英語学習法あの道筋

(これなら納得できる,英語学習の道)

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はじめに

    教育論については,書店の棚でもインターネットでの検索でも,文献図書の膨大さに圧倒されてしまいます。文献の数がやたら多過ぎるため,インチキな主張がなされた場合にも,短期間のうちには,それの正しさや誤りを根拠づける文献調査をできる人などは多分,おりません。このままでは,金銭目的で自分に都合の良いインチキな主張を広める業者などが,野放しです。[低年齢から開始する英語教育,英語だけで行う英語授業,国際的に通じることのみで足りるとする英語教育,ローマ字の日本人名が多く見られる教科書を用いた英語教育,過度に翻訳中心主義に頼る英語教育などでさえ,いずれも,私の見解では有害な英語教育になりますが,そうとは知らずに,そういう教育に乗せられている人の多いこと,多いこと!]
    教育論に比べると,学習論(学ぶ側からの主張の体系)の文献数やホームページの項目数の,何と少ないこと! 学習論では,少ない文献を全部調べることさえできそうです。少ないために,無理な主張は,嘘がバレます。また,主張の正しさは,学習者自身が確認することもできます。ゆえに当然,暴利を狙ったインチキな主張などは,敬遠されます。
    学習論のうち,英語学習法については,私以外の人が作成なさったホームページも見ていただきたい。それぞれ,自らの学習法の欠点までも,何と正直に告白しておられることか! そうです。学習論のほうでは,執筆者の多くは,教師でなく素人です。けれども,正直に自らの経験を書いておられるのです。[その後,2010年8月以降のヤフー・ジャパンの検索では,業者のホームページが「英語学習法」の項目をほぼ占拠した状態になっており,まじめな個人のホームページを検索することが,ほとんど無理です。しかし,その少ない中から,何とか個人のページを見つけてください。本ホームページ末尾の「追伸その2」と「追伸その6」を各参照]
    本稿では,まず私の学習法を述べます。そこには,私が全科目の学習の基本とする「納得を中心とする学習法」が,推理小説利用の学習法を支えるものであること,それが,一定段階のまま先に進まない英語学習の壁を突き崩すための唯一の方法であることなども述べておきます。
    個々の学習者にとっては,まともな教育論を見定めることなどは困難です。そういう教育論よりも,誠実に書かれた学習論のほうを重視すべきです。ここには,まともな学習論の一つとして,私の学習法の特徴から略述して行きます。

私の学習法の特徴

    丸暗記をする(to learn by rote)のでなく,自分の頭で納得する(to internalize. [ Merriam-Webster社の辞書の定義を参照。この英訳語は,同社の編集者グウェンター博士(Joshua S. Guenter, Ph.D.)からの提案])のが,私の学習法の基本です。学習に関しては2歳の時以降ずっと,自分本位に学ぶこと,自分の知的好奇心が満たされるまで追及を続けることが,私流の学習法でした。その学習法の特徴を一言で表現したものが,自分の頭で納得するということなのです。
    しかし,多くの人にとって学習とは,学習項目の丸暗記を意味します。特に,入学試験や資格試験などの試験では,最も効率的な対策として,丸暗記学習の行われる傾向が強まります。丸暗記は,他人の考えた結果をそのまま再現できるよう,ノートに何度も書き込んだり,何度も口から声に出したりして,繰り返し練習することを特徴とする,機械的作業です。だから,そこには自分の頭で検討したり納得したりする精神活動が存在せず,単に他人から押し付けられた意見を,そのままコピーしているに過ぎません。
    さて,いくら勉強したと言っても,丸暗記では,言葉悪く言えば「バカのまま」です。その場しのぎの試験目的こそ達成できても,未だ学習項目を納得するには至っておりません。暗記の努力は,形こそ単純で,誰でも取り組みやすいものですが,時間がかかり過ぎるうえに,その学習効果も長続きしないものです。
    丸暗記の限界を示す,ひとつの典型的な事例は,1964年に教職員組合の反対を押し切って行われた,第一回全国一斉学力テストでした。中学3年生として私が受験した全5科目(国語・数学・社会・理科・英語)の試験は,いずれも事前に試験範囲を示されることもなく,学校側においてインチキを準備する余裕もなく,突然に強行された公正な学力テストだったのです。さすがにこれは,丸暗記中心学習法を続けた同級生らにとっては,大苦戦のようでした。中学3年分の知識が一度に全部,求められたのです。
    丸暗記中心学習法では,忘れていた大量の学習項目を思い出すという,時間のかかる操作が必要となります。だから,そういう学習法の同級生らは,充分な内容を時間内に思い出すことができず,大苦戦だったのでしょう。
    一方,丸暗記でなく,納得を学習の中心として来た私にとって,そういう公正な学力試験は,楽勝でした。どうやら,中学3年までに学ぶ全部の学習項目を,納得という形で学習していたのは,私ひとりだけだったようです。
    納得とは,知的好奇心に基づく追及を,ある一線で満足であると感じた結果,そこで止めることです。自分のわがままな心を最優先させて止めるのです。だから,わがままな知的好奇心の強い,私のような人間にとっては,納得もしないのに丸暗記をするなど,とんでもないことなのです。
    納得をせずに丸暗記をしなければ合格点を取ることのできない類の学力テストが増えているようですが,納得がないからには,学習もできておりません。そういうテストは,充分に丸暗記努力をしたかどうかを判別することはできても,学習できているかどうかを判別することなどできないテストです。学習できているかどうかの判別機能が学力テストの機能であるから,それは「学力テスト」とは名ばかりです。ずばり,えせ(似非。似而非。うわべでは似かよってはいるものの,実質は本物とは全く違うこと)学力テストと呼んでおきます。
    また逆に,学習内容を納得しているのに合格点を取れない学力テストも同様に,学習できているかどうかの判別機能を失ったテストであり,やはり,えせ学力テストです。
    私流の,納得を中心とする学習法は,公正な学力テストによる学力測定に対しては,正面から向き合うものです。
    ところで,納得を中心とする学習は,誰もが無意識のうちに行なって来た,母国語に上達するための学習にも含まれているものです。後述しますが,文章の意味の理解は,自分なりの納得が基本です。丸暗記は,いくら積み重ねても,次々と消えて行きますが,納得のほうは,連続させて行った場合には,理解こそ強まるものの,知識が消えて行くことはありません。できる人もできない人も同様に,ある年齢までには母国語を自由に使えるくらいに上達する背景には,いわば,納得が連続して積み重なっているのです。
    この理屈が母国語に限定されてしまう理由など,あるわけがありません。英語学習にも,同様のことがいえるはずです。受験英語の学習は翻訳しやすい語句や構文の範囲内に限定して行われますが,それを超えて,一般英語を学習する場合には,十万語以上の理解語彙を備えていなくてはなりません。とても丸暗記学習法のような,ノロノロした学習では間に合いません。速度と正確さが必要になります。その要求に応えるのが,納得を中心とする学習法です。
    納得した内容に論理を適用することが判断です。判断まで行くと,時間がかかってしまいますので,大量の学習項目を前にした時には,納得しただけで充分に,学習したことにするのです。
    また,面白い小説を読んでいる時には,高速での納得が連続しているわけです。そして,読んでいて,意味の分からない語句に差しかかった時に,辞書で単語の意味をいちいち調べたり判断などしていては,話の面白さが止まってしまいます。だから,面白い小説を読んでいる時には,高速での納得が連続しているわけです。
    小説の読書では,意味の理解が問題になります。分からない語句にぶつかった時には,そのまま先を読み進めて,分かっている文脈を背景に自分の頭で,「どうせ,こういう意味だろう」くらいに意味を類推し,その前と後の納得を連続させて,話の続きを楽しむことに集中します。母国語であろうが,外国語であろうが,こうして自分なりに納得を繰り返すことが,学習の基本態度です。
    優れた小説は,説明文ばかりが続く部分であろうが会話文ばかりが続く部分であろうが,どの部分にも,具体的な文脈が対応するよう話が書かれております。そりゃ,見事なものです。そうでなければ,出版社が出版してくれないのです。だから,単語の意味は,文脈から類推することができるというわけです。
    以上,私がかつて高速で学習した私流の学習法の特徴を略述しましたが,英語の初歩的学習内容は,発音・語彙・語法の模倣です。模倣練習に加えて行う,意味の直接理解の学習は,上級者には不可欠な学習です。これらを全部述べるために私は,「あの道筋」という図書を執筆し,それが2002年に出版されました。今は,その改訂版の原稿を執筆中です。その初版と改訂版については,後述します。

英語学習法

    英語を学習する方法のこと。語学の本質は独学(self-teaching)であるから,邪魔をする英語教育法は,英語学習法の陰に引っ込んでいるべきです。
    英語を学ぶには,英語圏に育った,英語を母国語とする人が英語を学んで行く場合と,日本人など英語を母国語としない人が英語を学ぶ場合があります。このホームページには,主として日本人が英語を学習する方法について述べてあります。まず,幕末から現代まで,時代を追って英語の学習法を眺めてみましょう:

幕末から明治初期にかけて

    幕末にアメリカのペリーが黒船で日本に開国を求めて以降,全国の進歩的な大名の藩校においては,英語の学習が流行するようになりました。大政奉還により明治政府が徳川幕府の政務を引き継いだ後も,英語の学習熱は続いていたようです。藩校時代の英語学習の方法については,英語教育法の観点からみると,たとえば,徳島藩においては,江戸の藩校長久館(1853年設立)での洋学教育ではオランダ語が教えられていたのに,明治2年に設立された徳島の長久館においての洋学教育では英語が中心になっていたとのことです。佐光昭二著「阿波の洋学事始」(1983年 徳島市立図書館。徳島市民双書第17集)によれば,使われていた英語教科書は,次のとおり,英語の原書です:

    これらを素読(そどく。単に文字面を声を出して読むこと)し,会読(かいどく。大勢で一緒に書物を読んで研究すること)することが,当時の英語学習の方法であったとのことです。

1900年代の初めころ

    19世紀半ばに比較言語学の体系が出来上がると,やがて,イギリスやアメリカの英語辞典(英英辞典),日本の英和辞典,和英辞典については,一応の完成型が出版されるようになり,それらの辞書を用いての英語学習がやりやすくなって来ました。かつては,英文を素読していたのに,1900年代の初頭にはおそらく,現在の学校授業などと同様,翻訳中心主義の英語学習が行われていたと思われます。

