タイ  2011年5月31日(火曜日)
マグロ解体ショーで安全PR:日本食店ら主催、収益は義援金に[食品]

原発事故で放射能汚染への懸念が広がり、タイでも日本食材卸業者、レストラン、スーパーなどで売り上げが落ち込んでいる。輸入される食品は安全な産地から届けられていることをタイ人消費者に直接伝え、信頼を取り戻したい――。バンコクですし店「さざえ」などを経営するJストリームの杉森美仁氏が呼びかけ人になり29日、日本食の安全性アピールを目的に、都内の百貨店で本マグロの解体ショーを開催した。【南堂知子】



高級商業施設「エンポリアム」の食品売り場でチャリティーイベントとして、解体したマグロ、ハマチを無料で試食してもらうほか、赤身を100グラム300バーツ(約800円)、トロを同800バーツなど低価格で販売した。売り上げのうち利益分は震災義援金に充てる。エンポリアム側も無料でイベント会場を提供した。

今回使用したのは、「近大マグロ」として知られるブリミー(熊本県天草市)の天空マグロ。ブリミーの調理スタッフが長いマグロ包丁で力強く、滑るように身をさばく様子に、売り場に詰めかけたたくさんの消費者が見入っていた。

主催の杉森氏は、「日本食の食べ控え、買い控えが目立つ中で誰かが安全だというアピールを始めなければいけない」と同イベントを企画した思いを語った。披露した天空マグロは完全養殖で産地も明確であることから、不安が高まっている今、安全性をアピールするのにふさわしい食材だと考え、採用を決めた。今後も日本食の安全をアピールするイベントを百貨店、商業施設で開催し、タイの消費者に今までどおり日本食を食べてもらえるよう訴えていきたいと話す。

エンポリアム・水産物部門の運営を担当するタマチャート・シーフード・リテールのジュリアン・デービスディレクターは、「日本から多くの食材を輸入しているが、タイ人消費者の間で買い控えがみられる」とコメント。日本産食材の安全PRイベントは震災後、今回が初めて。今後も月1〜2回開催している売り場での販促イベントを通じて、安全性への信頼をアピールする方針だ。

ブリミーは、商品原価を除く渡航費などを自社負担で参加した。濱敬吾工場長によると、今までのタイへの輸出はごくわずか。とりあえず食べてみて、味を実感してもらいたいと話す。今回のイベントを契機にエンポリアムへの納品が決まる見通し。ほかに台湾などからも新たに受注している。売上比率は7割が輸出で、アメリカのすしレストランなどが顧客という。

同イベントは在タイ日本国大使館、日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコクセンター、地場企業、在タイメディアも協力。タイ語で放射能汚染について解説した資料や、日本の観光案内パンフレットも来店者に配布された。

来月16日から27日には、バンコク伊勢丹も日本食をアピールする物産展を開催する。

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