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[政治]ニュース
浜岡停止 エネルギー政策「脱原発」否定 長期展望は描けず
2011.5.10 08:56
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現実的な判断
政府があくまでも浜岡を例外扱いしようとする背景には、いきなり脱原発に踏み込むわけにはいかないという現実的な判断がある。東京電力福島第1原発の事故で、原発の安全神話は崩壊した。この結果、平成42年までに14基以上の原発を新設するという国のエネルギー基本計画は根本的な見直しが必至だが、全国17カ所、54基に上る原発の全てをいきなり代替できる電力供給源は見当たらない。
原油依存から脱却するとともに、温室効果ガス排出量を抑制する切り札としても原発を推進した結果、日本の電力供給に占める原発の割合は約3割に達する。休眠施設の復旧を含む火力発電所の増強で急場をしのごうとしても、そこにはおのずと限度がある。
太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーへの期待も大きいが、現状ではコストがかかりすぎる。8%の電力を供給する水力発電にしても「すでに大規模開発の余地は少ない」(専門家)状況で、政府は当面、原発に頼らざるを得ない状況だ。
ただ、しばらくは原発依存を続けるにしても、中長期的に原発政策をどのように見直し、再生可能エネルギーを含めたエネルギー政策をどう描くのかという展望は全く示せていない。これでは国の政策に対する世論の不安は収まりようがなく、菅直人首相の場当たり的な方針がさらなる混乱を引き起こす懸念は一向に解消されそうにない。(小雲規生)
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