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【静岡】

浜岡原発、砂丘の津波耐久 根拠なし 中電幹部明かす

2011年6月1日

中電が防潮堤の役目を果たすと主張する原発沿いの砂丘。後方は浜岡原発=御前崎市で(福沢和義撮影)

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 政府の要請を受け入れ全面停止した浜岡原発(御前崎市)で、中部電力が津波対策の柱に位置付ける砂丘が、東海地震時の津波にどの程度えぐられ耐えられるのか、具体的な検証をしていないことが分かった。中電幹部が明らかにした。東日本大震災では多くの防潮堤が津波で全半壊しており、専門家は模型などで砂丘の強度を検証する必要性を指摘している。

 砂丘は原発敷地全体の海岸側にあり、高さ10〜15メートル。文部科学省の地震調査研究推進本部が今後30年間に87%の確率で起きるとする東海地震で、中電は最大8・3メートルの津波が起きると想定する。砂丘を越えることはないとして「安全性に問題はない」と国に報告書を提出している。

 しかし、中電土木建築部幹部は本紙に「どの程度砂丘が削られるか計算はしていない」と証言し、安全性の確証はないことを明らかにした。それでも「砂丘には植栽もあり、よく締まっていて、幅もある。津波で削られるのは数十センチ程度だろう。全部なくなることはないと考えている」と強調する。

 中電は「津波の破壊力に砂丘は耐えられるのか」との問いに、震災後も「安全」と繰り返してきた。一方で「さらに安心のために」と前置きし、砂丘と原発の間に高さ15メートル級の防波壁を設け、2、3年後に原発の再稼働を目指している。

 海岸工学を専門とする喜岡(きおか)渉名古屋工業大教授は「宮城や岩手の沿岸部では、砂浜が大きく削られた所もある。砂丘がどれだけ削られるかをシミュレーションする手法は確立されていないが、模型などを使って実験することは可能だ」と指摘する。

 同じく青木伸一豊橋技術科学大教授は「中電の想定通り、砂丘をのみ込むほどの津波が来なければ、砂丘がごっそりと消えることはないだろう。ただ、原発を守りきれるかどうかは分からない」と話す。

中電が浜岡断層報告書を保安院に提出

 中部電力は31日、浜岡原発周辺の断層に関する報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。

 保安院は4月下旬、東日本大震災で大きな地殻変動が観測されたため、全国の原発事業者に断層の影響の再検討を指示。断層と関連があるとされる「リニアメント」という直線状の地形など、現在の耐震指針で「考慮する必要がない」と判断している断層も含めて報告を求めた。

 中電は、同県掛川市北部など浜岡原発の半径30キロ以内にある3カ所のリニアメントと、海底で地表に変位が生じている2カ所を報告。5カ所とも中電が国の新耐震指針に照らし、2007年に作成した浜岡原発の耐震安全性評価報告書に記載済みの内容で、今回も「敷地への影響は小さい」などと活動性を否定した。

 

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