1962年以降

    私の推測でなく私が個人的にも経験した事実を述べますと,私の母校中学では,3年間に3冊,総語彙数1530語,各学年で1冊宛てA5版100頁弱の英語リーダー教科書に従った授業が行われました。英語の文法教育の基本である,発音,語彙,語法の授業が,教科書の記載に沿って行われました。
    私の母校高専では,高等学校用の英語リーダーが用いられました。その語彙は,1冊なのに約6000語と,中学3年分の教科書の4倍もあり,これには同級生らも手こずっておりました。ほかに,英作文も,リーダーとは独立の授業科目として教えられ,市販の文法書と英作文問題集が授業に用いられました。発音授業については,今でいうALT(Assistant Language Teacher)に相当する役目をアメリカ人講師が語彙数550語のLet's Learn Englishという,文脈の全く無い本を用いて,日本人教師の授業を補助するとの建前で行われておりました。
    要するに,中学,高専とも,受験目的の英語授業が行われていたのです。
    私は,英語の通訳案内業試験を目ざしていたので,そのような甘ったるい授業には満足しておりませんでした。そのため個人的に,まともな英語学習法を探し求めたわけです。
    今(2010年)から45年も前に,英語学習に行き詰まっていた16歳のころの私は,通訳案内業試験に合格したい,英米人並みの英語知識を身に付けたいと毎日,焦(あせ)っていました。
    そのころ,受験英語の学習にさえ行き詰まっていた同級生らの英語学習法は,単語の丸暗記など,時間のかかる割に効果の少ない学習法ばかりでした。それに対し私は,ある学習項目を納得してから次の項目に進むという,徹底的にわがままな,自己中心的な学習をしていたので,納得もしていない項目内容は絶対に暗記などしませんでした。
    私に言わせれば,学習とは,自分の頭での納得の直後に次の納得を連続させることでした。納得しなければ,学習したことにならないのです。こうして,授業内容の全部について納得を積み重ねた私は,中学の3年間,あらゆる英語試験には3分以内に全問正解することを続けており,その後はテレビの英会話番組を視聴して,耳から聴こえる英文の意味も瞬間的に理解することができるようになっておりました。そこまでの力を付けた私でも,英語の学習には行き詰まったのです。
    字幕スーパーの付いた洋画の英語を聴き取ることがほとんどできず,英語で書かれた一般小説も,なかなか読み進めることができずにいました。英語のまともな学習法を知りたい,誰でもいいから,この悩みから抜け出せる学習法を教えて欲しいと,それこそ,必死にもがき続ける毎日でした。
    英語上達者の経験談などに出ている,駐留米軍のラジオ番組VOAやFENを聴き続けるなどの方法では,それらの電波の圏外にいる私が不可能を強いられるものであるため,役に立ちません。福原麟太郎先生のすすめる,ウェブスター大辞典など大型英英辞典を権威辞書として研究することにより,小説などの英語を理解して行こうとする方法さえも,そのころのウェブスター大辞典は約2万円,オックスフォード大辞典なら約8万円と高価でしたので,とても私の手の届く学習方法でなかったのです。
    その後1967年,グロータース神父が三省堂新書「誤訳」でおっしゃった,推理小説利用の学習法にたどり着くと,少し明かりが見えて来ました。瞬間的に,英文の直接理解ができるようになったのです。やがて,日本人が英語発音の聴き取りに失敗する本当の原因なども判明して来ました。こうして,45年後の私自身には,16歳当時の私の悩みを全部,解消することができるだけの英語学習法があると申しておきましょう。

キーワード「英語学習法」

    パソコンでの検索には普通,実用的な知識に早く到達できるという長所があります。しかし,キーワード「英語学習法」で検索しても,このホームページを最近,私が立ち上げるまでは,実用的な知識が得られませんでした。(もっとも,キーワードを「英語教師,基礎知識」に変更すれば,愛媛県の方(水田和浩さん)が作成なさった,英語教師向けの極めて詳しい英語知識を述べているホームベージ http://www.eigo.be/ がヒットするでしょう。英語好きの教師の方が作成なさったものですから,英語嫌いの私がここに公開する学習法とは着眼点などが全く異なりますが,良くできた見事なホームページです。現役の教師という立場から仕方なく手加減をなさって,文部科学省当局への批判らしきことは間接的・遠回しに述べたにとどまる点を除けば,叙述の内容に文句の付けるべき部分は,あまり見当たりません。ただ,ある特定の図書からの引用が多過ぎないかと,少し心配です。アメリカ図書を日本図書の中で引用する場合には,日本の法律と日本の出版慣行に従えば問題ないのですが,アメリカ図書の中で引用する場合には,単一作品からの引用語数の累積が一定数(Random House社は200語を,Merriam-Webster社は250語を主張)を超えてはfair useとしての使用が許されず,超える場合には予め著作権者(または,それを管理する出版社)のpermission(許諾)を得ておくことがアメリカの出版慣行になっているからです。インターネットのホームページへの使用は,日本図書への使用と同視するわけに行かないでしょう。全世界に公開するわけですから。なお,水田さんのホームページは,読者の意見をメールで受け付けるのでなく,ブログという手段に頼っているので,少し不便です。)
    わざわざパソコンで英語学習法を検索するという人の大部分は,既に誰でも行なっている学習方法を求めているわけではありません。ちょっと考えれば簡単に思い付くような学習方法でも駄目です。特別の学習方法,上級者にしか知られていない学習方法を示すものでなくてはなりません。
    英語知識は,金になります。英語力が即,収入なのです。こういう,英語力を職業にしている上達者の間では,お互いが収入のライバルです。相手の英語力が伸びれば,こちらの収入が減ります。まともな英語学習法をホームページで公開するわけがありません。キーワード「英語学習法」には,そういう背景があるのです。

このホームページ

    ただ一人,まともな英語学習法をここに公開する私の場合,英語力を収入源にすることを避けて来た英語嫌いという異色の経歴を持ちます。
    私は,技術文献の翻訳市場が出来上がっていなかった1970年には,日本科学技術翻訳協会から約10倍の給料で翻訳管理室長など3つのポストを用意されたものの,もし承諾すれば,就職して間もない会社を突然に辞めることになり,会社に悪い,学校の評判を落とす,後輩たちの就職活動にも支障をきたすなどと思って,お断りしたのです。1年間勤務した会社を翌年に退職した時には,どのポストにも空きが無かったし,当時は未だ,英語力が職業として役に立つ状況にはなかったので,同協会翻訳士会からの四国支部長への就任要請さえもお断りしました。
    英語の上達者が翻訳を収入にするのでなく,翻訳の通信添削などの形で後進の学習者を食い物にするという構図を私は,大いに疑問視して来ました。翻訳プロに順位を付け,上級に合格したいと願う翻訳士検定受験の希望者を通信教育で学習支援するという事業を続けていては,翻訳プロの数が増え過ぎて,いずれは職業として成立しにくくなると憂慮したわけです。その予想は当たり,科学技術翻訳士という試験制度は昭和60年(1985年)に,上級の翻訳士が増え過ぎたために解消し,制度初期のころに正式登録していた私には,IBMパソコンでのネットワークに加入して欲しい,新しく設立される株式会社の役員になって欲しいなどの依頼が来ました。国家公務員(裁判所書記官)であった私は当時,忙し過ぎたので,その依頼もお断りしました。パソコンで今,科学技術翻訳士や科学技術翻訳協会を検索しても,ほとんど何の情報も出て来ないのは,同協会が解消した時の,そのような背景事情によるものです。
    英語学習法を私は,他人とは比べものにならないほど真剣に模索した経験があります。いい加減な学習方法に満足できなかった私が,ここに公開するのは,最高レベルの効果を持たらす学習方法です。読者を驚かせる自信があります。
    困難な学習に取り組む読者が先人に教えを求める場合には当然のことですが,読者において,孔子の「論語」述而編にある「ふんせずんばけいせず,ひせずんばはっせず(「ひ」の漢字にWindows XPのパソコンが対応していませんので,ひらがな読みだけを表記しておきました。有名な漢文だから,これらの漢字は,論語を扱う漢文参考書で調べておいてください。)」という啓発主義の学習態度に徹していただくことが,私の方法で英語の学習に上達していただく条件です。
    私個人が開設した,このホームページは,英語学習について一般常識であるはずの,重要ないくつかの部分が誤りであることも皆様にお知らせしております。英語の得意な人だけでなく,苦手な人,私と同様の英語嫌いなど,色んな人にアクセスして欲しいと思います。優れた知恵が寄せられれば寄せられるほど,このページに公開した内容もその信頼度が高まって行くことになります。
    学習者の認識の誤りを指摘する本については,過去にも多くの著者により,手を変え品を変えた作品が何度となく出版されて来ました。けれども,学習者の「知る権利」を台無しにするほどの根幹部分において,極めて深刻な誤りを世間に周知しようとするホームページは現在,このホームページだけです。英語学習に関心があろうが無かろうが,読まないわけに行かないでしょう。
    このホームページは,どういう段階の学習者であっても,「読んで良かった!」と思うに違いありません。英語学習の入門者,初心者,学校で学んだ英語が面白くなかったので,英語嫌いになりかけている人,学校の英語は完全に分かるが,英会話が苦手という人,学校の英語も英会話もできるが,洋画の聴き取りには困難を感じている人,学校の英語も英会話も洋画の聴き取りも皆,できるが,英語で書かれた小説の黙読にだけは困難を感じている人,英語の通訳の試験にも翻訳の試験にも合格して英語を収入手段にしているが,自らの英語力には満足していない人,外国語として英語を学ぶ日本人だけでなく,英語を母国語とする人,英語で小説を書いておられるアメリカの一流作家などなど,みーんな,大歓迎です。ウェブ・ページであるから,それは,当たり前のことです。私としては,大歓迎です。
    一方,読者の中には,どういう悪人が実際におられるやも知れません。嫌なことですが,ホームページには自由にアクセスできるのだから,仕方がありません。もっとも私には,悪人からの電話を受けた経験なら,数多くあります。徳島地方裁判所に勤務していたころには,外部からの難しい電話が全部,私の机に回されて来ていたからです。ガソリン・スタンドの店員経験もあり,客扱いが得意で,かつ,法律の猛勉強もしていた私を,電話交換室が放っておけなかったのでしょう。私のことを第二交換台と呼び,私の悪知恵(?)を充分に活用してくれたようです。「お前を今,殺しに行くから待っとれ!」などの怖い電話や犯罪者からの電話が,私の机に何度かかって来たことか。見知らぬ相手と敵対することは,今にして思えば身の毛もよだつのですが,そのころは裁判所という組織の一員であり,そのような危険も何とか無事にやり過ごして来ました。
    組織を離れた私のごとき英語嫌いが今,全世界に対して公開した英語学習のページを管理するなど,本当は,ものすごく怖いことかも知れません。けれども,英語嫌いであるからこそ私には,英語好きの人たちの目には見えにくい多くの客観的事実が見えております。
    このホームページでは,常に不適切部分を発見し,その手直しをして更新作業を続けて行くつもりです。そのためには,読者の皆様からの,優れたご意見や様々な観点からのご指摘が大いに役立ちます。自慢ではありませんが私は,病気による高熱など特殊な事情でもない限り,極めて高速で多くのメールを読破して,誠実にそれぞれの対応処理(嫌がらせメールの削除などの処理を含みます。)をして行こうと考える,相手思いの人間です。安心して,ご感想などをお寄せください。ご感想などをお寄せくださる場合は,こちらをクリックしてください。[ホームページからのメールは,本文に連絡先が書かれていないと,私から返信することができず,一方通行になってしまいますので,ご注意を。]

