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【発明の名称】 キャップレス万年筆
【発明者】 【氏名】レンツォ サルヴァドーリ
【課題】格納式ペン先を備えるキャップレス万年筆で、ペン先の出し入れおよび開口を閉鎖する機構が簡単で審美性および使い易さと両立する万年筆を提供すること。

【解決手段】この外部管状ハウジング1の一端は、半分が固定壁1aで閉じてあり、その内部に、やはり一端を半円形の壁2aで閉じた内部管状ハウジング2が回動可能に取付けてあり、この内部ハウジング内に、ペン先5を備えインクカートリッジに結合可能なユニット4を坦持するスリーブ3が軸方向および円周方向に移動自由に取付けてある。スリーブ3から出る突起10は、内部ハウジングの縦スロット9を通り、外部ハウジングの円周スロット7またはそれと直交する縦スロット8を通る。図1のこの万年筆の端が二つの壁で完全に閉じた状態から、突起10を軸周りに180°回転すると、端が開き、二つのスロットが重なり、突起を進めるとペン先5が出る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納式ペン先(5)を備えるキャップレス万年筆であって、外部管状ハウジング(1)、このペン先(5)、インク供給装置および上記ハウジング(1)内部に取付けた摺動インク筒(6)を坦持する筆記ユニット(4)、上記ハウジング(1)内の上記筆記ユニット(4)の軸方向運動用制御手段、および上記外部管状ハウジング(1)内に摺動且つ枢動するように収容した内部管状ハウジング(2)を含み、上記外部管状ハウジング(1)は、その端の一つがそれと一体の固定壁(1a)によって部分的に閉ざされていて、上記筆記ユニット(4)は、上記内部管状ハウジング(2)内に摺動可能に取付けてあり、上記内部管状ハウジング(2)は、この筆記ユニット(4)の軸方向運動を制御する上記手段によって制御された上記内部管状要素(2)の軸回転後に、第1動作位置で上記端を完全に閉じ、または第2動作位置で、このペン先(5)にそこを通過させるために、それを部分的に開くように、この外部管状ハウジング(1)の上記端に位置し且つ形状が上記固定壁(1a)のそれと相補の可動壁(2a)が作ってある万年筆。
【請求項2】
請求項1による万年筆に於いて、上記制御手段は、上記内部管状ハウジング(2)内に配置してあり且つ上記筆記ユニット(4)が固定してあるスリーブ(3)を含み、上記スリーブ(3)は、半径方向に突出する要素(10)を有し、上記内部管状ハウジング(2)も、内部に上記突出する要素(10)が摺動可能に係合する縦方向スロット(9)を有し、上記外部管状ハウジング(1)は、今度は縦方向スロット(8)およびそれから上記軸回転の角度に等しい幅だけ伸びる周囲スロット(7)を有し、上記ペン先(5)が格納位置にあるとき、上記突出する要素(10)も上記周囲スロット(7)に係合し、それによって、上記突出する要素(10)に上記スロット(7)の中を摺動させることによって、これら二つの縦方向スロット(8、9)が互いに重なるまでこの内部管状ハウジング(2)の上記軸回転を生じ、並びにこの様に、上記突出する要素(10)をそれら(8、9)の内部で摺動させることによって、上記筆記ユニット(4)の軸方向摺動および上記ペン先(5)の出現を生じる万年筆。
【請求項3】
請求項2による万年筆に於いて、上記縦方向スロット(8、9)は、上記ハウジング(1、2)の上記固定(1a)および可動壁(2a)を坦持する端と反対の端から上記ハウジング(1、2)の中間点まで伸び且つこれらのそれぞれの壁(1a、2a)と軸方向に対向する部分に配置してある万年筆。
【請求項4】
請求項1による万年筆に於いて、上記内部管状ハウジング(2)の上記軸回転および上記周囲スロット(7)は、約180°の幅を有する万年筆。
【請求項5】
請求項1による万年筆に於いて、上記ペン先(5)が格納位置にあるとき、上記外部管状ハウジング(1)の縦方向スロット(8)および上記内部管状ハウジング(2)の縦方向スロット(9)は、この軸線に関して直径的に対向する部分に配置してある万年筆。
【請求項6】
