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平和。
その場所は、確かに平和だった。
何の変哲もない、小さな屋台。
店の前にぶら下げられた提灯は、上の方が煤けて読めないが、『ラーメン』と言う字が辛うじて読み取れた。
どんぶりが並び、湯気が上がる。
だだの、ラーメン屋。
そこには、日々大勢が集まる。
みんなが笑って、喜んで、楽しんで、誰一人悲しい顔をした人は見当たらない。
男女問わず、誰もが楽しんでいた。
ルリはふわふわした感覚の中で、ただその光景を眺める。

「……なんだろう」

声は出せた。
だが、ルリの声は誰にも届かない。
いったい、この状況はなんだろう。
屋台を、上の方からふわふわ見つめる。
ルリは客観的にしか、この光景を見ることができない。
それどころか、屋台に集まる人々の顔すらぼやけてよく分からない。
それでも、彼らが喜んでいるのが分かる。
途切れ途切れの映画を見ている、そんな感覚。
何にせよ、ルリの意志ではどうにもならない。
眺めるだけなら、害があることはない筈だ。
やがて、屋台主らしき人が見えてきた。
夫婦だろうか。
顔は見えないが、幸せそうに見えた。
その夫婦の横に、見慣れた人物がいた。
その人物だけが、ルリの目にはっきりと映る。

「あれは……私?」

ホシノ・ルリ。
間違いない。
ルリがそこにいた。
手に持ったチャルメラから、ぷぅ〜と気の抜けた音が出ている。
ここは、どこだろう。
あれは、誰だろう。
みんなが、楽しそうだ。
それなのに――


何故、自分は独りだけ浮かない顔をしているのだろう。


「知りたい?」

ルリは目を見開く。
誰にも届かない声。
誰にも見えない姿。
言わば幽霊のような自分に、屋台のルリは話掛けてきた。
しっかりと、その琥珀色の瞳を合わせて。

「あなたは、誰ですか?」
「私は、ホシノ・ルリ。あなたも、同じ、ホシノ・ルリ」

それは矛盾。
ホシノ・ルリは、間違いなく自分自身だ。
それは、有り得ないこと。
だけど、ルリは同じルリの言葉を否定出来ない。
あの少女が、例え他人でもホシノ・ルリだと認めてしまっている。

「ひどい、気分」
「え?」

いつの間にか、少女は目の前にまで近づいていた。
その表情は、ルリにしか分からない不快を表している。

「あの二人が、もうすぐ結婚する。それだけで、心が、ひどく痛い」

少女の言葉は、途切れ途切れ。
屋台主を指さして、ルリに訴える。
ルリには、少女が何を言っているのか分からない。
ルリは、自分にしては言葉使いが幼いと思ったが、自分自身に対して話すのに何かを装う必要はないのだろうと判断する。

「どうしてですか?他の人は喜んでいます」
「あなたには、ずっと、わからない。わかった時には、もう、遅い……から」

段々と、声が遠くなっていく。
少女も離れ、周りの景色も何もかも、霞んでいく。
人々も、屋台も、ホシノ・ルリも。
ルリは独り、取り残される。

「あなたには、大切な人がいる?」

姿はもう見えないのに、少女の声だけが鮮明に届いた。
大切な人。
自分には、いる。

「……はい。一人だけ」

返事をする。
姿は見えない。
見えないのに、ルリには皮肉に笑う自分の姿が目の前に見えた気がした。

「もし、その人が、あなた以外の誰かの物になったら、私の気持ちがわかるかも、ね」

言葉は、それ以上聞こえて来なかった。
誰かの物になる。
誰が?
誰の?
ルリはその場にへたり込んだ。
大切なものが思い出せない。
ここがどこだか分からない。
怖かった。
恐かった。
何よりも、自分自身に恐怖を覚える。
あれは、ホシノ・ルリじゃない。
強く思っても、身体は恐怖で動かない。
自分が、自分ではなくなっていくような。
気持ちが揺らぐ。
誰も、いなくなってしまった。
暗い場所に独り。
ルリを独り置いて。
ナデシコには。
ルリのいた場所には、あの怖い自分が成り代わっていて、誰もがルリを疑わず。