拙著「あの道筋」改訂版

    現在執筆中の拙著「あの道筋」改訂版で展開している内容も,世界がパソコンのインターネットでつながっている現在及び将来において,最も有望な英語学習法に直結するものであるとともに,一流作家による約600作品(原則として初版本)からの引用文多数を出典明示のうえ用いながら,時制や相,仮定法の記述では,受験用の文法項目を超える数多くの項目について現実の英文法を述べているものです。
    ホームページのタイトルの一部「あの道筋」という部分は,もちろん,同じタイトルの前述図書「あの道筋」に合わせたものです。同書の初版を執筆中のころにも私は,読者サービスのためにホームページを開こうと思っていたのですが,当時は世界的に,コンピューター・ウィルス問題が余りにもひどい状態でしたので,地元のDTPサービス・ビューローの人たちの助言も容れて,ホームページを開設しないことに決めました。
    その後,ウィルス対策ソフトの開発も進み,インターネットのプロバイダーが利用者に,ホームページ開設のためのサーバー用のファイルを貸し出すサービスが普及するようになるのと時を合わせたように,希望のホームページを検索してリンク先のページを開くことのできる検索エンジンも実用化して来ました。そこで私としても,遅ればせながら,このホームページを開設し,自らの著書の書名をタイトルに入れて用いたものです。
    ただし,内容的には,「あの道筋」初版(2002年。菁柿堂。ISBN 4-434-01785-3)の支援ページというよりも,むしろ,「あの道筋」改訂版(現在執筆中)の立場から,英語学習の本筋がどういうものであるかを,それまで別の道筋で学んで来られた人たちに対して,納得していただくことに主眼を置いております。むろん,初版や改訂版の著者としては,それらの図書における記載内容についての質問にも,誠実に対応して行くつもりです。ご質問を希望なさる場合は,こちらをクリックしてください。
    「あの道筋」改訂版の原稿をもとに,英文法の3大要素である発音,語彙,語法のうち発音について,英語の音素と綴り字の対応関係を紹介しておきます。この部分は,日本の英語教育実務では,無視ないし軽視されて来たようですが,高速での読破や早口英語の聴き取りには,こういう対応に慣れることが必要です。
    なお,音素を表わす発音記号は,ホームページの表示フォントに含まれていないので使えません。発音記号を用いた詳しい説明は,「あの道筋」改訂版には載せてあります。ここでは単に,音素の種類別に単語を並べておくことにします。見本語としては,発音と綴り字が完全に一致する単語なら理想ですが,綴り字の一部分が「誰が見ても,こう発音する」との共通認識に支えられたものでも充分です。そういうものを見本語として選んだうえで,見本語直後の[ ]の中には,それぞれの音素に対応する綴り字の部分を示しておきます。これは,発音と文字の対応訓練の第1段階です:

音素に対応する綴り字一覧

  1. about [a], ago [a], agent [e], alone [a], capital [i], circus [u], collect [o], easily [i], edible [i], focus [u], gallop [o], item [e], silent [e], soda [a], suppose [u], system [e]
  2. abut [u], blood [oo], cup [u], cut [u], humdrum [第1音節のu], mother [o], mud [u], mum [u], son [o], sun [u], ton [o], trouble [ou], up [u]
  3. humdrum [第2音節のu]
  4. act [a], at [a], bat [a], cap [a], carry [a], fashion [a], hat [a], map [a], marry [a], parrot [a], pat [a], patch [a]
  5. best [e], bet [e], bed [e], edge [e], ferry [e], let [e], men [e], merry [e], peck [e], pet [e], set [e], ten [e], wealth [ea]
  6. beat [ea], bee [ee], easy [ea], equal [e], even [第1音節のe], evenly [第1音節のe], feet [ee], nosebleed [ee], receive [ei], see [ee]
  7. active [i], banish [i], big [i], fit [i], furniture [i], guild [ui], if [i], is [i], it [i], mirror [i], obstacle [a], pit [i], stick [i], tip [i], women [o, e]
  8. book [oo], could [oul], foot [oo], look [oo], pull [u], put [u], sure [u], took [oo], tour [ou], wood [oo]
  9. battle [ttle], bottle [ttle], cattle [ttle]
  10. (tからn): button [tton], cotton [tton], eaten [ten], straighten [ten], mitten [tten]
  11. (dからl): needle [dle], paddle [ddle]
  12. (dからn): maiden [den], sudden [dden]
  13. (sからn): fasten [sten], lesson [sson]
  14. (zからn): horizon [zon], reason [son], risen [sen]
  15. burn [ur], butter [er], cur [ur], firm [ir], for [or], fur [ur], further [ur, er], heard [ear], her [er], learn [ear], mother [er], operation [er], person [er], sir [ir], term [er], urge [ur], word [or]
  16. age [a], ape [a], day [ay], face [a], fate [a], maid [ai], paid [ai], pay [ay], play [ay], prey [ey], rate [a], sail [ai], say [ay]
  17. bazaar [aar], bizarre [arre], car [ar], heart [ear], part [ar]
  18. cow [ow], coward [ow], mouse [ou], now [ow], loud [ou], out [ou], sour [ou]
  19. air [air], bare [are], care [are], dare [are], fair [air], Mary [ar], wear [ear], millionaire [aire]
  20. beer [eer], deer [eer], ear [ear], mere [ere], near [ear], pier [ier], pierce [ier]
  21. bite [i], buy [uy], by [y], deny [y], five [i], guide [ui], hire [i], ice [i], high [i], pie [ie], pirate [i], site [i], side [i], sky [y], time [i], tripe [i]
  22. boy [oy], coin [oi], destroy [oy], join [oi], joy [oy], noise [oi], noisy [oi], oil [oi], royal [oy], toy [oy]
  23. boar [oar], hoarse [oar], horn [or], horrid [orr], port [or], door [oor], shore [ore]
  24. boor [oor], insure [ure], tour [our]
  25. ah [ah], balm [al], barnyard [a, a], bomb [o], bother [o], cot [o], far [a], father [a], hot [o], lot [o], ox [o], pot [o], rock [o], wasp [a]
  26. all [al], ball [a], caught [augh], gnaw [aw], law [aw], lore [o], order [o], paw [aw], raw [aw], saw [aw], thought [ough]
  27. boot [oo], crew [ew], food [oo], fool [oo], move [o], ooze [oo], rule [u], too [oo], tune [u], youth [ou], few [ew]
  28. baby [b], back [b], bad [b], bed [b], bib [b], big [b], cab [b], cabin [b], rib [b], rob [b], table [b]
  29. adder [dd], bed [d], deed [d, d], did [d, d], do [d], dog [d], madder [dd], milled [ed], middle [dd], red [d], sad [d]
  30. cough [gh], cuff [ff], differ [ff], fat [f], fife [f, f], fifty [f,f], fit [f], for [f], free [f], graph [ph], if [f], phase [ph], phone [ph], puff [ff], rough [gh], tough [gh]
  31. bag [g], beg [g], big [g], dog [g], egg [gg], exist [x], gag [g, g], get [g], gift [g], give [g], go [g], wiggle [gg], trigger [gg]
  32. ahead [h], behave [h], hat [h], he [h], hear [h], her [h], hit [h], hope [h], how [h]
  33. ache [che], cat [c], cook [c, k], cut [c], keep [k], kettle [k], kick [k, ck], kill [k], kin [k], kind [k], make [ke], pique [que], quick [q, ck], quiet [q], seek [k], token [k]
  34. (直後に子音31と母音15が来るものにはng*1,単に母音15が来るものにはng*2と表示): anger [ng*1], bring [ng], drink [n], finger [ng*1], ink [n], long [ng], ring [ng], sing [ng], singer [ng*2], thing [ng], Washington [ng]
  35. cap [p], cup [p], escape [pe], lip [p], pepper [p, pp], pet [p], pin [p], pop [p, p], put [p], sample [p], supper [pp], stop [p]
  36. castle [s], face [ce], less [ss], miss [ss], office [ce], passing [ss], sauce [s, ce], say [s], see [s], sit [s], source [s, ce], yes [s]
  37. action [t], bush [sh], dish [sh], fashion [sh], machine [ch], mission [ss], push [sh], rush [sh], she [sh], shell [sh], ship [sh], shoe [sh], shut [sh], shy [sh], social [c], special [c]
  38. attack [tt], bit [t], butter [tt], cat [t], forty [t], it [t], late [te], later [t], latter [tt], letter [tt], matter [tt], seat [t], stopped [t, ed], tell [t], ten [t], tie [t], tight [t, t], top [t]
  39. bathe [the], either [th], father [th], other [th], smooth [th], that [th], then [th], this [th]
  40. every [ve], live [ve], love [ve], never [v], river [v], save [ve], very [v], voice [v], valve [v, ve], vivid [v, v], give [ve]
  41. breeze [ze], lazy [z], misery [s], musician [s], raise [se], rise [se], those [se], xylem [x], zebra [z], zero [z], zipper [z], zone [z], zoo [z]
  42. azure [z], beige [ge], garage [ge], measure [s],mirage [ge], pleasure [s], seizure [z], treasure [s], vision [z]
  43. hurry [rr], read [r], red [r], rarity [r, r], roar [語頭のr], run [r], spirit [r], try [r], wrong [wr]
  44. ich [ch], Buch [ch], loch [ch]
  45. all [ll], ball [ll], cellar [ll], coal [l], cradle [le], land [l], lap [l], let [l], lid [l], lily [l, l], low [l], mellow [ll], pool [l], yellow [ll]
  46. am [m], dam [m], dim [m], him [m], main [m], me [m], meet [m], murmur [m, m], my [m], number [m], nymph [m], summer [mm], time [me]
  47. candle [n], honor [n], in [n], need [n], net [n], no [n], now [n], on [n], own [n], sinner [nn], ton [n]
  48. born [r], near [r], roar [語尾のr]
  49. beach [ch], chew [ch], child [ch], chin [ch], church [ch, ch], much [ch], nature [t], picture [t], punch [ch], teacher [ch]
  50. (人によっては半母音wとしての単純子音): nowhere [wh], whale [wh], when [wh], which [wh], white [wh]
  51. agent [g], badge [dge], carriage [ge], edge [dge], enjoy [j], fudge [dge], gem [g], jam [j], job [j], join [j], joy [j], judge [j, dge], just [j], tragic [g]
  52. always [w], away [w], quart [u], quit [u], wait [w], we [w], will [w], witch [w], with [w], woman [w]
  53. canyon [y], cue [u], mute [u], onion [i], union [i], yard [y], yes [y], yet [y], young [y]
  54. accuse [u], cute [u], few [ew], music [u], tune [u], union [u], use [u], you [you], youth [you]
  55. cure [ure], furious [ur]

    母音文字a, e, i, o, uのそれぞれには,強音・弱音の区別,短音・長音の区別,2重母音(diphthong),あいまい母音(schwa)という読み方があります。また,子音文字b, c, d, f, g, h, j, k, l, m, n, p, q, r, s, t, v, w, x, y, zは,語尾のyを除くと,どれも母音文字と組み合わさってこそ,音節を構成することのできるものです。さらに,wはuを,yはiをそれぞれ弱めたような音で,半母音(semivowel)と呼ばれております。半母音は,母音と子音の両方の性質を備えており,有声母音のl, m, n, rなども半母音に含められることがあります。
    さて,次は,発音と文字の対応訓練の第2段階です。見出しには単一の文字のほか,連字(digraph),すなわち,2字で1個の音素に対応する2字も用いております:

