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放射性物質:農水産物風評被害 賠償2次指針案が明らかに

 東京電力福島第1、第2原発事故に伴う農林水産物の風評被害について、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長、能見善久・学習院大教授)が31日に決める損害賠償の2次指針案が明らかになった。4月までに、政府による出荷制限を受けたり、自治体の要請で出荷を自粛した区域のすべての品目を対象に含める。その他の風評被害についても今後検討を続ける。

 指針案では、農林水産物の風評被害を▽農林産物▽畜産物▽水産物の三つに分け明記。政府による出荷制限指示や自治体からの出荷自粛要請が出された区域で生産された食用の全品目を対象とした。農林産物では、ホウレンソウやカキナなどが全県で出荷制限された福島、茨城、栃木、群馬の4県に加え、ホウレンソウなどが出荷制限となった千葉県の2市1町(旭市、香取市、多古町)が対象。畜産物と水産物については、原乳とコウナゴが出荷制限・自粛となった福島、茨城両県全域が対象となる。

 一方、風評被害が深刻な観光業についても盛り込む。地震や津波による自粛ムードなど、原発事故以外の要因も大きいと考えられるため、2次指針は原発がある福島県に営業拠点を持つ事業者に限り、事故発生後の予約キャンセルや客の減少を損害として認める。

 関係者によると、食品の範囲を先行して指針に盛り込むのは、原発事故の影響が明確なため。園芸作物、工業製品などそれ以外の風評被害については、専門委員による被害調査結果を踏まえて、3次以降の指針に盛り込むか検討する。【藤野基文】

毎日新聞 2011年5月30日 20時42分(最終更新 5月30日 20時49分)

 

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