰着後は3日間雨が降り続くというような中で、キャンプでは星座観測
が曇ってできなかった程度で、ほとんど雨にたたられることはなく、天気のお
陰をいただき誠に有り難いことでした。
さて、前回の「校長室だより」で学園が今年度文部科学省よりスーパーサ
イエンスハイスクール( SSH )に指定されたことをお伝えしました。これから5
年間、文部科学省により多くの支援をいただきながら、本校としては「国際社
会において科学技術の発展に貢献し、真に世のお役に立てる人を育てる。
中高6 ヵ年を通しての探究力育成プログラムを開発する」という目標を掲げ、
以下のような具体的な取り組みをスタートすることになりました。
@ 授業に関する取り組みとしては 、探究T・探究Uの授業や、理科や数学
はもとより、全ての学年、教科で発想力、論理的思考力、プレゼン能力、
論文作成能力などを育成するための取り組みを行う。
A 課外、郊外活動に関する取り組みとしては 、大学や企業や海外姉妹校
等との連携プログラムを企画し、プレゼンテ−ション・コミュニケーション能
力や課題を発見する力を育成する。また本校の自然科学系の部の活動
や取り組みを通じてより深い課題研究を行い、研究成果を発表する。
B 地域における科学教育充実に関する取り組みとしては 、市内の小学生
対象の「ちびっこ科学教室」や市内を流れる里見川の「環境改善プロジェ
クト」を主催し、科学への興味関心や環境問題への関心を高め、科学的
思考力の育成を図るともに、研究者、科学者として必要な能力を育成す
る。また本校主催の教育研究大会を開催する。
以上のような取り組みを各課、各教科、各委員会でスタートしようとしていますが、校内だけのことにとどまらないことも多く、今後は大学や各団体や地域社会のご理解や協力もお願いしながら進めてまいりたいと考えています。
私自身としてはこの2ヶ月の間は新しい体験ばかりでしたが、その一つに
高校3年生の宗教の授業があります。高3年は7クラスありますが、クラスごと
に校長が担当するのが宗教の時間です。まだ各クラス5〜6時間しか実施し
ていませんが、金光教、キリスト教、仏教など宗教についての話や、人として
の生き方やあり方、特に親の願いや思いについて生徒に語り、共に考えいき
たいと思っています。毎時間二人の生徒による3分間のスピーチも行ってい
ます。場所は普通教室ではなく、「祈りの室」という畳の部屋での授業で、3分
間の正座、瞑想から始まります。瞑想後生徒は足を崩して私の話を聞きます
が、私自身は30センチほどの台の上に正座をして授業を行いますのでシビレ
がきれてしまうこともあります。この教室「祈りの室」の入り口のドアの上には
前金光教の教主の筆による「洗心」という2文字が板に彫られて掲げられて
います。私自身はこの時間は「洗心」の時間、つまり生徒が、心を落ち着かせ、心を洗う時間になり、その中で生徒と共に人としての行き方について考え、
自分自身を見つめなおす時間になればという願いで取り組んでいます。
東日本大震災から70日がたち、今日から6月を迎えました。例年より早い
梅雨入りの中で、これからは本格的な夏に向かって徐々に気温も上昇してき
ます。既に金光学園ではクールビズに取り組んでいますが、我が家でも学校
でも、この夏少しでも節電に協力できればと思っています。 |