中国、パキスタンに海軍基地建設へ

グワダルに基地建設、パキスタンがインドをけん制するため要請

 国交樹立から60年を迎えた中国とパキスタンが、今年に入り軍事的により密接な関係を築いていることを受け、周辺国の不安が高まっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は22日、中国政府が、パキスタン南部の港湾都市グワダルに海軍基地の建設を求めるパキスタン側の要請を受諾したと報じた。パキスタンのユセフ・ギラニ首相に随行し中国を訪問したアフマド・ムフタル国防相は、前日に北京で両国が海軍基地の建設について協議した事実を確認した。

中国、「真珠の首飾り」のようにインドを包囲

 中国とパキスタンの軍事協力関係に最も大きな脅威を感じている国は、パキスタンの隣国で対立関係にあるインドだ。インドのA.K.アントニー国防相は21日、中国とパキスタンの軍事協力について「深刻に懸念している。われわれも、これに対抗して強力に武装するしかない」と語った。

 中国は既に、インド洋に面した各国に海軍基地を建設し、インドを包囲してきた。中国は、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのシットウェ、スリランカのハンバントタなど、インドの東と南を囲む軍事的要所で、海軍基地の建設工事や計画を進めている。中国が、インドの西方にあるパキスタンのグワダルにまで進出した場合、インドは四方から中国に囲まれることになる。インドの首都ニューデリーにある政策研究センター(CPR)のブラマ・チェラニー教授は、グワダルを「中国が進める“真珠の首飾り”戦略の、最後の固定ピン」と表現した。チェラニー教授は「インドは、二つの核保有国から完全に包囲される形となるため、これに対する抑止力を高めなければならない」と語った。

 インドの戦略は、米国との友好関係を強化し、パキスタンへの圧迫に乗り出すという狙いがある。米軍が最近、パキスタンに潜伏していた国際テロ組織「アルカイダ」の指導者オサマ・ビンラディン容疑者を射殺したことを機に、米国とパキスタンの関係が不安定になっている状況を利用しようというわけだ。中国をけん制しなければならない米国としても、インドとの協力は重要だ。米国は昨年、インドの国連安全保障理事会常任理事国入りを支持し、インドとの経済協力を強化することを表明した。

中国にとっては中東進出の拠点

 WSJ紙によると、アラビア海に面したグワダル港は、水深が14.5メートルあり、パキスタン国内で唯一、大型船が出入りできる港だ。中国は、グワダル港からパキスタン国内を縦断して中国西部に至る石油パイプラインを建設し、石油輸送ルートの短縮を計画している。現在、中東から中国へ向かうタンカーは、マラッカ海峡を経由しなければならない。

 中国は既に、グワダル港の建設に必要な2億4800万ドル(約203億円)のうち、80%を支援することでパキスタンと合意している。完成すれば、中東およびインド洋で、中国の影響力がさらに強まる見込みだ。英紙フィナンシャル・タイムズは22日、パキスタンのある高官の話を引用し「グワダル海軍基地は今後、中国の軍艦や潜水艦が定期的に停泊し、修理を行う場所としても利用されるだろう」と報じた。

 パキスタンは、中国にとって最大の武器輸出相手国だ。パキスタンのギラニ首相は今回の訪中で、中国から次世代戦闘機「JF-17サンダー」を50機購入すると約束し、さらに中国の最新型潜水艦6隻を購入する交渉も進めている。これが実現すれば、その規模は、両国の武器契約史上最高額となる30億ドル(約2456億円)に達する見込みだ。

パク・スンヒョク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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