|
【発明の名称】 |
万年筆 |
【発明者】 |
【氏名】岩間 満 【住所又は居所】神奈川県平塚市西八幡1丁目4番3号 株式会社パイロット平塚工場内 【氏名】斎藤 光樹 【住所又は居所】神奈川県平塚市西八幡1丁目4番3号 株式会社パイロット平塚工場内 |
【課題】金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆に関して、万年筆のペン先が、筒状体の一部を除去する形で形成されているため、ペン先の根元が軸筒の外周と一体で形成しており、弾力性に乏しく、書き味が硬いものであった。
【解決手段】ペン先が先端部に先端から後方へ延びる切割りを設けてインキ流路を形成すると共に、切割りを挟んだ外縁の両側にスリットを形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆において、前記ペン先の先端部に先端から後方へ延びる切割りを設けてインキ流路を形成すると共に、切割りを挟んだ外縁の両側にスリットを形成することにより筆圧に対するペン先の変形量を大きくすることを特徴とする万年筆。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を切断や切削によって除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に、軸筒の前方部にペン先を一体で形成してなる万年筆は知られている。この様に形成した万年筆は、ペン先と軸筒とが別部材である通常の万年筆に比べて構造が単純であり、工数や部材数が少ないことからコスト的に優れると共に、軸筒からペン先にかけて一体的な流れを持つシルエットは独特のデザイン性を持つものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様な万年筆のペン先は、筒状体の一部を除去する形で形成されているため、ペン先の根元が軸筒の外周と一体で形成しており、弾力性に乏しく、書き味が硬いものであった。 【0004】本発明は、金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆の書き味を滑らかにすることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】次に、前記課題の解決するために案出した本発明の万年筆を説明する。「1.金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆において、前記ペン先の先端部に先端から後方へ延びる切割りを設けてインキ流路を形成すると共に、切割りを挟んだ外縁の両側にスリットを形成することにより筆圧に対するペン先の変形量を大きくする。」 【0006】本発明において、ペン先の先端部に先端から後方へ延びる切割りを設けてインキ流路を形成すると共に、切割りを挟んだ外縁の両側にスリットを形成するのは、ペン先にスリットを形成することにより、筆圧に対するペン先の変形量を大きくして、書き味を滑らかにするためである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明を理解し易くするために図を用いて説明を行なう。図1は、本実施の形態例の万年筆の組立時の一状態を示す図である。図1において万年筆1は、前部軸筒2と後部軸筒3と、前部軸筒2と後部軸筒3とを螺合接続する接続筒4からなり、前部軸筒2は前方にペン先5を備えており、図示はしないが、前部軸筒2内に内芯を装着して万年筆としている。また、ペン先5の中心にはインキ流路となる切割り5aを形成し、切割り5aを挟んだ外縁5bの両側にはスリット5cを形成してある。 【0008】前部軸筒2におけるペン先部の形成工程について詳述する。図2は、筒状体から前部軸筒およびペン先を形成する際の概念を示す図である。図2において、筒状体20はしぼり加工により形成したステンレスからなるものであり、前端には閉口した閉口端部2a、後端には開口した開口端部2bを設けている。まず始めに、プレス機を用いて筒状体20の閉口端部2aを打抜き加工で除去してペン先5を形成し、ハート孔5dを穿孔する。次いで、ペン先5の先端にイリドスミンからなるペンポイント(図示せず)を溶着した上で、砥石による研削加工でペン先5の中心に切割り5aを形成する。最後に、砥石による研削加工でペン先5の中心に形成した切割り5aを挟んだ外縁5bの両側に、切割り5aに対して約45度で傾斜するスリット5cを対称的に形成する。 【0009】図3は、本実施の形態例の要部を示す姿図である。図4は、図3を上方より見下ろした平面図である。図5は、ペン先に筆圧を掛けた際の概念を示す側面図である。図に示すように本実施の形態例では、ペン先5の根元5dが前部軸筒2の前方外周部2cと一体となっているが、ペン先5の外縁5bにスリット5cを形成しているため、筆圧に対するペン先5の変形量を大きくすることができる。 【0010】 【発明の効果】本発明の万年筆は以上のように、金属からなる一端を閉口した筒状体の閉口端部を除去することにより、筒状体を軸筒とすると共に軸筒の前方部にペン先を形成してなる万年筆であっても、切割りを挟んだ外縁の両側にスリットを形成することにより、筆圧に対するペン先の変形量を大きくすることができるので、書き味が滑らかなものとなった。
|
【出願人】 |
【識別番号】000005027 【氏名又は名称】株式会社パイロット 【住所又は居所】東京都中央区京橋二丁目6番21号
|
【出願日】 |
平成13年9月17日(2001.9.17) |
【代理人】 |
|
【公開番号】 |
特開2003−89292(P2003−89292A) |
【公開日】 |
平成15年3月25日(2003.3.25) |
【出願番号】 |
特願2001−281077(P2001−281077) |
|