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【発明の名称】 万年筆用ペン先
【発明者】 【氏名】浜本 博文

【氏名】長原 宣義

【目的】 和紙や半紙のようなインキ吸収力の大きな紙の上にインキが紙に滲んだ状態の太い筆跡で大きな文字を書く場合のように、筆記時にインキを大量消費する場合にもインキの供給が追従できて筆記可能な万年筆用ペン先を提供する。
【構成】 インキ溝2が切り割られた先端部分を肉厚にするか、又は先端の元板1部分に合わせ板5を貼り合わせて肉厚にし、更には、元板と合わせ板の間にインキ溝と連通するインキ保持可能な隙間6を設けて、ペン先に保持されるインキ量を増大させ、インキの大量消費にインキの供給が追従できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端から所定長さのインキ溝が切り割られた万年筆用ペン先において、該インキ溝が切り割られた先端部分が肉厚になっていることを特徴とする万年筆用ペン先。
【請求項2】 先端から所定長さのインキ溝が切り割られた万年筆用ペン先において、該インキ溝が切り割られた先端の元板部分に合わせ板を貼り合わせて肉厚にしたことを特徴とする万年筆用ペン先。
【請求項3】 前記元板と合わせ板の間にインキ溝と連通するインキ保持可能な隙間を設けたことを特徴とする請求項2記載の万年筆用ペン先。
【発明の詳細な説明】【0001】本発明は、万年筆用のペン先に関するものである。
【0002】
【従来の技術】万年筆用のペン先は、ステンレスや金合金からなる板厚が0.3mm程度の金属板を断面形状を略円弧状にするとともに、先端部が略三角形状に成形されており、周知の形状をしている。そして、先端から所定長さのインキ溝が切り割れるとともに、先端に超硬合金からなる玉が溶接されている。かかるペン先がインキのボタ落ち防止機能を有するペン芯とともに万年筆の先口に取り付けられるが、インキ筒から供給されたペン芯のインキがペン先のインキ溝に伝達され、筆記に供される。そして、大きな筆圧をかけると先端部が撓んでインキ溝が広がり、太い筆跡で文字を書くことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、万年筆用のペン先は、筆圧の大きさによって筆跡の太さを調節できる長所を有する。従って、ときには和紙や半紙のようなインキ吸収力の大きな紙の上にインキが紙に滲んだ状態の太い筆跡で大きな文字などを書き、毛筆で書いた文字のようにすることがあるが、かかる場合は当然のことながらインキの消費量が多くなる。しかし、インキ吸収力の大きな紙面に供給されるインキは、ペン先のインキ溝に毛細管力で保持されたインキであるのでその量は少なく、インキの大量消費にインキの供給が追従できない不具合がある。
【0004】そこで本発明は、和紙や半紙のようなインキ吸収力の大きな紙の上にインキが紙に滲んだ状態の太い筆跡で大きな文字を書く場合のように、筆記時にインキを大量消費する場合にもインキの供給が追従できて筆記可能な万年筆用ペン先を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明は、先端から所定長さのインキ溝が切り割られた万年筆用ペン先において、インキ溝が切り割られた先端部分を肉厚にし、もしくはインキ溝が切り割られた先端の元板部分に合わせ板を貼り合わせて肉厚にし、インキ溝に保持されるインキ量を増大させる。
【0006】又は、元板と合わせ板の間にインキ溝と連通するインキ保持可能な隙間を設けてペン先に保持されるインキ量を増大させる。
【0007】
【作用】すなわち、万年筆のペン先において、インキ溝が切り割られた先端部分を肉厚にするか、又は先端の元板部分に合わせ板を貼り合わせて肉厚にし、更には、元板と合わせ板の間にインキ溝と連通するインキ保持可能な隙間を設けて、ペン先保持されるインキ量を増大させたので、筆記時にインキを大量消費する場合にもインキの供給が追従できて筆記可能になる。
【0008】
【実施例】以下に図面に示す実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。図1は本発明実施例の平面図を示すが、本発明の万年筆用ペン先の平面形状は周知の万年筆用ペン先とほとんど同じである。つまり、板厚が0.3mmのステンレス板からなる元板1は、断面が略円弧状に成形され、先端は三角形状になっている。そして、先端に超硬合金からなる玉3が溶接され、先端から所定長さのインキ溝2が切り割れている。
【0009】ここで、元板1先端部のインキ溝2が切り割られた部分は板厚が厚くなっており、肉厚部4を構成している。板厚は、図2に示すように、先端ほど厚くなっており、玉3の近傍の肉厚は1.25mmである。従って、インキ溝2の面積は従来の万年筆用ペン先よりもずっと大きくなっており、しかも先端ほどインキ溝2の面積は大きくなっている。
【0010】肉厚部4を構成するために、図3に示すように、板厚が一様な元板1に合わせ板5を貼りあわせてもよい。このとき、元板1と合わせ板5の間に、インキ溝2に連通する隙間6を設け、インキ溝2に供給されたインキか隙間6にもインキが保持され、かつインキ溝2のインキが消費されると隙間6のインキがインキ溝2に供給されるようにするのがよい。
【0011】かかる構成の万年筆用ペン先がインキのボタ落ち防止機能を有するペン芯とともに万年筆の先口に取り付けられるが、インキ筒から供給されたペン芯のインキがインキ溝2に伝達され、筆記に供される。このとき、インキ溝2、ないしは隙間6も含めたインキ溝2に保持されるインキは従来の万年筆用ペン先よりもずっと多いので、例えば和紙や半紙のようなインキ吸収力の大きな紙の上にインキが紙に滲んだ状態の太い筆跡で大きな文字などを書く場合のように、インキを大量に消費する場合にもインキの供給が追従するので筆記可能になる。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の万年筆用ペン先は、インキ溝が切り割られた先端部分を肉厚にし、もしくはインキ溝が切り割られた先端の元板部分に合わせ板を貼り合わせて肉厚にし、更には、元板と合わせ板の間にインキ溝と連通するインキ保持可能な隙間を設けてペン先に保持されるインキ量を増大させたので、和紙や半紙のようなインキ吸収力の大きな紙の上にインキが紙に滲んだ状態の太い筆跡で大きな文字を書く場合のように、筆記時にインキを大量消費する場合にもインキの供給が追従できて筆記可能な万年筆用ペン先とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002314
【氏名又は名称】セーラー万年筆株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田原 寅之助
【公開番号】 特開平9−30181
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−200318