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虐待防止へ親権2年停止可能に 民法改正案が成立

2011年5月27日13時33分

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 児童虐待を防止するため、親権を最長で2年間停止できる新制度を柱とした民法と児童福祉法の改正案が27日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。親権を制限するには親子関係を断つしかなかった現行制度を変更し、虐待する親から子を引き離しやすくするのがねらい。来年4月から施行される見通し。

 現行の民法には、20歳未満の子の親権を親から奪う「親権喪失」の制度がある。ただ、期限の定めがないため、虐待被害の対応にあたる児童相談所(児相)などが親子関係の断絶につながりかねないことを懸念して申し立てをためらうケースが多く、虐待防止の有効な手段になっていないと指摘されてきた。

 改正法では「親権の行使が困難または不適当で、子の利益を害する場合」に、2年以内の範囲で親権を停止できるようにする。また、親権喪失が認められる場合も「虐待または悪意の遺棄がある」「子の利益を著しく害する」などの条件を明確にした。

 これまで親権喪失の宣告を家裁に請求できるのは子の親族か検察官、児相所長だけだったが、改正法では範囲を拡大し、虐待された本人や未成年後見人でも親権の喪失や停止を請求できるようにした。家裁が審判を行い、親権停止の場合は子の身体や生活状況などを考慮して期間を定める。

 親権の内容も修正された。監護や教育は「子の利益のため」と明記。必要な範囲で子を「懲戒」できるとしていた懲戒権の条文は、「しつけを口実にした虐待につながる」との指摘があったことを受けて、「監護および教育に必要な範囲内で」と改められた。

 さらに、親がいない子の世話をする未成年後見人については、「個人で1人だけ」との規定を削除。担い手不足への対応や施設退所後の子のケアを考え、複数の個人や法人でも選任できるようにした。

 緊急時に素早い対応ができるよう、虐待された児童が入所する児童養護施設などの施設長の権限も強化した。施設長が子どもの福祉のために必要な措置を取る場合、「親が不当に妨げてはならない」と明記され、子の生命や安全を守るため、緊急時には親の意に反しても対応できるようになった。児相の所長にも、同様の権限が与えられた。(田村剛)

     ◇

 〈親権〉 未成年の子を育てるために親が持つ権利と義務の総称で、民法に規定されている。子を保護監督して教育する監護教育権や、しつけをする懲戒権、住む場所を決める居所指定権や財産管理権などが含まれる。現行民法では、親権の乱用があるときに家庭裁判所が親権の喪失を宣告できる。親権者がいなくなったときは、保護監督や財産管理をする未成年後見人が選任される。

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