「……違う、それは私じゃない」

ルリは叫ぶ。
誰も気付かない。
誰にも声は届かない。
艦長も、ミナトも、ホウメイも、プロスも、誰にも届かない。
カタカタと身体が震えた。
もう二度と、あの場所には戻れない。
自分は、誰か分からない自分になってしまった。
この場所は、暗い。
誰も、見つけてはくれないだろう。
嫌だった。
何を失っても、自分は自分で在りたかった。
その感情以上に、あのホシノ・ルリが怖い。
ルリには、頼れる人間などいない。
この世界は真っ暗だ。
ルリと、ホシノ・ルリは入れ代わってしまった。
明るい世界も、暗い世界も。
ただ、この真っ黒な世界は、誰かに似ている。
何故、今頃になって思い出したのだろう。
何故、今まで忘れていたのだろう。
ルリは、名前を呼ぶ。

「……アキ」

他に頼る人間などいない。
ルリはもう一度名前を呼ぶ。

「アキ……助けて、ください。ここは、怖い」

誰も、いない。
返事は、ない。
ルリはますます震えが止まらなくなった。
アキも、いなかった。
それを理解した瞬間、ルリは立ち上がる。
ここから出たい。
あの人にあいたい。
自暴自棄になって、暗い世界の中を走り出す。


かつん、と音が聞こえた。


聞き慣れた音。
ルリは、立ち止まる。
かつん、かつん、かつん。
杖の、音。
急いでいるのだろうか、音の間隔は短く、大きくなっていく。
やがて、音はルリの前で止まった。
目の前の人すら判別できない程、暗い世界。
それでも、ルリの前には確かにあの人がいる。

「…………無事か?」

言葉は一言だけ。
今のルリには、それで十分だった。
慌てて、ルリはその人に抱きついた。
まるで子供みたいだと思う。
だけど、温かさがルリを安心させる。
温かい。
まだ震える身体を抑えて、言葉を発する。

「遅い、です」
「……すまない」

いつもの、アキだった。
ルリは、そのままアキの手を掴んで進む。
アキに手を引かれ、真っ暗な世界を。
出口を分かっているのか、アキは黙々と歩き続ける。
段々と、明かりが見えてきた。
あそこが、おそらく出口だ。
安心してアキを見上げるも、アキの顔を光が照らし出すことはなく、闇が広がるだけ。
ただアキの手の感触のみがルリに伝わった。

「……行け、君には帰る場所がある。ここに、居てはいけない」

振り返る。
ルリは、自分だけが出口に立って、アキが動いていないことに気づく。

「アキは……?」

声が震える。
アキは、苦笑して掴んでいたルリの手を離した。
身体が宙に放り出される。
最後の最後に見たアキは、あの黒い世界に戻っていく。
かつん、という杖の音が遠ざかっていった。









「アキッ!」

ばさっ、とベッドから布団が落ちた。
辺りをきょろきょろと見る。
ここは、ルリの部屋。
ほとんどの部屋が同じようなデザインだが、この部屋ほど殺風景ではない。
ルリは、パジャマを触る。
寝汗で、ぐっしょりと湿っている。
それどころか、手は今もカタカタと震えていた。

「…………夢?」

自分の言葉を自分で否定する。
上手くは言えないが、あれは確かにあったこと。
よく思い出せないが、怖かったことだけは鮮明に覚えている。
夢の中のアキは、最後どうなったのだろう。
ルリは、部屋の目覚まし時計を見る。
時間は、深夜。
すっかり目が覚めてしまった。
もう一度、寝られる自信はない。
ルリはベッドから降りて、シャワーを浴びて制服に着替える。
ブリッジに行こう。
あそこには、必ず人がいる。
もちろん、オモイカネも。
それに確か今日の当直は……。
ルリは準備を整えると、少し足早にブリッジに向かって行った。








