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民主党:不信任案めぐり攻防 小沢氏は党内の風探る

民主党の小沢一郎元代表(左)と鳩山由紀夫前首相=東京都港区で2011年5月30日、石井諭撮影
民主党の小沢一郎元代表(左)と鳩山由紀夫前首相=東京都港区で2011年5月30日、石井諭撮影

 民主党は30日、党役員会を開き、内閣不信任決議案に党内から賛成や欠席者が出た場合、「党として厳正に対処する」と確認した。一方、小沢一郎元代表は同日、鳩山由紀夫前首相と東京都内の鳩山氏の個人事務所で会談。小沢氏は党内で不信任案に同調する動きが広がっているとの見方を示し、両氏は野党の動向を見極めて対応を判断することで一致した。菅直人首相も同日、鳩山氏に会談を打診し、双方の駆け引きが激化している。【葛西大博、吉永康朗、大場伸也】

 小沢元代表は鳩山氏と会談後、自らを支持する一新会が国会内で開いた会合に出席した。元代表は「国民に安全・安心を与えるのに十分ではない。政治家として深く心配している」と菅政権を批判。「国会会期を延長して国民の負託に応えるのが政治家の役目だ」とも指摘した。

 不信任案への対応について出席者が「みんなで頑張る時ではないか」と不信任案に同調しないよう暗に求めたのに対し、「何も事を荒立てることが目的ではなく、平和裏に穏便におさまるように考えなければならない。最後の最後まで最善の努力をするが、だめな時は決断する時は決断する」と述べ、賛成や欠席に含みを残した。

 また首相との会談については「連絡がない」と語った。元代表は30日、田中真紀子元外相、山岡賢次副代表、福田昭夫、川島智太郎両衆院議員らとも個別に会談しており、不信任案同調の広がりを見極めているとみられる。

 鳩山氏は元代表と会談後、原口一博前総務相と会談した。原口氏が両院議員総会の開催を求める考えを示したのに対し、「責任の所在をはっきりさせることが大事だ」と賛意を示した。

 菅首相は同日、鳩山氏に「原発問題について話が聞きたい」と打診したが、鳩山氏は「必要であればおじゃまする」と答えるにとどめた。党執行部は締め付けを強めており、岡田克也幹事長は役員会前に首相と会談し「厳正に対処する」との方針をあらかじめ確認。安住淳国対委員長は「除名(除籍)を含めて厳しい態度に出る」と強調した。枝野幸男官房長官も会見で、「こんな時期に首相を代えようとすること自体が困難だ」と述べた。

 一方、自民、公明両党は30日、幹事長、国対委員長らが東京都内で会談し、内閣不信任決議案の共同提出に向け最終的な調整に入った。公明党の井上義久幹事長は会談で「党内手続きに入る用意がある」と表明。同党は31日の常任役員会で共同提案を了承し、時期の判断は山口那津男代表に一任する見通しだ。

 自民党の逢沢一郎国対委員長は会合後、記者団に「自公を軸にして、ほかの野党の参画も積極的に呼びかけたい」と述べた。共産党の市田忠義書記局長は30日の記者会見で「(菅内閣は)信任できる内閣ではない」と述べ、不信任案が出された場合は賛成する方針を明言した。

毎日新聞 2011年5月30日 20時54分(最終更新 5月30日 23時44分)

 

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