請求項1による万年筆に於いて、上記制御手段は、上記内部管状ハウジング(2)内に配置してあり且つ上記筆記ユニット(4)が固定してあり、外部らせん状突起(14)の付いた内部スリーブ(15)を含み、上記外部管状ハウジング(1)は、軸方向におよび枢動するように、内部に上記らせん状突起(14)が摺動するように係合する内部らせん状溝(13)の付いた外部スリーブ(11)の端で結合してあり、上記内部管状ハウジング(2)は、上記可動壁(2a)を坦持する端まで伸びる少なくとも一つの縦方向スロット(16)および上記縦方向スロット(16)の内端から伸びる少なくとも第2らせん状スロット(17)を有し、上記内部スリーブ(15)は、上記ペン先(5)が格納位置にあるとき、上記第2らせん状スロット(17)に係合する少なくとも一つの半径方向の歯(18)を有し、それによって上記外部スリーブ(11)をそれ自体の軸線周りに回転することによって、上記歯(18)が最初上記第2らせん状スロット(17)内を摺動し、これが上記内部管状ハウジング(2)の軸回転を生じ、次に上記縦方向スロット(16)の内を摺動し、これが上記ペン先(5)の出現を生じる万年筆。
【請求項7】
請求項6による万年筆に於いて、上記内部管状ハウジング(2)上に対向する部分に二つの縦方向スロット(16a、b)および上記縦方向スロット(16a、b)の内端から伸びる対向する側に二つの第2らせん状スロット(17a、b)があり、上記内部スリーブ(15)は、上記スロットの内側に摺動するように係合する二つの半径方向の歯(18)を有する万年筆。
【請求項8】
請求項6による万年筆に於いて、上記軸回転および上記第2らせん状スロット(17)は、約180°に等しい幅を有する万年筆。
【請求項9】
請求項6による万年筆に於いて、上記外部スリーブ(11)は、上記外部管状ハウジング(1)に、後者にねじ止したリング(12)によって、上記外部管状ハウジング(1)および上記外部スリーブ(11)の端を締結して後者の自由な軸回転を可能にするために、結合してある万年筆。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式ペン先の通路を閉鎖するための装置を備えるキャップレス型の万年筆に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の型の万年筆は、周知である。この型の万年筆にはキャップがないので、筆記ユニット(ペン先、インク供給装置および対応するインク筒を含む)が、ペン先が出て来られるようにするために、この軸または万年筆の内部へ滑り込む。この万年筆を使わず、ペン先が格納位置にあるとき、インクが乾くのを防ぐため、この万年筆の端に設けた通路を閉ざさねばならず、および使うときは開けられなければならない。キャップのない万年筆の周知のモデルでは、この軸の反対端のボタンを押すことによって、ボールペンを代表する機構を使ってペン先を出て来させる。この場合、使わないときは、シャッタによってペン先の出口通路を閉じておき、そのシャッタは、ペン先の送り装置またはその支持体によって柔軟に押すと上がり、ペン先が引込むと再び下りる。
【0003】
キャップなしの、従って格納式ペン先を備える万年筆を設計したいという要求に、このペン先ホルダの摺動機構および必要な閉鎖装置を制御する方法の問題がある。そこでこの問題の解決策は、構造的単純性、万年筆の美しさおよび使い易さと両立しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、上述の機能的および審美的要件を満たす、キャップレス万年筆を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によるキャップレス万年筆で、その主な特徴が、この外部管状ハウジングがその端の一つをそれと一体の固定壁によって部分的に閉ざされていて、内部に上記筆記ユニットが摺動可能に収容してある内部管状ハウジングがこの外部管状ハウジング内に摺動且つ枢動するように取付けてあるという事実である万年筆で達成される。この内部管状ハウジングと一体の可動壁も設けてあり、それは、この筆記ユニットの軸方向運動を制御するのと同じ制御手段によって制御されたこの内部管状要素の軸回転後に、第1動作位置でこの端を完全に閉じ、または第2動作位置で、このペン先にそこを通過させるために、それを部分的に開くように、この外部管状ハウジングのこの端に位置し且つ形状がこの固定壁のそれと相補である。この様にしてユーザがこの筆記ユニットを軸方向に動かすために加える動作が最初この可動壁を回転させ、次にこの万年筆の軸の端でペン先用の通路を開く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