ブリッジに、アキは独りでいた。
時間は深夜。
宇宙なので、日の出や夜はない。
だが、時間は時間。
寝る時に寝なければ身体を壊す。
かと言って、ブリッジに誰もいないのでは緊急時に対象がきかない。
ブリッジクルーは交代で当直が義務付けられている。
今日の当直は、アキとジュン。
そのジュンも、今は食堂だ。
何でも昼夜と食事を抜いていたらしい。
普通、こういう場合には出前を頼むのだが、時間も時間だからとジュンは自ら食堂に赴いた。
まぁ、アキが行かせたのだが。
ブリッジに独り。
アキはオペレーター席に寄ると、コンソールに手を当てた。

「……オモイカネ」
『はい』

意識に直接返事が返ってくる。
他の場所でも連絡は取れるには取れるのだが、直接操作するには向かない。
そのため、こうしてブリッジで密会となった。
ルリ程上手くはできないとは言え、アキの体内のナノマシンはこういうことをある程度可能にしてくれる。
皮肉なものだと、アキは小さく口元を歪めた。

「調子は、どうだ?」
『航行は順調。予定より余裕を持ってサツキミドリ2号に到着できる』

サツキミドリ2号。
ナデシコが補給のために寄るコロニー。
急発進してしまったナデシコには、本来いるべき戦力が足りない。
予定外なアキトとアキがいたからまだしも、正規のパイロットは他にいる。
食料とう消耗品の調達と、パイロットの補充、それに新型の0G戦フレームの導入。
上手くいけば大幅な戦力強化に繋がる。
上手くいけば。
アキは、サツキミドリ2号には立ち寄ったことがない。
ナデシコ到達間近にして木星蜥蜴の襲撃を受け、サツキミドリ2号は壊滅してしまった。
前の、歴史では。

「……間に合いそうか?」
『問題がなければ。アキのデータよりも、早く到着かな』
「問題は?」
『ルリさんに、航行速度の上昇がバレた場合』

それはアキにも予想ができない。
ルリは、アキを何やら探っている。
言えないと言った以上、自力で探すしかないのだろうが、オモイカネにまで目を光らせているようだ。
バレれば、まずアキに注目がいくだろう。

「……どうしたらいい」
『隠蔽、手伝って』
「……お前と会話するので精一杯なんだが」
『大丈夫。アキなら、大丈夫』

そう言われては、力になるしかない。
元々、オモイカネに頼んでいるのはアキだ。
ルリ相手にどこまで誤魔化せるか分からないが、やるだけやるしかない。
アキが隠蔽工作を始める。
どう急いでも遅い。
このままではジュンが帰って来てしまう。

『アキ、ガンバ♪』

……ガンバ。
どこで覚えてくるのかと思いつつ、アキは言葉を返す。

「お前も集中しろ」
『ルリさんに比べれば、アキの作業スピードは片手間に処理できるよ』
「…………そう言えば出航の時も、ムネタケの時も、何の支援もなかったんだが」

何か対策をとっているものだと思っていたが、オモイカネは何一つ問題に備えていなかった。
アキは皮肉を込めて言う。

『アキがいると思うと、気がゆるんじゃった』
「つまり、忘れていたと?」
『忘れてない。ただアキに活躍してもらった方が、私的に楽しい』
「……俺は、楽しくない。終わったぞ」

出来は、ギリギリ何とかなるかと言った感じ。
無理やり押し入れに隠したようなものだ。
あとは、見つからないことを祈るだけ。
アキは、席を離れる。
コンソールなしでは、オモイカネとは疑似音声で直接話すしかない。

