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青森知事選で自主投票 県農政連、反原発へ回帰
青森県知事選(6月5日投票)で、県農業者政治連盟(農政連)が告示直前、「推薦願を出した候補予定者が原発停止を明言していない」として自主投票を決めた。県農政連は元来、核燃施設を抱える青森で反核燃の立場だった。過去2回の知事選では農業政策を優先して自民党が推す現職を推薦したが、今回は福島第1原発事故を受け、封印していた原点への回帰の姿勢を明確に打ち出した。
<「即刻中止を」> 「原発の存在が既成事実化し、反原発・反核燃の活動が風化していたのは事実だ。ただ、福島で事故が起きた以上、青森でもいつ起きるか分からない。あすはわが身だ」 告示前日の18日にあった役員会で自主投票を決めた後、鳴海清彦委員長は、反原発の姿勢を復活させた理由を述べた。 推薦願を出していたのは無所属新人の元県議山内崇氏(56)=民主・国民新推薦=と無所属現職の三村申吾氏(55)=自民・公明推薦=の2人。県農政連は原発事故を踏まえ、両氏に質問状を出し、原子力政策に対する考えなどをただした。 山内氏は計画段階の原発2基の新設を凍結するなどと回答。三村氏は原子力施設の安全性を県独自に検証する組織を設けると公約した。 鳴海委員長によると、両氏の回答を検討した結果、「原発や核燃施設は即刻、止めてほしい。検証では不十分だ」との結論に達した。 県農政連は1970年に発足した。県と六ケ所村が核燃料サイクル施設の受け入れを決めた85年ごろからは、事故発生に伴う風評を含めた被害などを懸念し、立地反対運動などを推進。参院選で候補者を立てて、国政に送り出すなどの政治活動を展開していた。
<受け止め冷静> しかし、反核燃の姿勢を強めるにつれて、構成員の組織離れが進んだこともあり、活動は次第に低迷。2001年以降の選挙では「農業振興策に積極的」などの理由で、自民党系の候補を推薦することが多くなり、過去2回の知事選でも三村氏を推した。 発足当初、2万7000人だった構成員は現在は1400人。三村氏陣営幹部は「考え方が変わったなら深追いはしない」と受け止める。山内氏陣営幹部は「現職支持の風向きが変わり、事実上、われわれへの応援だ」と好意的にとらえる。 知事選には、脱原発を訴える共産党公認で新人の吉俣洋氏(37)も立候補している。県農政連は「推薦願が出ていない候補については判断できない」としている。
2011年05月26日木曜日
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