文字・連字に対応する音素一覧

A, a

  1. able
  2. hat
  3. father; [地域によっては下記5を短音にしたa字のwhat; quality; swallowも,アメリカ一般英語では,この3]
  4. fast; branch; grasp; grass
  5. all; ball
  6. air; care
  7. image; obstacle; village
  8. about
B, b
  1. baby
  2. lamb; comb
  3. debt; doubt
C, c
  1. cat; cod; cut
  2. century; cite; accuracy
  3. indict; indictment; czar; muscle
CH, ch
  1. child; reach
  2. chorus; anchor
  3. Chevrolet; machine
  4. school; schedule
D, d
  1. dama; desk; aid; mode
  2. looked; equipped; watched; washed; pressed; laughed; relaxed
DG, dg
  1. badge; bridge; dodge; grudge; judge; pledge
E, e
  1. ether
  2. Phoebe
  3. college
  4. heaven
  5. written
  6. come
F, f
  1. fact; fence; fit; fox; fumble
  2. of
G, g
  1. game; go; again; signal
  2. length; strength
  3. age; village; college; gem; gin; gymnasium
  4. garage; menage
  5. gnarl; gnat; gnaw; sign; design; align
GH, gh
  1. cough; enough; laugh; chough; rough; slough; tough; trough
  2. aghast; ghastly; ghost; ghetto; gherkin
  3. hough; lough; shough
  4. hiccough
  5. daughter; high; light; nigh; sigh; thigh; height; eight; freight; sleigh; weigh; weight; hough; bought; bright; though; thought; although; through; thorough
H, h
  1. hat; head; hit; hot; hut; Khalkidike; Khania, Kharkov; Kherson; khaph, kheth
  2. ah; eh; oh
  3. honest; heir; honor; hour
  4. rhapsody; rhetoric; rheumatism; rhinoceros; rhyme; rhythm
I, i
  1. I, nice
  2. fatigue; machine; marine; unique
  3. sit
  4. English
  5. basis
  6. bulletin
J, j
  1. jam; jelly; jitter; job; just
  2. Junkers
  3. Juan; Juarez
K, k
  1. kangaroo; keen; kick; kowtow; kyte
  2. knack; knead; knife; know; knucle
KH, kh
  1. khaki; khan; khanate; Khartoum; Khrushchev; Khufu
  2. khmer
L, l
  1. language; lead; linguistics; alley; coal
  2. alms; balm; calf; calm; should; walk
M, m
  1. man, lam
  2. mnemonics
N, n
  1. name; neck; fan; run
  2. autumn; kiln; limn; hymn; column; solemn; condemn; damn
  3. king; banquet; concord; anxious; thank; bringer; hanger; longer; ringer; singer; slinger; springer; stronger; stringer
  4. angle; stronger; anger; finger; linger; longer
O, o
  1. old; pole
  2. dove; money; son
  3. move
  4. woman; wolf; wolsey
  5. cross; cloth; long
  6. odd; adopt
  7. recognize
  8. occur; custom
  9. Clinton; pardon; person
P, p
  1. pat; tap
  2. pneumonia; psychology; psalm; pshaw; ptarmigan
PH, ph
  1. philosophy; photo; triumph
  2. Stephen
Q, q
  1. quarter; question; quit; quote; inquire; request
R, r
  1. racket; red; rip; rod; run; practice; thread; trip; trod; drunk
  2. meter; favor; calendar
  3. arm; far; star; accord; ore; war; appear; ear; year; allure; insure; tour; air; dictionary; heir
S, s
  1. sand; mass
  2. rise; pens
  3. sure; pension
  4. measure; pleasure
SC, sc
  1. scale; scope; sculpture; scrape
  2. scenario; scene; scent; sceptor; science; scythe
SH, sh
  1. shall, wish
T, t
  1. take; trill; timber; ton; tune; sustain; system; routine; custom; autumn
  2. actual; situation
  3. potential; option; ambitious
  4. fasten; listen; often; castle; whistle
TH, th
  1. thin; path; mouth; mathematics
  2. that; then; mouthe
U, u
  1. use
  2. nude
  3. utmost; abut
  4. put; judicial
  5. business
  6. occupy
  7. autumn
V, v
  1. device; vehicle
W, w
  1. wrath; wreck; write; wrong; wrung
  2. whale; wheel; white
  3. whole
X, x
  1. wax; fox
  2. exact; examine; example; exempt; exude
  3. xenon; xenophobia
Y, y
  1. any; city; easy; many; abby; study; copy; hurry; angry; hungry
  2. by; cry; pry; try; occupy; identify
  3. yacht; yet; you
  4. bay; obey; guy; coy
Z, z
  1. amaze; size; zero

母音文字の連字

AA, aa

  1. aand
AE, ae
  1. paedomorphism
  2. Nathanael West
AI, ai
  1. saint
  2. said
  3. villain
  4. mountain
AO, ao
  1. aorist
  2. aorta
AU, au
  1. audio; taught
  2. daughter; haunt
  3. laugh
  4. aunt
  5. Faust
EA, ea
  1. sea
  2. head
  3. break
EE, ee
  1. cheese
  2. reenter
EI, ei
  1. eight
  2. height
  3. receive
  4. heifer
  5. foreign
EO, eo
  1. people
  2. leopard
  3. pigeon
EU, eu
  1. euphemism
  2. Freudian
IA, ia
  1. diameter
  2. bias
  3. media; appropriate (adj.)
  4. appropriate (vt.)
  5. carriage
IE, ie
  1. chief
  2. mischief
  3. lie
IO, io
  1. ion; iodine
  2. ionic; biology; antibiotics
  3. biochemical
  4. action
IU, iu
  1. calcium; cadmium; medium; polonium
OA, oa
  1. boat
  2. oasis
  3. abroad
OE, oe
  1. foe
  2. coefficient
  3. coexist
  4. does
  5. Phoebe
OI, oi
  1. avoid; coin; joint; noise; noisy; oil; poison
  2. tortoise
OO, oo
  1. noon; afternoon
  2. book
  3. cooperate
OU, ou
  1. count; found; loud
  2. couple; cousin
  3. coup; youth
  4. boulevard
  5. fought; thought
UE, ue
  1. fluent
  2. cue
  3. rescue; continue
  4. guess
  5. catalogue; dialogue; intrigue; league; mosque; opaque; pique; plague; rogue; tongue; unique; vogue
UI, ui
  1. build; guilt
  2. acquit; quit
  3. circuit; biscuit
  4. bruise; juice; sluice; suit
  5. conduit; ruin
  6. suite
UO, uo
  1. duo
  2. duodecimal
  3. quote
UU, uu
  1. vacuum

*****

    英語学習法で,どう学ぶかについては,このホームページに公開した内容だけで充分ですが,具体的に何を学ぶかについての学習材料は,拙著「あの道筋」改訂版に詳しく述べてあります。「あの道筋」初版(ISBN 4-434-01785-3。2002年。菁柿堂。)をお持ちなら,それでも結構です。もっとも,執筆中の改訂版の巻末に備えた固有名詞リストProper Nouns from Gardner's Perry Mason Storiesには,2611個の固有名詞に発音(文献に出ていないものは,Merriam-Webster社から教わりました。)と出典作品名,男女の名の区別などを表示しておきましたので,固有名詞の発音に慣れる訓練のためには,この改訂版以上の教材は考えられないでしょう。
菁柿堂(株)のホームページURLは,http://www.jade.dti.ne.jp/~seishido です。スラッシュとseishidoの間の波マーク(~のこと。tilde)は。シフトキーを押しながら0を押しても出てきません。その2つ右のキーをシフトキーを押しながら押すと出ます。改訂版は,出典を大幅に変更して文法事項も初版の3倍近くに増量したものです。改訂版の出版(価格や部数などの決定)の参考までに,改訂版購入の希望者の人数を調査いたしたいと思いますので,ご希望なさる方は,こちらをクリックして,このホームページからイー・メールをお寄せください。[注意:ホームページからのメールでは,本文に発信者のメール・アドレスを書いておかないと受信者からは返信することができないものと心得てください。]

    では,英語学習についての話を始めます。

英語の学習とは(方法論)

    英語の学習について誤った認識を持つ人の多くは,「具体的に何をどう学習すれば良いのかは,知っているけど,多くの単語や文を暗記することが嫌なので,やらないだけだ」などと言って,まともな学習を知ろうとしません。彼らは,自分らと同じ暗記嫌いや英語嫌いの人の多数が,まともな英語学習に成功していることすら,知らないのです。
    英語の学習は,大きく2つの学習段階に分けることができます。母国語として英語学習を行う場合には,最初は親など身近な人の話す,口頭での発言を模倣(もほう)することから始まります。基礎的な発音・語彙(ごい)・語法を身に付けて行くのも,そういう模倣の中においてです。それを第1段階と称しておきましょう。それらが身に付けば,やがて本を読めるようにもなります。すると,語彙が拡充するとともに語法にも磨きがかかって来ます。それが第2段階です。
    このように,基礎的な部分を他人真似(ひとまね)による学習に頼り,それ以後の学習の発展は読書に頼るという,母国語としての英語学習のやり方は,誰でも自然に上達することのできる学習方法です。これは基本的には,外国語としての英語学習にも応用することができるはずのものです。
    ただし,外国語としての英語学習に応用するには,さらに厳しい条件が加わります。すなわち,日本の国内で,英語とほぼ無縁の環境に大勢の学習者がいることを前提に,第1段階と第2段階の学習を効果的に行う方法を探ることになるのです。
    以下,第2段落の朗読学習までが,私が提唱する学習法です。

第1段階

    第1段階においては,模倣の対象にする英語を選ぶこと(アメリカの英語にしようか,イギリスの英語にしようか,など)から英語学習を計画して行きます。現在の世界情勢においては,アメリカの一般英語(アメリカのニュージャージー州から太平洋岸のカリフォルニア州に至る広い地域において話されている,アメリカ英語の中でも最大人口の方言)を選ぶのが,最も好ましい選択です。
    アメリカの一般英語は,英語の本家であるイギリスの英語よりも世界に対する影響力が大きいだけでなく,現在では出版物の部数においても,本家をはるかに凌(しの)いでおります。すると,学習対象の英語発音にしても,アメリカで実際に行われている発音,すなわち,Merriam-Webster社の辞書の発音表示に用いられているものを選んだうえで,アメリカ史上最も多くの読者を引き寄せたアール・スタンレー・ガードナー(Erle Stanley Gardner, 1889-1970)の小説の,ナレーション・テープの録音などを何度も繰り返し聴いて,それを模倣するのが,好ましい学習方法になります。Merriam-Webster社以外の出版社も英語辞書を出版しておりますが,発音に関する限りは,そういう辞書の発音では駄目です。本当に行われているとおりの発音を表示してあるのは,Merriam-Webster社の辞書だけです。ただし,語義や熟語に関してはPutnam社のThe Oxford American College Dictionaryが,語源に関してはMacmillan USA社のWebster's New World College Dictionary がMerriam-Webster社の辞書の不足部分を補っております。
    したがって,学習道具としては,Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, Eleventh Editionというカレッジ版の英英辞典(紀伊國屋書店BookWebを通じて購入なさる場合は,普通のハードカバー版ならこちらが,CD-ROM付きレザールック・サムインデックス版ならこちらがリンク先です。)やガードナーの推理小説の英語版,アメリカ一般英語の音声教材(CD,カセット・テープ,DVDなど)が必要になって来ます。また,発音記号としては,イギリスの英英辞典や日本の英和辞典に用いられているような国際音標文字(International Phonetic Alphabet; IPA)を金科玉条とするのでなく,Merriam-Webster社の独自の発音記号にも慣れる必要があります。
    学習の第1段階での,発音と綴り字に慣れる訓練においては,単語の音声を聴いただけで,その綴り字を言い当てることができるようになるまで,多くの単語について訓練を積むようにします。すると,未知の単語に出遭った場合にも,その綴り字を見て逆に,その単語の発音はどういうものであろうとの推測ができるようになります。
    なお,小説などに出て来る固有名詞のうち,かなりのものは,どの辞書を引いても出ておりません。そこで,予め,良く使われる人名や地名などの固有名詞について,既に分かっている,その綴り字と発音に慣れておくことが,知らない単語に対処する訓練になります。拙著「あの道筋」改訂版には,ガードナーの,Perry Masonを主人公とする85作品に出ている固有名詞全部に発音表示を付けて,巻末に備えておきました。
    英単語を音声(発音)に結び付ける訓練として第1段階では,英単語を筆記具で書いたり,パソコンなどのキーボードから文字入力する訓練も行います。英単語の発音を口ずさみながら,紙の上に文字を書いたり,パソコン画面に文字を表示したりするのです。

手書き文字の訓練

    英語の書き方のノートには,筆記体で書く練習をします。学校の試験においても,求められるのは,筆記体の英語でしょう。できるだけ高速で書けるように,ただし,あとでそれを正しく読める程度に,ていねいに書く訓練をします。
    それ以外に,普通罫線ノートには,活字体で書く練習をします。実は,活字体は,線が直線的であるため,筆記体よりも高速で書くことができます。速く,見やすく書けるので,活字体での筆記訓練は,やがて大いに役立つことになるのです。