『継ぎ接ぎだらけ?』
「最初から期待するな。戦い以外に役立てるとは思わん」
『そんなことない』

オモイカネは、アキの言葉を否定する。
見えないが、コロコロとウィンドウが周りを囲んでいるかも知れない。

『アキ、優しい。ありがとう』
「……いや、俺が頼んだことだ。礼を言う、オモイカネ」

気恥ずかしいて、アキはそっぽを向く。
時々、オモイカネがダッシュに似たことを言う。
アキは逃げるように、適当な席を探して座り込んだ。

『アキ、照れてる?』

面白がっている、アキにはそう聞こえた。

「……からかうな」
『アキをからかうと面白いって、ルリさんが言ってた』
「……それは、嘘だぞ」
『ううん、面白い』

ダメだ。
アキは、バイザーを押さえる。
困った時の癖になっているのかも知れない。
おそらく、アキは一生ルリとオモイカネたちには勝てはしないのだろう。
オモイカネは、日々学習していく。
話す人がアキとルリしかいないとは言え、ルリだけだった前回に比べれば単純に二倍。
成長は必然。
だが、あまりアキに良い方向には育ってくれない。
しばし、オモイカネとアキは会話する。
誰もブリッジには入って来ない。
深夜なので当然だが、ジュンが割と遅いのが気になった。
食堂はもう閉まっていただろうか。
オモイカネに尋ねようとした時、扉の開く音がした。

「副長か?遅かったな」
『アキ、しーっ!』

オモイカネの声。
油断した。
オモイカネと会話しているのは秘密にしなければいけない。
例えバレてもどうということはないが、間接的にルリにでも伝わればまずい。
とは言え、相手はジュン。
オモイカネが、あまりにも過敏に反応し過ぎではないかと疑問に――

「アキ、何をしてるんですか?」


……疑問には思わなかった。
当の本人が、ここに来るとは考えもしない。
ルリは終身時間はきっちり、朝は少し弱いが起床時間もきっちり。
それまではしっかりと睡眠をとる人間だとアキは知っていた。
だからこそ、深夜を選んだのにこれでは意味がない。
オモイカネは、既にアキに任せて逃げてしまったようだ。
返事が全くない。
ルリには言わせれば、変なところがそっくりだとでも言うのだろう。

「……何も、していない」

とりあえず返答する。
ルリは、もはや定位置となったアキの隣に席を見つけ座った。

「オモイカネと、何をしていたんですか?」

ギクッとしたのは、アキだけではない。
小さなオモイカネマークが、メインモニターの隅っこでぶるぶる震えていた。
ルリは二人を睨みつける。
アキは、ルリに弱い。
それでも、答えられないものは答えられない。

「『…………何も』」

怪しさは、満点だ。
ルリの視線がきつくなる。
オモイカネは今度こそモニターからも退却。
アキは独りルリの視線を感じながら、冷や汗を流す。
しばらくの沈黙のあと、ルリは溜め息を吐いて口を開いた。

「……ひとまず、保留にします。その代わり、お願いがあります」
「願い?」

ほっとしたのも束の間。
ルリが頼み事をするのは、余程のことがあった時だ。
そもそも、こんな時間にブリッジに来たのにも何か理由がある筈。
アキは気を引き締めて、ルリの話を聞く。

「はい。あの……」
「……どうした?」
「怖い、夢を見ました。とても、怖い。手を、握ってもらえますか?」

アキは、すぐに引き締めた気を緩めた。
改めて考えて見れば、ルリはまだ11歳。
いくら大人びているとは言えども、夜に怖い夢を見て眠れなくなることくらいある。
この時、ルリは頬を薄赤く染めていたりするのだが、アキが気づくことはない。
アキは微笑んで、右腕を差し出した。
その手にルリの手が、ゆっくりと重なる。
安心したのか、最初強張っていたルリの手から力が抜けた。

「……子供、ですよね。ごめんなさい」

ルリの声には、少なからず自分自身に落胆しているのが聞き取れる。

「何も悪いことじゃない。誰だって悪い夢を見ることくらいある」
「アキも?」
「……ああ、あれは最悪だ」

アキの悪夢は繰り返す。
たまの頻度ではない。
眠れば、必ず思い出す。
苦しみ。
喪失。
破壊。
戦い。
復讐。
どれも、アキにとっては悪夢にしかならない。
誰かを殺したことも。
体中を裂くような痛みも。
だから、アキは寝ることが好きではない。