特に、この筆記ユニットの軸方向運動の制御手段は、半径方向に突出する要素を有するスリーブおよびやはり内部をこの突出する要素が摺動する縦方向スロットを有する内部管状ハウジングを備える実質的にバヨネット型でもよい。この外部管状ハウジングは、今度は縦方向スロットおよびそれから軸回転の角度に等しい幅だけ伸びる周囲スロットを有し、このペン先が格納位置にあるとき、この突出する要素が周囲スロットに係合し、それによって、この突出する要素にこのスロットの中を摺動させることによって、これら二つの縦方向スロットが互いに重なるまでこの内部管状ハウジングが軸の周りを回転し、および次に、この突出する要素をそれらの内部で摺動させることによって、この筆記ユニットの軸方向摺動およびこのペン先の出現/格納を生じる。
【0007】
本発明によるキャップレス万年筆の、利点は勿論、特徴は、添付の図面を参照して、非限定的例として挙げる、その実施例の説明から明白となろう。
【0008】
予め、添付の図面では、この万年筆の外部構造を非常に概略的方法で表し、それが設計者の審美的選択および本発明による技術的解決策を組込んだ万年筆のモデルによって変り得ることが明白であることを述べなければならない。
【実施例1】
【0009】
この発明による万年筆の第1実施例を図1ないし図5に示す。これらの図を参照して、1は、この万年筆の軸を形成し、ほぼ半円形の固定壁によって端が半分閉じた、外部管状ハウジングであり、および2は、外部管状ハウジング1の内側に同軸に且つ枢動するように取付けた内部管状ハウジングである。この内部管状ハウジング2の一端は、壁1aに当接し、次には、可動壁と呼ぶ、形状がほぼ半円形で、従って固定壁1aのそれと相補の壁2aによって部分的に閉ざされている。内部管状ハウジング2は、軸方向に摺動可能な方法で、概略的且つ4で示す筆記ユニットを坦持するスリーブ3の上に取付けてあり、そのユニットは、インク供給装置を含み、それからペン先5が軸方向に伸び、反対部分から、例えば、交換可能カートリッジ型の、インク筒6に結合してある。
【0010】
この外部管状ハウジング1は、壁1aがあるのと反対端近くに、ハウジング1の軸に垂直な平面上をある長さ、特に180°に亘って、伸びる円周方向スロット7を有する。円周方向スロット7は、同じ端からこの全長に沿ってほぼ中間までで伸びる、この外部管状ハウジング1の縦方向スロット8で終る。内部管状ハウジング2は、壁2aがあるのと反対の端からその全長に沿ってほぼ中間までで伸びる、縦方向スロット9も有する。スリーブ3から、内部管状ハウジング2のスロット9と係合する、半径方向に突出する要素10も伸びる。
【0011】
縦方向スロット9は、内部管状ハウジング2の他端に設けてある壁2aに関して直径的に反対端に設けてある。同様に、縦方向スロット8は、外部管状ハウジング1の他端に作ってある壁1aに関して直径的に反対端に設けてある。この様にして、スロット8および9が中心軸に関して直径的に対向して位置するとき、壁2aは、壁1aによって覆われない、外部管状ハウジングの端1aの開いた部分を完全に閉じる。
【0012】
ペン先5が図1に示すように完全に引込んでいるとき、半径方向に突出する要素10は、縦方向スロット9および円周方向スロット7の両方と、上記スロットが外部管状ハウジング1の縦方向スロット8と出合うのと反対端で係合する。スリーブ3の半径方向に突出する要素10を円周方向スロット7の一端から他端まで摺動させることによって、内部管状ハウジング2の対応する回転を引き起し、壁2aが図1に示す位置から、それが壁1aの近くにその後にある図2に示す位置へ変位し、ペン先5のために通路を開けておく。
【0013】
内部管状ハウジング2の回転後、縦方向スロット9は、縦方向スロット8と半径方向に整列し、それによって半径方向に突出する要素10をスロットに沿って軸方向に動かせ、スリーブ3を内部管状ハウジング2の内側を軸方向に摺動させ、ペン先5を壁2aが開けておいた通路から現れる結果となる。このペン先を内部管状要素2の内側に引込め、後者を閉じるためには、半径方向に突出する要素10に、それを円周方向スロット7の閉じた端へ戻すために、逆動作を行うことが必要である。
【実施例2】
【0014】
図6および図7に示す、この発明の別に実施例によれば、別の制御システムを使ってペン先5を出し入れする。図示する二つの実施例では、同じ要素に同じ参照番号が付けてある。
【0015】
