「朴正煕は愛国心とビジョンを持ったリーダー」

ハーバード大学のボーゲル名誉教授、『朴正煕の時代』を出版

「中国を率いたトウ小平に似ている」

「ほかの指導者なら、経済発展を成し遂げられたか疑問」

 「トルコのアタテュルク、中国のトウ小平、韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)は、非常によく似ている。いずれも軍人出身で、近代化を成し遂げた。大変な愛国心と力強いビジョンを持ち、経済発展のために働いた」

 米国を代表する北東アジアの専門家、ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授(80)は26日(現地時間)、ニューヨークのコリア・ソサエティーで開かれた新著(共著書)『朴正煕の時代』の出版記念対談で朴正煕元大統領について語り、韓国の発展の基礎を固めたという点から、中国のトウ小平のような人物だと評した。

 「トウ小平とは違い、朴正煕には制約が多かった。日本から学ぶと同時に独立しなければならず、さらに米国と同盟を維持しなければならないという、複雑な環境の中にあった。それでも、素晴らしい経済発展を成し遂げた」

 ボーゲル名誉教授は「朴正煕は、全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)とは違い、経済をいかに発展させるかに関するビジョンがあり、経済について学び続ける優れた能力も持っていた」と語った。金泳三(キム・ヨンサム)・金大中(キム・デジュン)など民主化時代の大統領との比較では「朴正煕と民主化時代の大統領は、それぞれ異なる時代のリーダー。金大中元大統領は、幅広いビジョンを持ち、朴正煕時代には不可能だった進展を成し遂げたが、彼が1961年に政権を取っていたら、朴正煕のような経済発展を成し遂げていたかどうか疑わしい」と語った。時代が要求する役割が異なっていたというわけだ。

 またボーゲル名誉教授は、朴正煕時代の経済発展の背後に、その時代の集団的努力があったことも強調した。南悳祐(ナム・ドクウ)、金正濂(キム・ジョンリョム)、キム・ギョンウォンなど優秀な官僚がおり、朴正煕大統領は彼らをうまく活用したという。

 ボーゲル名誉教授は79年、著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン―アメリカへの教訓』を出版し、米国で「日本に学ぼう」というブームを起こした。2000年には『ジャパン・アズ・ナンバーワン―それからどうなった?』という著書で日本の底力を認めた。しかしボーゲル名誉教授は、過去数十年に限って見れば、韓国が日本を上回っており、その根底には強力な政治的リーダーシップがあると分析した。

 韓国は朴正煕時代以降も強力な大統領制が続いたが、日本はあまりにも頻繁に首相が変わったためリーダーシップを行使できず、非常時への対処で遅れを取ったというわけだ。また、内向的な日本人に比べ、外の世界に大いに関心を持つ韓国人の気質も、発展を加速させていると分析した。

 ボーゲル名誉教授は、中国と日本に挟まれた韓国の「サンドイッチ論」について「歴史的に、韓国は超大国の競争の場であり、被害者だった。しかし、朴正煕はこうした被害意識を捨て、“なせば成る”という精神で、歴史の流れを変えるという仕事をやり遂げた」と評価した。

ニューヨーク=朴宗世(パク・チョンセ)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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