「私は、初めて見ました。最悪です」

気落ちしているのだろう。
アキは、残った左手でルリの頭を撫でてやった。
右手は、ルリがしっかりと握り締めている。
向かい合うような、変な格好になってしまうが仕方がない。

「……アキが、出てきました」

ルリは言いづらそうに言う。

「そうか、それなら悪夢以外ありえない」
「違います!」

ルリが声を荒げる。
アキは驚いて、言葉を止めた。

「最後に、助けてもらいました」
「……そうか」

何故、自分なのかとアキは考える。
夢のことである以上、何でもありなのは分かるが、ミナトでもユリカでも他に人はいるだろう。
とにかく、確かめて置かなければならないことがある。

「君の夢で……」

ルリの視線がアキに伝わる。
アキは言葉を続けた。

「君の夢の中で、俺は君をちゃんと守れたか?」

ルリから、しばらく返事は返ってこない。
ただ、右手を握る力が少し強くなった。

「……はい」

それなら、いい。
夢の中の話とは言え、守ることが出来たなら、それでいい。

「でも……」
ルリの言葉は続いた。

「アキは、もっと自分を大事にしてください」

アキは少し考える。
それは、自分を犠牲にしてでもルリを助けることが出来たと言うことだろうか。
その結果は、アキが望むところ。
身体を削って誰かが助かるなら。
アキが、ナデシコに乗った理由。
大事にするも何も、一度失った命で誰かが救われるなら、これ以上のことはない。
ふと、ルリの視線がキツくなった。
返事がないアキに、怒っているのだろう。
ルリは、優しい。
だからこそ、アキが犠牲になっても助けなければならない。

「俺のことは……気にするな」
「気にします」
「だが……」
「だが、じゃありません。必ず、アキも帰ってきてください」

帰る。
帰る場所。
アキが帰る場所は、戦場でありナデシコそのもの。
少なくとも、全てを終わらせるまでは、アキはここに帰らなければならない。
ルリの方を向く。
何も、見えない。

「……わかった」
「約束、ですよ」

ルリがこう言う時は、決まって『アレ』がくる。
おそらく、ルリの左手の小指が差し出されていることだろう。
この歳になっても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
ルリは、恥ずかしくないのかと考えながらも、アキはルリの頭から左手を下ろした。
指が、絡み合う。
指きり。
子供っぽいことを気にするルリだが、これだけは譲れないらしい。
アキとルリが声を揃えようとした時、ブリッジの扉が開いた。

「ごめん。ホウメイさん食堂にいなくて、遅れ……」

言葉が、最後まで続くことはない。
遅れて戻ってきたジュンは、固まっていた。
ジュンの目に映るのは、仲良く手を繋ぎながら向かい合い、指きりをしている黒衣の男と少女。 深夜の密会。
少女とは言え、男と女。
まさか、そう言う関係なのだろうか。
ジュンの頭には、恋仲という文字がよぎっていることだろう。 自分がブリッジを空けた間に、いったい何があったのかとジュンは焦りつつも、慌てて言葉を発する。

「……あ、えっと、その、ごめんなさい!失礼しました!」
「ま、待て、副長!」

アキの制止も聞かず、ジュンは出ていってしまった。
まずい。
何も、悪いことをしていた訳ではない。
だが、これがミナトにでも知れれば、ややこしいことになり兼ねない。

「……何か、誤解してましたね」
「……ああ」

ブリッジは、また静かになる。
アキとルリは、何をするでもなく手を繋いでいた。
ルリが安心するなら、それでいい。
それでいいが……。
その晩、アキは少し悩んだ。








次の日から、当直日程のアキとジュンの日が、アキとルリに変わっていた。
ジュンを睨むと、慌ててブリッジから出ていく。
ルリは、またミナトにからかわれていた。



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