キーボードから各文字を入力

    昔は,タイプライターを使うこと(typewriting。いわゆる,タイピング)も英語訓練に入っておりましたが,現在ではタイピングの代わりに,パソコンからのキーボード入力(keyboarding)が訓練の主流となって来ました。ここまで読んで来られた方は,十本の指を全部使って行うkeyboardingの訓練をしておいてください。パソコンのソフトには,そういう訓練のためのものもあります。昔のタイプライターの訓練用テキストでも結構です。十本の指で各文字を入力できるようになれば,学習の効率も上がります。
    この訓練を始める時期は,成人になってからでも遅くはありません。かく申す私自身,この日本文の各文字をワープロで入力するのに,2ストローク入力方式で入力しており,この入力方式のためには各指を独立で動かしているのです。この,2ストローク入力方式でワープロを打つ人は,リコー社や日立のワープロ専用機を用いるプロのインストラクター以外には,私くらいのものでしょう。大量の日本語文書を高速で入力するには,わざわざ漢字変換などしたくなかったので,2ストロークのコードに指を慣らしたのです。2ストローク入力方式とは,文字種キー48個とスペース・キー1個の,合計49個のキーのいずれかを1回叩いた後に,同じキーまたは別のいずれかのキーを1回叩くこと,すなわち,2ストロークの操作を2401(49の49倍)の日本語文字種(平仮名や片仮名の全部と数字や主要な漢字を含む)のいずれかに対応させる方式です。入力速度は,指の動く限り,いくらでも速くなります。忙しい仕事を持つ身で2401個の文字種に各指を慣らす訓練をして来た私から見れば,英文のたった48個の文字種に各指を慣らす訓練など,年齢に関係なく可能なことです。

英文の意味の理解と妨害

英会話の弱点と字幕スーパーによる妨害

    英会話の学習は,会話用の基本構文を用いて,英語を母国語とする話者(たとえば,アメリカ人など)の発言を音声で聴き取る訓練,質問と答え方の文を交互に繰り返して使う訓練,各自の意見を述べる訓練,他人と意見を述べ合う訓練など,英語の音声を発したり聴いたりの繰り返しを中心に行うものです。これを半年ほども積んで行くと,英語の音声を聴くと同時に,その発言の意味を直接に理解するようになります。日本語の訳を介在させなくとも,そのまま理解できるのです。[理解といっても,基本構文の範囲内です。旅行者が使う会話を想定したテキストとしては,「ひとり歩きの会話集,英語」(2009年,JTBパブリッシング。ISBN 9784533076930)が最も優秀です。口語英語一般としては研究社からロングセラーの「アメリカ口語教本」が何度も改訂を重ねておりますが,最近の改訂では昔の解説の誤りを手直ししているものの,英語の本文そのものが脇道に入り込んでおり,使いにくくなっております。いずれの教材を用いるにせよ,初学者の理解を支える,英単語の意味のあらましは,会話テキストの基本構文に付けられた日本語訳から類推することができます。英語と日本語では,単語と単語が意味のうえで,きちんと1対1に対応している例は少ないので,最初は,英単語の意味は,その日本語訳から自分なりに類推することになります。間違っていても良いから「こんな意味だろうな」と類推するのが大事です。類推する癖をつけておくと,やがて文脈からも類推するようになり,より正確な意味を把握できるようにもなります。]
    ところが,ここまで進んだ学習段階も,英語学習の第1段階に含まれるものです。すなわち,こういう英会話ができるようになっただけでは,字幕スーパーの付いた洋画を観賞する時には,俳優の英語が聴き取りにくくなるという現象が生じてしまいます。その理由? それは,洋画を観賞する人の頭では英単語の意味が英単語の音声に結び付いているため,その意味とほぼ同じ意味を日本語の字幕が示すことが次々に繰り返されて行くと,日本語と英語では多くの場合に意味の並ぶ順番が異なるので,ある単語の意味が英語の音声に出ていない時に,先に日本語の字幕のほうに出てしまうと,頭脳は無意識に,その意味に対応する英単語を予期することが起こります。意味が単一で特定のものであっても,それには,日本語でも英語でも,複数の単語が対応しております。すると,同じ意味の,別の単語を予期することが起こります。そして,別の単語の発音を予期してしまうのです。予期した単語の発音とは別の発音が聞こえて来ると,それを聴き取りにくくなります。いわば,「音声に対する,意味による干渉」が生じているのです。字幕スーパーが無ければ聴き取ることができるのに,字幕スーパーがあるために聴き取りにくくなるというのは,こういうことです。

黙読を和訳が妨害

    英会話では英文の意味を直接に理解できるようになった学習者も,英語で書かれた小説などを読むとなると,話は別です。その英文を英語のまま直接に理解できるようになったわけではありません。英会話ができても,英語の小説を直接に理解することができないのです。
    この場合に,直接の理解を阻(はば)んでいるものは,英文を日本語に訳して理解する癖です。この癖は,学校での英語教育において,英文和訳に頭脳が長期間,慣らされたために,身に付いてしまったものです。英語授業だけでなく,特に,長文読解の試験問題は,英文を英語のまま理解していない受験生に対して英文和訳を強いるものです。和訳をしない限り,正解に至ることができません。仕方なく,受験生らは,英文を見たら,まず,その和訳を思い浮かべるような条件反射を身に付けてしまうのです。
    こうして身に付いた条件反射は,実に,しつこいものです。その後の英会話訓練で,英会話ができるようになり,耳から聞こえる英文を直接に理解することができるようになった後においても,目で見る英文に対しては,無意識のうちに日本語訳のことを思い浮かべるようになり,これが干渉を及ぼすのです。
    学習の第1段階で,英会話ができる学習者も,上級の学習段階(第2段階)においては,この干渉への対策として,書かれた英文を英語のまま理解できるようになる訓練をすることになります。

第2段階

    ほとんどの日本人学習者に欠けている学習が,ここに述べる第2段階の学習です。
    第2段階の学習の中心は,英語の小説を読む訓練です。ここでは,黙読学習と朗読学習の両者を行います。

黙読学習

    黙読学習では,印刷された英単語を目で追う時に頭の中で,その単語の発音だけを念頭に置くよう,意識を集中しておきます。その英文を日本語に翻訳しようなどと考えない黙読訓練,目で英字を追いながら頭の中では英字の音声情報だけを再生させることを続けることにより,英語の直接理解ができるようになります。
    そうするだけで理解できるようになる理由は,小説のどの部分にも表われている文脈の存在です。理解というからには,英文の意味に接したうえで,それを頭脳に受け入れることが前提になるのですが,ここにいう「意味」とは,日本語への置き換えではありません。
    多くの語句には,使い方などによって様々な意味があります。同じ語句でも,皮肉を込めて使われれば,意味が大きく変わります。第2段階の学習者が頭脳に受け入れるべき英文の意味は,特定の文脈に用いられた語句の,特定の意味です。

文脈を重視

    日本語の文芸作品で一流のプロ作家になるには,芥川賞や直木賞などの文芸賞に入賞する以外に道がありませんが,英語の文芸作品では,比較にならないほど多くの道があります。Jeff Herman's Guide to Book Pyblishers, Editors, & LIterary AgentsWriter's Marketなどの本によれば,アメリカでは何千もの出版社が毎年,作家デビューを夢見る素人作家らの投稿作品を直接に,または,エージェントを通じて,受け付けております。そういう出版社は,それらの中から優秀と評価した作品だけを出版しているのです。
    優秀と評価された作品では,どの文章の部分も具体的な文脈に結び付いており,これしか表現のしようが無いと思われるほどの,選び抜かれた英語表現ばかりが使われております。分かりにくい発言の意味を読者は,いちいち著者に問い合わせるわけに行かないので,どの発言も文脈に対応するよう,明確な意味を提供するよう書かれているのです。
    文脈というからには,優れた作品の文章には,どういう年齢・性別・容姿・体格などの誰が,どのような気持ちで,誰に対して発言するなどの,具体的な状況が含まれております。そういう文章では,読者にとって少しくらい未知の単語が使われていたとしても,個々の文の意味は,文脈から分かるようになっております。こういうことは,外国語である英語の文章とて,同じことが言えます。
    すなわち,英語の推理小説を日本語に翻訳したりせず,そのまま読み進めて行って,未知の単語に出遭っても辞書を引いたりせず,適当に「どうせ,この文脈では,これこれこういう意味であろう」と思って,その場は,その部分を読み飛ばして先に進み,まずは,分かる範囲でその作品の内容を楽しむという,直接理解の方法があるのですが,その学習法が成り立つのも,学習者は,文脈からの意味の類推が可能であるような文章を読んでいるからです。

朗読学習

    英会話の訓練では,模範発音を耳から聴いて,それを真似た発音を自分の口で繰り返す訓練が行われます。いわゆる,リピート練習です。これに対し,朗読学習というのは,典型的には國弘正雄先生の提唱される「中学校の英語教科書を自分なりに大きな声を出して,ただ読むだけ」という学習方法です。語学の本質は,母国語であれ外国語であれ,自分中心の学習,その極端なものは独学ですから,これでいいのです。私の,納得してから次の学習項目に進むという学習方法においても,中学校の英語教科書を自分なりに大きな声を出して,ただ読むだけを20回通り,繰り返しておりました。
    しかし,第2段階での朗読学習は,少し違います。
    英語発音の各音素の発音は,第1段階で訓練ずみです。第2段階では,ガードナーの小説などをCDやカセット・テープに吹き込んだ音声版から聞こえる音声を模範として,自分なりに,それと同程度に発音する訓練が,その内容となります。小説の全部を録音した教材(音声教材の,いわゆる,unabridged edition)があれば,それを用いてください。それなら,聴き取れなかった部分を,あとで図書の英文の中から確認することができます。
    さて,以上の説明では,初めて聞くことばかりが多くて,頭脳活動が苦しくなった,説明も分からなくなったという読者の方々は,論より証拠,英文の推理小説を実際に読んでみることです。ガードナーは,長編小説の執筆に取りかかる何年も前に,既に短編作家として超一流であったため,どの文章に至っても,読者に対して明確な文脈を提供しております。会話部分の多い段落も,その例外ではありません。ガードナーの推理小説を英文のまま読んでみましょう。きっと,直接理解ができるようになるはずです。
    以上,ややもすれば有害な「教育」という概念よりは,真剣な学習者がひたむきに努力を向けている「学習」という無難な概念を中心に,英語の学習について最も好ましいと考えられる努力の方向を略述してみました。これだけで既に,読者の心の中には,小学校や中学校,高等学校,大学などの教養課程における英語教育の,望ましい形が明らかになっているでしょう。すなわち,私による,以上の記述を誠実に検討しさえすれば,文部科学省にとっても学習指導要領などを,作る必要が全くありません。

かつての子供たちの英語学習

    特に私の属する世代における英語の学習については,外部から押しつけられなくても子供たちは自発的に,外人レスラーの話す言葉に興味を持つなど,自発的な動機による独学がなされて来たものです。中学からは学校の授業科目として一定の型に押し込められる形での英語教育を受けるようになると,「英語好き」と「英語嫌い」に分かれてしまいました。

語学学習の中心は,暗記なのか?