図6および図7を参照して、その端に固定壁1aを備える、外部管状ハウジング1は、ねじ付きリング12によって、それがその軸上を自由に回転できるように、端と端を接し外部管状ハウジング1に結合した外部スリーブ11と軸方向に整列している。スリーブ11の内側に、らせん状溝13があり、ペン先5を備える筆記ユニット4およびインクカートリッジ6を坦持する内部スリーブ15上に作ってある対応するらせん状突起14が溝13と係合する。外部管状ハウジング1の内側に、この発明の先の実施のように、その端に、固定壁1aに当接する、可動閉鎖壁2aを備える内部管状ハウジング2がある。この内部管状ハウジング2は、外部管状ハウジング1に枢動するように取付けてあり、および直径的に対向する部分に作ってあり且つその中間部から可動壁2aを備える端まで延びる、1対の縦方向スロット16a、16bを有する。二つの縦方向スロット16aおよび16bから、直径的に対向する部分から内部管状ハウジング2の側面に沿って反対方向に伸びる二つのそれぞれらせん状のスロット17aおよび17bが走る。
【0016】
内部スリーブ15の、ペン先5が伸びる前端から、内部管状ハウジング2内にある内部スリーブの運動を案内する、二つの半径方向歯18が直径的に対向部分から伸びる。更に具体的におよび図6に示すように、ペン先5が内部管状ハウジング2内の格納位置にあるとき、二つの半径方向歯18は、らせん状スロット17aおよび17bの端に位置する。外部スリーブ11を180°回転すると、内部スリーブ15は、進ませられおよび、最初はらせん状スロット17a、bと係合し次に縦方向スロット16a、bと係合する、その歯18によって内部管状ハウジング2に拘束されて、回転できずに軸方向に摺動するだけで、代りに歯18がらせん状スロット17a、bを通り抜けるまで内部管状ハウジング2を180°回転させる。この様にして、閉鎖壁2aが図6に示す位置から、それが壁1aの近くにその後にあってペン先5のための通路を開けておく、図7の位置へ移る。
【0017】
この発明の本実施例で、この万年筆は、この場合内部管状ハウジングが回転する間ペン先5が前進し、それによって二つの内部および外部管状ハウジングは、壁2aが図7に示すその最終位置に達する前に、それが回転する間ペン先5が壁2aと干渉するのを防ぐに十分な付加的長さがなければならないので、先に説明し且つ図1ないし図5に示したものより必ず長いだろう。
【0018】
各場合に、本発明のために、長さが短く且つペン先を出し入れするために片手しか使わなくても非常に使い易い万年筆を作ることが可能である。
【0019】
この発明への種々の修正および変更は、この開示を検討すれば察知されよう。これらの変更および追加は、以下の請求項によって定義するこの発明の範囲および精神内内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による万年筆の第1実施例の、ペン先を格納した縦断面図である。
【図2】図1の万年筆の、ペン先を出した縦断面図である。
【図3】図1の万年筆の矢印Fによる正面図である。
【図4】図1の万年筆の外部ハウジングの側面図を示す。
【図5】図1の万年筆の内部回転ハウジングの縦断面図である。
【図6】本発明による万年筆の第2実施例の、ペン先が格納位置にある縦断面図である。
【図7】図6の万年筆の、ペン先が出した位置にある縦断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 外部管状ハウジング
1a 固定壁
2 内部管状ハウジング
2a 可動壁
3 スリーブ
4 筆記ユニット
5 ペン先
6 インク筒
7 周囲スロット
8 縦方向スロット
9 縦方向スロット
10 突出要素
11 外部スリーブ
12 リング
13 らせん状溝
14 らせん状突起
15 内部スリーブ
16 縦方向スロット
17 第2らせん状スロット
18 歯
【出願人】 【識別番号】505373269
【氏名又は名称】スティピュラ フィレンツェ エッセ.エッレ.エッレ.
【出願日】 平成17年10月5日(2005.10.5)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100087217
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕

【識別番号】100072822
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徹

【公開番号】 特開2006−103333(P2006−103333A)
【公開日】 平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願番号】 特願2005−291843(P2005−291843)