2011年6月1日8時15分
節電が求められる今夏は、例年以上に冷たい食べ物へ手が伸びそうだ。食品・外食各社は定番メニューで意外な「冷たさ」を打ち出すことに知恵を絞る。
ハウス食品は6日、温めずにそのままご飯にかけるレトルト「夏のカレー」(標準価格、税込み149円)を発売する。通常のカレーは動物性油脂が多く、常温だと固まってしまう。そこで、植物性油脂やトマトペーストなどを使い、温めなくてもなめらかな食感に仕上げた。
開発のきっかけは、猛暑だった昨夏に「レトルトカレーを温めずに食べても大丈夫か」と問い合わせが相次いだことだ。東日本大震災後は、調理ができない被災地から「そのまま食べられるレトルトが欲しい」との声が多く寄せられたといい、「災害時の備蓄用にも」と呼びかける。
回転ずし大手のスシローは1日、全303店で「冷製茶わん蒸し」(税込み180円)の提供を始める。「夏に熱いものは食べづらい」との要望を受けたもので、野口清史マーケティング部長は「体感温度を下げられ、暑い季節にうってつけ」。
パン屋131店を展開するドンクも1日、冷凍庫で冷やして食べられる夏限定のメロンパン(税込み189円)を発売。中のクリームが、冷えるとアイスクリームに似た食感になる。
「揚げたて」を売りにしてきたミスタードーナツは5月、初めて冷たいドーナツ「ひんやり焼きド」(7種類)を全国18店で発売した。油で揚げずにオーブンで焼き上げ、冷蔵庫で30分以上冷やして販売する。「デザートチョコ」(税込み189円)や「もちもちカボチャ」(税込み168円)などで、「暑い夏に清涼感のある商品を楽しんで欲しい」(広報担当者)。販売店舗は今後、増やすという。(角田要、南日慶子)