    暗記が大嫌いであった私は,えせ学力テストを含め,いかなる英語試験においても「不正解すること」だけは大嫌いという,個人的な「わがまま」を貫き通しておりました。こういう方向の「わがまま」が強かったために私は,中学3年間を通じ,すべての英語試験に満点を取ることを続けておりました。60分問題など,2分もあれば,再検討の1分を加えても3分もあれば,全問正解することを続けていたのです。マルバツ式の問題であろうが,記入式の問題であろうが,さらには,長文読解式の問題であろうが,「わがまま」が極めて強かったために,正解が瞬間的に分かるのですから,あとは猛スピードで鉛筆を動かすだけでした。
    この私の,わがままを支えたのは,暗記でなく納得であることが明らかです。自分で納得の行かない問題の部分には,対応する正解など無いからです。もっとも,英語の試験で全問正解を続けた中学時代の私には,自らが,まともな語学学習をしているという意識など,全くありませんでした。

英文の実例,英語学習の道具

    中学の英語を完全に制圧したと自覚した時に私は,より本格的に英語を学習する方法に触れてある本を書店の店頭で色々,探してみました。書店には,イギリスやアメリカから輸入された小説や英英辞典なども並んでいました。どういう手順で英語を学んで行くかを決めることが,今後の学習の成功・不成功につながります。その結果,ウェブスター大辞典など,英米の辞書や参考書,それから,英文の実例がぎっしり詰まった小説などが,独学者にとって欠かすことのできない学習道具であると知るようになりました。[これは,当時の未熟な浅知恵です。今なら,ウェブスター大辞典よりも,そのカレッジ版のほうが大事であること,語学は究極的には独学であるから,独学者向けの学習道具を用いての学習が語学の学習者全員に当てはまることを知っております。]
    アメリカの辞書を使う時,単語の定義については細部に至るまで注意を払う必要があります。Merriam-Webster社のカレッジ版辞書Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, Eleventh Editionは,英語の単語を英語で説明しており,その定義はどれも,「これ以上に定義のしようがない」と思えるくらいに適切な表現になっております。また,同辞書の発音表示は,現代のアメリカ一般英語の発音を最も詳しく研究した成果です。同辞書の発音を担当なさったグウェンター博士(Josha S. Guenter, PhD)に対して私には,これまでの辞書や百科事典などに載っていない固有名詞の発音情報などを,イー・メールやレギュラー・メールなどで教えていただいた恩義があります。
    英語の辞書に載せる正確な定義文については,J.R.ハルバート著,中西秀男訳「英米の辞書」(北星堂書店1957年)の91頁ないし104頁の記述が最も分かりやすい資料です。この翻訳書は,福原麟太郎著「英語学習のすすめ」にも優良参考書として紹介されていた名著であり,私は16歳の時(1965年)に,これを個人的に何千回も読み返したものでした。この元になる原著は,James Root Hulbert, Dictionaries British and American. New York: Philosophical Library, 1955です。
    英語の発音と語彙の学習については,拙著「あの道筋」の初版(2002年菁柿堂。ISBN 4-434-01785-3)にも,その改訂版(執筆中)にも,詳細を述べておきました。

翻訳中心主義学習法

    これは,日本の学校教育の中で古くから,最も普通に行われてきた英語学習法です。英語教科書として英語ばかりで書かれたリーダーと呼ばれる薄い本を用い,そこに書かれた文の,新しい単語,新しい構文などを確認してから,その文を日本語の文に対応させることと,その英文を朗読することで,その部分の英語学習を完了したものとみなし,次の英文に進んで行くことを特徴とする学習法です。
    これは一見,英語と日本語の間の翻訳によく似ているので,翻訳中心主義学習法の名称が付けられております。翻訳との違いは,訳といっても文脈を背景に持たない文のみを対象にしていることと,日本語に無理なく対応させられる英文のみを用いていることです。ちなみに,入学試験などのための受験英語は,この範囲に収まっているため,きちんと学べば満点が約束されております。
    ところが,教科書を離れて,一般の英語,たとえばノーベル文学賞作家の受賞作などを理解するには,それでは全く歯が立たないのです。16歳当時の私が英語学習に行き詰ったと述べたのも,そこです。
    確かに英文は,単語を文法に従って並べただけに見えますが,教科書の文法を全部習得し,最も優れた英和辞典を駆使しても,日本語訳を作れない英文に,すぐにぶつかります。翻訳では意味を対応させるのですが,単語においても語句においても英語と日本語の間では,意味が完全に対応している単語や語句は,ほとんど無いのです。意味を考えるには背景文脈の考慮が不可欠です。けれども,そこまで考慮するとなると,翻訳中心主義学習法では,時間がかかりすぎることになります。
    一般英語に太刀打ちするには,暗記をせずに英語の理解語彙を10万語くらいに増やしておく必要があります。暗記などは時間の無駄です。理解語彙というのは,使用語彙とは違い,書けと言われても無理だが,読めと言われれば読んで内容を楽しむことのできる単語です。語彙を増やす? そう。ストーリーの展開に速度のある文章を,文脈を手がかりに,未知の単語は想像に任せて読み進める。・・・これ以外に現実的,実用的な方法は,ありません。これが,翻訳中心主義の欠点を埋める,推理小説利用の英語学習法(前述)です。

その他の英語学習法

    私流以外の英語学習法にも少し触れておきます。
1.イングリッシュ・アドベンチャーの方式:
    小説のナレーションを聞くだけで英語が分かるようになるをうたい文句にした宣伝広告を1980年代の新聞紙上に何年間も続けた英語学習法。代表的なのはIf Tomorrow ComesなどSidney Sheldonの小説を俳優George Orson Wellesが吹き込んだナレーションの音声教材を用いた学習法です。Sidney Sheldonの小説は,接続詞や前置詞の種類も語彙そのものも少ないので,読みやすく,ストーリーの展開にもスピード感があります。
    この方法は,私流の学習法の論理的手順に対応させれば,学習段階2の朗読学習に含まれることになります。すなわち,イングリッシュ・アドベンチャーの学習に入る前に,私流では,学習段階1の全部と学習段階2の黙読学習を済ませておくことになります。Sidney Sheldonの小説もアメリカ一般英語で書かれていますが,私流の学習法は最初から,もっと語彙の広い教材を予定しております。
    イングリッシュ・アドベンチャーは,優れた学習方法です。失敗なさった方も,ご自分に失望したり教材を責めることはありません。学習の順序に不備があっただけでしょう。
    そもそも,私流の方法では,アメリカ一般英語の発言者と全く同じ発音をする訓練のほうが先です。耳で注意して外国語を聞くだけでは,その外国語が分かるようになりません。日本人のほとんどは,ラジオからの中国語やハングルをしつこく聞かされているのに,中国語もハングルも分からないことと同じです。
    くれぐれも念を押しておきますが,イングリッシュ・アドベンチャーで学習を成功させるためには,このホームページに私が公開した学習段階1の全部と学習段階2の黙読学習も先に済ませておく必要があります。いわば100ある学習項目のうちの99以上がイングリッシュ・アドベンチャーに含まれておらず,その不足部分は,私の方法などで補強すれば良いというわけです。
2.国際的に通用する英語学習の方式:
    英語を母国語とする国々で実際に使用されている英語を模範とするのでなく,英語国以外の国の人たちが貿易など国際的な交流の場で意思疎通のために用いている,カタカナ英語に似た英語が意思疎通のうえでは十分に役立っている点を過大評価し,ごく単純な文法規則と単純な5母音による発音をもとに,自分流を精一杯に主張した英語を学習することを日本の学校でも進めて行くべきとする主張です。
    英語の上達者から見れば,「何をとぼけたことを!」「こんな主張は,論評する気にもならん!」などと立腹されて当たり前ですが,戦前の変則英語の主張にそっくりな,この主張が急速に支持者を広げつつある事実は,否定できません。そして,この学習方式も,私の学習法と同様,自分の頭で納得することを学習であると考える点では,全くの無茶でもないわけです。
    しかし,客観的には,英語を相手の戦いに,始める前から白旗を揚げているようなものです。学習の範囲を極めて狭く限定しており,英語の機能のうち意思伝達のみに注目したものです。英語を意思伝達の手段としか考えない人は少なくありませんが,人間の言語には,意思の伝達以外に,物事を考える道具という,最も重要な機能がある点を無視しています。
3.多読学習法:
    グロータース流の推理小説利用の学習法と大体同じですから,英語を直接に理解できるようになる効果のあることは判明しております。違う点は,用いる教材が一般英語の推理小説でなく,語彙範囲を最初は1000語や2000語などに制限して書き直したストーリーを用い,徐々に語彙の広いものに変えてゆくという点です。
    語彙数1000語や2000語の図書というものは,すでに1960年代にペーパーバックのLadder Editionという形のものが輸入されていましたが,一般英語の図書もLadder Editionも,日本では,あまり普及とまでは行きませんでした。
    語彙を制限した英語を学ぶことは,日本の中学や高校の教科書において押し付けられ,うまく行かないことが十分に立証されてきた学習方法です。未知の単語が読めないから除いておくとの考え方は,母国語の場合ならいざ知らず,外国語学習には不適切です。
    グロータース流の学習法に失望し,多読学習法に逃れてもなお,直接理解がうまく行かないと嘆いておられる方は,もう一度,グロータース流に戻ってきてください。今度は,本稿の手順に乗る形で,学習を進めてみてください。大量の語彙を含む一般英語に対して有効に太刀打ちするには,限定語彙の図書に逃げ込むのでなく,私が本稿に公開した音素と文字の対応訓練をしっかりやること,辞書はMerriam-Webster社の英英辞書なら使っても良いと考えることが大事です。
4.分厚い小説を1冊,母国語に訳し終えてみる学習法:
    これは,同時通訳者であったハンガリー人カトー・ロンブ(またはロンブ・カトー)が執筆し,米原万理が和訳した作品「わたしの外国語学習法」(1989年には創樹社が,2000年にはちくま学芸文庫が出版)において展開された外国語学習法。外国語(たとえば英語)で書かれた分厚い小説を1冊と,それの母国語(たとえば日本語)への翻訳書を1冊,それに辞書を1冊用いるものの,文法書は用いないで,自分流に翻訳を進めながら翻訳書の訳文と見比べることによって,頭の中に文法知識を蓄えてゆくというものです。この方法については私が,その本の出る20年以上も前に,これと全く同じ方法を試みたものの,時間不足や,文脈に合う語義,私が納得できる語義が英和辞典に出ていないことが原因で,失敗したことがあります。
    この方法は,翻訳中心主義学習法と同様,時間がかかり過ぎるのが欠点であり,私のような英語嫌いの人間には,苦痛がひど過ぎます。もちろん,発音を学習するためには,これとは別の方法に頼ることになります。

日本の英語教育は,文法教育に重点が置かれ過ぎか?

