(cache) 国重文の芦雪ふすま絵　県立博物館へ寄託

国重文の芦雪ふすま絵　県立博物館へ寄託

　江戸中期の画家、長沢芦雪（１７５４～99）が描いた国指定重要文化財のふすま絵を所蔵する串本町西向の成就寺（大崎実宗住職）は26日、「林和靖図」などふすま絵８枚を和歌山市の県立博物館へ寄託した。損傷が激しく、修復する計画もある。総代や町文化財審議委員ら関係者約20人が見守る中、ふすま絵の梱包（こんぽう）作業が行われた。

　２０００年に和歌山市と千葉県で芦雪の巡回展があった際、県立博物館が成就寺から６作品22枚を預かり、その後も継続して保管している。同寺に残る８枚も環境が整った場所で保管しようと、県立博物館が働き掛け、預かることになった。

　今回寄託されたのは「林和靖図」を含め「花鳥群狗図」「草花図」「山水図」の４作品８枚。同寺にはあと「林和靖図」の壁絵１枚が残る。

　作業は、県立博物館学芸課長の竹中康彦さん（46）が１枚ずつ保存状態などを確認し、運送業者が防水紙やシートで丁寧に梱包した。27日、トラックで県立博物館へ輸送した。

　寺によると、ふすま絵は１９５５年ごろ本堂から外し、裏の倉庫に保管していた。大崎住職（63）は「傷みが激しい。寺の宝として世に残したいので、修復をお願いしたい」と要望した。

　竹中さんは「博物館には温度や湿度などが調節できる西日本で指折りの収蔵庫がある。これ以上損傷させないように保管し、修復も検討していきたい」と話した。

県立博物館で特別展

　県立博物館では４月25日～６月７日、成就寺から既に預かっている芦雪のふすま絵４枚などを含む特別展「きのくにの精華展」を開く予定。

【ふすま絵の保存状態などを確認する県立博物館学芸課長の竹中康彦さん＝26日、串本町西向の成就寺で】

(2009年03月27日更新)