    昭和61年(1986年)4月,臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」の第3部第1章(3)「外国語教育の見直し」においては,「まず,中学校,高等学校等における英語教育が文法知識の修得と読解力の養成に重点が置かれ過ぎていること・・・を改善すべき」とされました。
    この事実を,もしもウェブスター辞典のノア・ウェブスター氏(Noah Webster, 1758-1843)が聞かれたなら,さぞや片腹痛い思いをなさったことでしょう。日本ではあまり紹介されておりませんが,ウェブスター氏が執筆したスペリング・ブックThe Elementary Spelling Book: Being an Improvement on the American Spelling-Book by Noah Webster, LLDは,百年以上も前のアメリカでは毎年百万部単位で出版され,当時のアメリカの全家庭に備えられていた,小さな本です。私の手持ちの1857年版は,日本流でいえば「新書版」くらいの寸法の,170頁くらいのハードカバー版です。この1冊の中には,特に英語の発音,語彙について,単語の綴り字を見ただけで発音が分かるよう,見事に分類された多数の単語を用いての訓練に,多くの頁が充てられております。単語リストの後には,たとえばA treatise is a written composition on some particular subject.などの見本文のリストが並んでおり,こういう見本文自体は,語法の模範になっております。すなわち,ウェブスターの小さな文法書は,発音,語彙,語法を読者に分からせるためのものです。で,その小さな本に書かれた内容のうち,どのくらいが日本の学校で今,教えられているかといえば,大学まで進んだとしても,その1割に満たないでしょう。発音にしても,語彙にしても語法にしても。この事実からは,日本の学生らが受けて来た英語教育では,とても「文法に重点が置かれ過ぎ」などと評することができません。臨時教育審議会のメンバーたちの見識不足が,ここに露呈してしまいました。充分な知識に基づいて審議されたならば,逆に,「日本の英語教育では,文法教育が不足している」と評されるべきでした。

英語教育の開始時期の見直しについて

    昭和61年(1986年)4月,臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」の第3部第1章(3)「外国語教育の見直し」では,英語の授業は中学から始めるのでは遅過ぎるとの結論に導くために色々な御託を並べております。けれども,その本音は,英語発音の聴き取りの困難に対処する唯一の方法が,幼年期からの英語教育であるとの思い込みが強いだけです。思い込みなのです。困難の原因が,実は,他にあるのを知らないだけです。

聴き取り困難な発音

    高校時代に交換留学生などとして英語国に行った人たちは,英語の聴き取りに苦労しており,特に,一定の単語の音声は全く聴き取ることができないと悩むようです。それに比べると,企業の海外駐在員の子供たちは幼いうちから英語を学ぶので,彼ら・彼女らは英語の聴き取りには苦労しておらず,単語の聴き取りができなかったのは,英語学習の開始年齢の遅かったことが原因なのだと思ってしまうのです。
    実際,たとえば,子音の連続する部分や弱音の母音部分,音節主音の部分などは,文脈からの類推なしでは聴き取ることが難しいでしょう。けれども,これは,英語を母国語としている人たちにとっても同様のはずです。そもそも,聴き取りにくい音は,発音している側においても,きちんと発音をしていないことが多いのです。
    たとえば,ガードナーの作品から,次の文を検討してみましょう:

You don't understand. You wouldn't adopt that attitude if you did.--- 1934 Erle Stanley Gardner, The Case of the Curious Bride. p.125.

    この部分は,この小説のカセット・テープ版(ISBN 0-88646-300-9; DURKIN HAYES AUDIO. 俳優William Hootkinsによる音声録音)のうち唯一,私が何度繰り返して聴いてみても,音素の区別が聴き取りにくい部分です。そもそも,その音声を吹き込んだWilliam Hootkinsは,この部分を,音素の区別を充分に意識せずに吹き込んだに違いありません。
    don'tでは,子音nと子音tが連続します。understandでは,子音nと子音d,子音sと子音t,子音nと子音dが連続し,しかも子音dは文末です。nの後の子音tや子音dは,舌先をくっつけたままの発音ですので,発音する側は楽ですが,聴く側にとっては大変です。それが分かっているアメリカ人は,standardのことをstannardと綴ることさえあります。
    wouldn'tの発音は,2音節です。第1音節は「ウ」に似た母音(子音wは,いわゆる,半母音であるから,直後の母音との組み合わせで実際は,2重母音類似の音)であり,第2音節は舌先を口蓋(こうがい)に押しつけたまま鼻の奥を締め切って有声音の息を閉じ込める発音(音節主音)です。
    この文は,きちんとアメリカ一般英語の発音がなされても,日本人は,聴き取ることがほぼ無理でしょう。聴き取りが困難な原因は,自らが正しく発音できないことにあります。自分でも正しく発音できるようになれば,聴き取りやすくなります。

私なりの学習論や教育論など

    受験英語を学ぶ人の多くは,丸暗記によって満点が取れれば,それで学習も完成と思いがちでしょうが,英語学習の基本は他人真似,すなわち,模倣であり,学習の完成型は,学習項目の単なる丸暗記でなく,納得です。
    本稿の最初のほうで私は,英語教育法一般が英語学習法の邪魔をしていると主張しているかのような,そう誤って受け取られ兼ねないような表現を用いました。誤解を避けるためには,少し敷衍(ふえん。本腰を入れた説明を加えること)する必要があるでしょう。前述「阿波の洋学事始」の著者である佐光昭二先生は,私の中学時代の恩師です。私は,佐光先生をはじめ,まともな英語教育に尽力されておられる方々の主張には敬意を抱いており,決して,英語教育法に全面戦争を仕掛ける意図などありません。
    英語の学習と教育の区別は一見,英語という同じ対象物について,学ぶ側と教える側に観点を分けただけのようにも見えてしまいます。しかし,そう見ては,いけないのです。
    英語教育法のほうは,暴利を追及する人たちから悪用されやすく,また,あまりにも多くの文献(たとえば,ケンブリッジ大学出版局から出版される英語教育関係の新刊書の点数は,毎月数百冊)が出版され続けているために,文献の主張が混乱して整理が追いつきません。そこに付け込めば,いくらでもインチキな主張を提唱して,そのインチキがばれないまま暴利活動を続けたりし放題なのです。
    それに比べると,英語学習法のほうは,暴利を追及する人から狙われることは少ないでしょう。学習者自身も,正直な学習効果を覚知することができるし,学習理論の正誤の判別も容易であるため,インチキを長く続けることは,困難なのです。
    以上に述べた学習論や教育論も,決して単なる机上論や他人の主張の丸写しなどでなく,私自身が体験したり身近な人の体験を直接に観察したものばかりです。文部科学省が新しい学習指導要領で進めようとしている,英語教育の開始年齢の低年齢化や英語だけを使う英語授業がいずれも失敗に終わる有様を,今から何十年も前に観察済みなのです。前者については,民間の英会話スクールで幼児向けの英会話が教えられていたもの,後者については,私を含めいずれも中学時代にクラス委員長であった者ばかりを相手に若い英語教師が1968年に実験してくださったものです。私以外の誰にも教師の英語が通じていませんでした。私は英語が嫌いでしたが,同級生の多くは英語好きであったにもかかわらず,なのです。
    私流の英語学習法も英語教師の新しい試みも,当時は未熟であり,手探りの段階でした。私がペーパーバックの推理小説を英語のままで毎晩1冊読破していたことを英語の教師らは,半信半疑だったようです。
    現実の私は今の年齢では,昔から積み重なって来たストレスをはね返すだけの肉体的・精神的な余力が残っておらず,とうとう私の頭脳の回転までもが衰えて来ました。そのため,「あの道筋」改訂版の原稿執筆は,遅れに遅れております。ただし,他人から励ましていただくことは大歓迎ですので,うつ病にかかっておらず,まだまだ努力を進めて行くことが可能であることを知っております。
    先ほど,優秀な作品ではどの発言も文脈に対応するよう,明確な意味に対応するよう書かれていると申しました。英語学習法を述べるのも,登場人物など具体的文脈を背景に述べたほうが,読みやすく分かりやすいに決まっております。そこで,ずっと読みやすいはずの自伝的フィクション「樹下夢」をリンクさせておきますので,ご希望の方は,ここ(「樹下夢」へのリンク)をクリックしてください。主人公「大津樹下夢」など,ほとんどの人名は,架空であり,こちらも話の続きは,現在執筆中です。私なりの学習論や教育論も,物語の中に展開しておきました。リラックスした気分で,ご覧になって下さい:

追伸:
    いかがだったでしょうか。暗記でなく納得の連続が学習である,単語を辞書で引いても,暗記するのでなく納得すれば,それでいいというわけです。動詞を進行形(be + -ing)にできる,できないの区別を文法書は,状態動詞であればできない,動作動詞であればできると述べておりますが,実際は個々の動詞によるのでなく,個々の語義によるのです。たとえばrealizeという動詞。通常は,-izeの語尾の動詞は「〜化する」の意味の動作を表しますが,realizeは多義語だから,Merriam-Webster社の辞書の定義では,状態を表している語義もあります。その辞書でto conceive vividly as real: be fully aware of(はっきり現実として把握している。十分に分かっている)との定義を見たときに,「なるほど,この語義だから状態か。道理で進行形にできないわけだ」と納得すれば,それで済ませる,暗記などしない,というのが,納得を中心とする学習です。
    さて,DTPソフトであるAdobe PageMaker 6.5JからのHTML書き出しがうまく行かないので,テキストファイルを書き出して,HTML用のタグを加えて,ここまで作りました。これからは,アクセスカウンターの付け方も学習したりして,このページを改良して行きます。[2010年10月13日現在,本ホームページは工事中です。]

追伸その2:
    検索で「英語学習法」の数も多いとのご指摘を受けましたが,これは,つい最近の現象です。検索に何度も,しつこく同じ内容の見出しで繰り返し出ている業者のホームページ。これが,見かけ上の数を不当に増やしております。そういうものでなく,個人のホームページ,個人の学習経験を正直に述べてあるページを見ていただきたいと思うのです。

    検索の大手ヤフー・ジャパンとグーグルが日本市場で提携したのが7月ころでしたか。それ以後に,検索キーワード「英語学習法」にも業者からのしつこいホームページが増えているようです。検索の見出しページは百ページしか出ておらず,まともなホームページが多数,排除されているとの推理は,的中していると思われます。「私以外の人が作成なさったホームページも見ていただきたい」と述べましたが,誠実な個人のページを探すのは,難しくなりましたよね。7月以前なら,そうでなかったのに。[2010年10月15日現在]

追伸その3:
    待望のアクセスカウンターを本日,設置しました。見出しリストと「はじめに」の間にある「あなたは何番目のお客様です。」という一行がそれです。[2010年10月20日現在]

追伸その4:
    文脈を背景に持たない文とは,How far is it from here to the nearest station?など,試験問題としては常連の顔ぶれと考えられるような文はすべて,文脈を背景に持たない文であると思ってください。極端に言えば,読んでいる人に,早く先を読んでみたいという気を起こさせる文以外は,文脈を背景に持たない文,未知の単語の知識を読者に教えてくれない文,まともな英語を大量に学習する邪魔にしかならない文ということです。
ちょっと厳しく言い過ぎたでしょうか?
    でも,ここまで厳しく英文をえり好みしておけば,「未知の単語よ,どんどん来なさい!」といえるわけです。もちろん,辞書を引くなと言っているわけではありません。まともな英英辞典は,引くべきです。それを使って未知の単語の定義を調べる時には,その単語の語源も調べておくことです。そうすれば,なぜそういう定義になったかなども納得することができます。定義を暗記したりせずとも,納得すれば,効果的に学習をしたことになります。 [2010年10月27日現在]

追伸その5:
[この追伸その5は,新しい項目「その他の英語学習法」として本文に移しました。2010年10月28日現在]

追伸その6:
    キーワード「英語学習法」での検索が,少し改善されました。ただし,10ページから100ページまでのほとんどで,イングリシュ・アドベンチャーや英会話学校など業者のホームページばかりが何度も重複している点は,従前のままです。[2010年10月29日現在]

追伸その7:
    このホームページ「英語学習法あの道筋」と拙著「あの道筋」改訂版との基調をなすとともに,最大テーマでもある納得主義学習について,もう少し述べておきます。
    一般英語をまともに学習するために,英語の綴り字と音素(母音または子音)の対応関係にはNoah WebsterのSpelling Bookを,アメリカ一般英語の発音にはMerriam-Webster社のカレッジ版辞書を,そして一般英語の文章を英語のまま直接に理解するためにはグロータース神父の推理小説利用の学習法をそれぞれ紹介しましたが,母国語を学習した時のように,全部の学習者がこれらの手段をうまく使いこなすには,納得を学習とみなす考え方が共通の鍵になります。
    英語を学習する場合には,名詞の複数形変化や動詞の活用形のような基礎知識においてさえも,暗記でなく納得するのが学習です。
    日本語では,長い物を数える単位の「本」は,「1本」なら「ぽん」であり「ほん」でも「ぼん」でもありません。「いっぽん」が「いっほん」や「いっぼん」よりも(日本人には)発音しやすいからです。
    英語の場合でも,penの複数形penzのsはzと発音され,bookの複数形booksのsはsと発音され,語尾の発音が既にs(glassのssなど)やz(roseのseなど),あるいは,それらよりも舌先の力を抜いたsh(dishのshなど)やzh(garageのgeなど)である名詞の複数形語尾-es(glassesの-es,rosesの-es,dishesの-es,garagesの-esなど)の発音がizであるのも,それが最も発音しやすいからです。複数形変化では,最も発音しやすいとか,他と区別しやすい綴り字とか,使う人にとって最も使いやすいようにできていることを納得することのほうが,暗記などより確実です。確実な知識を得ることが学習であるならば,暗記でなく納得が学習です。
    納得による学習が,英語綴り字と音素の対応関係の活用にも,Merriam-Webster's Collegiate DictionaryのEleventh Edition(10版との比較でいえば,発音表示をJoshua S. Guester博士が中心に担当された,この11版では,発音記号においても綴り字においても,それまで不統一であった音節区分が,十分に納得の行くよう統一されております。)の使用にも,さらには,グロータース流の学習方法を用いて英語の推理小説など一般英語の本を直接理解する場合にも,道を切り開く共通の鍵であることは,疑う余地のないことです。[2010年11月15日現在]

追伸その8:
    ヤフー知恵袋の検索「プリンタ,修理」のおかげでプリンタを修理することができたお返しに,知恵袋に質問と回答を寄せていましたが,英語のカテゴリーで「不定詞」というキーワードの過去の質問を覗くと,まるでサイト荒らしの溜まり場のごとき状況がありました。
    このままでは,「不定詞」を調べることは無理。まずは少し,探りを入れてやろうと,不定を不貞でないとの餌をつけて,わざと説明不足の回答を寄せたところ,小さな獲物が一匹かかっただけ。私に危険を感じているのか,あれほど暴れていた大きい獲物が食いついてこないのは,ある意味では,さすが。そんなことを言ってられない。「不定詞」の本来の知識をこのサイトに略述しておかねば。それで,本日の追伸は,不定詞の基礎知識です。
    不定詞(infinitive)とは,動詞の存在形式の一つであり,動詞の存在形式には,他に,普通形式,拡張形式,動名詞形式,分詞形式,Do 形式(どぅーけいしき)などがあります。
    たとえば,He came.の came は普通形式の過去時制表現ですが,He did come.の did come は Do 形式の過去時制表現,He was coming,は拡張形式の過去時制表現です。
    普通形式には,動作をする主体について,1.主格など格の区分,2.単数・複数の区分への対応を表わす形式があり,動作についても,3.時制区分,4.相(進行相と完結相)の区分,5.態(能動態と受動態)の区分,6.法(直説法と仮定法)の区分への対応を表わす形式があります。
    すなわち普通形式は,これらすべての区分に対応する形式を備える動詞なのです。
    それに比べると不定詞は,これらのうち一部に対応するに過ぎません。不定詞には,動作主体の格や数による区分はありませんが,時制による区分なら現在時制形式と過去時制形式があります。
    不定詞の現在時制表現には,動詞そのままの形(動詞の原形。裸の不定詞)と前置詞 to を伴う形(to 付き不定詞。to 不定詞[とぅーふていし])があります。たとえば,I saw him come.(私は,彼が来るのを見た。)の come は裸の不定詞,I compelled him to come.(私は,、強制的に彼を来させた。)の to come は to 付き不定詞です。
    不定詞の過去時制表現は,have + 過去分詞です。もちろん,to 付き不定詞の過去時制表現は,to have + 過去分詞です。I'm terribly sorry to have caused you such inconveniences ! (そのようなご迷惑をおかけして申し訳ありません。)の中の to have caused などがそれです。「迷惑をかけた」という過去時制を表現しているのです。
    不定詞のうち to 付き不定詞には,文中での品詞機能に注目すると,名詞的用法(〜すること),形容詞的用法(限定的用法。限定用法。〜すべき),副詞的用法(〜するために)という3つの区分があります。
To see is to believe.(見ることは,信ずることだ。)では to see も to believe も名詞的用法。I'd recommend you some good books to read.(読んでおくべき良い本を何冊かお勧めいたしましょう。)では to read は形容詞的用法。Well, I just dropped by to buy a calendar.(で,カレンダーを買うために,ちょっと立ち寄っただけさ。)にいう to buy は副詞的用法。
    どうでしょうか? 長くなり過ぎたでしょうね。しかし,基礎知識といっても不定詞を述べるには,これでも最短の説明なのです。[2010年12月1日現在]

[2010年12月21日更新]

追伸その9:
    ヤフー知恵袋に優れた回答が数件寄せられた時,その中に特別に優れた回答を見抜くことのできる回答者にesgmasonこと私は,出会ったことがありません。たとえば2日前,前置詞theの発音についての質問に,多くの優れた回答が寄せられましたが,内容の正確性においても表現の分かりやすさにおいても,kawamoto_oregonさんの回答が群を抜いていたことを質問者の方は分からなかったらしいのです。回答者たちを並べて聴き取りテストを行なうことなどできませんが,kawamoto_oregonさんが優勝したであろうことくらい,きちんと聴き取り訓練を積んだ人なら分かるものと思っていたのですが。
    中学時代に私は,英語の教科書以外に,リンガフォンの英語コースと米語コース,さらには英語聴き取り訓練テープまでも完全に聴き取ることのできるまで訓練を積み,県下で初めて行なわれた,実質ヒアリング・コンテストでもあるスペリング・コンテスト第1回の優秀賞10名の1人になれたのも,英米人と全く同じ発音ができるまで訓練を繰り返したからこそ,聴き取ることもできるようになったと思うのですが,その私にも聞き取れない音,それは,発言者がきちんと発音をしていない音です。
    また,辞書に書かれていなくとも,thatの発音は時々,thの音の代わりに,同じく舌先を使った音であるnの音になっており,さらに,thatをatと発音することも珍しくありません。また,面白半分にthの音を全部,fなど別の音で発音することもあるようです。
    これらも十分に分かったうえで回答していたのは,おそらく,kawamoto_oregonさんだけであったとの印象でしたが,BAは,他の回答者に行きました。それでも,もう少し時間を置いてからBAを決めてくれたのなら,多くの人にkawamoto_oregonさんの回答が役に立ったはずなのに,質問者は,すぐにBAを決めておりました。もったいない!
    だから,私や他の回答者が,どれほど苦心して正解を答えても,質問者がすぐにBAを決めてしまう現状では,その正解が多くの目に触れられる時間は,ごく僅かです。こういう無料サービスに協力するのも,もう限界であると感じて来ました。改善がなされるまでesgmasonは,しばらく撤退です。[2010年12月23日現在]

追伸その10:
    頭痛,めまい,視力低下,脳みそを金網で締め付けられるような感覚など,脳梗塞の前兆のような症状がひどくなってきたので,ホームページの更新ができずにいました。この症状はずっと続いていましたが,4日前の夜中に黒酢を飲んだところ,半時間後,ほとんど気にならないくらいに改善しました。それから毎日,黒酢を飲んでいますが,症状が少し改善しているだけで,やはり苦しい症状は続いています。すなわち,高血圧の症状です。
    それでも,わずかばかりの改善を最大限に生かして,改訂版の原稿執筆が少し進みました。早く,このホームページが本格稼動をするようになればと思って,健康に留意しつつ,頑張っています。[2011年2月8日]

追伸その11:
    黒酢を飲み忘れていたところ,めまいがありました。これは,危ない!    昨夜遅くに,Guenter博士へのメールを大急ぎで書いていたため,睡眠不足になったことも影響しているようです。
    ヤフー知恵袋については,負担にならないよう気に入った質問に回答を送るだけにしていたのですが,やはり入試の不正という形で,この知恵袋が大問題になりましたね。
    ハンドルネームaicezukiの質問のうち数学の一部と英語の全部は,この私も回答するかどうかを検討するために読んだことを覚えています。私は,質問者がむやみに質問を取り消すタイプの人間であるかどうかを第一に,そして,正解の回答でなく馬鹿な回答のほうにベストアンサーを与えるタイプの人間であるかどうかも確認したうえで回答に取り掛かっていました。だから,aicezukiの質問には,私から回答は寄せていなかったようです。
    この知恵袋などから,今の日本で最も望ましい英語学習の方法と内容が,ますます明らかになって来たように思います。「あの道筋」の改訂作業に役立てていきますので,読者の方々は,もう少し待っていてください。[2011年3月1日]

追伸その12:
    このホームページにも東日本大震災を記録しておきます。
    3月11日の午後2時46分ころ,東北地方を中心とする地域に強い地震があったようですが,パソコンにはヤフーから単に,仙台で震度5など,ここ数日前から続いていた地震と何ら変わらないと思われる内容のニュースが流れ,1時間後にも,ほぼ同じ内容の地震のニュースが流れました。
    震度5程度なら大した地震でないと思いながら,たまたまテレビをつけたところ,ひどい津波の様子と,四国の徳島にも大津波警報と避難指示がアナウンスされていました。震度5どころか,わが国観測史上最大の大型地震であり,当日午後6時にスーパーマーケットに配られた号外には「マグニチュード(M)は8.4と推定される」とありました。この推定値はその後,8.8に訂正され,昨日(3月13日)には最終的に9.0と発表されました。
    この災害では,地震と津波による被害が関東地方から北海道にかけての太平洋側に及びました。町や村がそのまま押し流されて跡形もないところがいくつもあり,生死未確認が2万人を超えます。本日現在,あちこちで数百人の死体を発見したものの回収できないとの報告がなされています。十万人を超える自衛隊員が出動し,海外からも救援隊員が多数来てくれて,救援活動が続き,すでに大勢が救われています。海岸には,押し流された住宅などの木材などが集まり,救援のための船を接岸することの出来ない状態が,もう4日にもなります。救援の方法は,ヘリコプターだけです。
    地震や津波よりもずっと恐ろしい事態が迫っています。東京電力の福島原子力発電所が炉心の溶融を始めており,打つ手がなく,単に海水を注入しているだけです。すでに1号炉と3号炉の建物は水素爆発で吹っ飛んでいます。20キロ圏内の人には家から出ないようにとの警告が出ていますが,相手は放射線物質と放射線です。家の中で安全なはずがありません。遠くへ逃げること以外に助かる道がないというのに,電力会社は嘘をつき続け,政府もそれを追認するだけの発表をしています。
    生死にかかわる情報だというのに,真実を話せば,パニックを起こすおそれがあるなどと,してはならない心配をしているのです。すでに先ほど,京都大学の原子炉工学の専門家である教授が,このまま進めば,手を付けられない事態になると述べていました。私も同意見です。私の,このホームページを見られた人は,政府発表よりは,原発反対派の学者(故湯川秀樹博士も朝永振一郎博士も生前,原発の危険性を警告しておられました。)の意見のほうを信用すべきです。この手の心配は,し過ぎるくらいで,ちょうど良いと思います。
    被災されている方たちに一日も早い救助の手が差し伸べられることを願うとともに,原発が最悪の事態に陥らないことを祈っております。[2011年3月14日]