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【経済】

政府、20年めどに電力改革 発送電分離が焦点

2011年5月31日 00時20分

 政府が2020年をめどに電力事業を抜本的に改革するための検討に入ることが、30日分かった。全国の10電力会社が発電から送電、小売りまで一貫して担っている現行の電力事業を見直し、発電と送電を分離することや、地域独占の供給体制の見直しが焦点になる。

 新成長戦略実現会議の下に「エネルギー環境会議」を設置。議長には玄葉光一郎国家戦略担当相が就く。電力事業を所管する経済産業省ではなく、官邸主導で改革案を練る。6月上旬から協議を開始し、年内にも基本方針をまとめる方針。

 菅直人首相は主要国(G8)首脳会議で20年代の早期に自然エネルギーの発電比率を20%に拡大する方針を表明した。政府内には「20%公約を達成するには電力事業改革の実行時期を20年よりもさらに繰り上げるべきだ」との意見がある。ただ、電力供給の不安定化につながるとの慎重論も根強く、議論は難航が予想される。

 電力供給については、大型発電所から地域全体に電力を送る「集権型」の体制を見直す。風力や太陽光などの中小規模の発電で地域の需要を賄う「分散型」への転換を目指す。

 現行体制の問題点を検証し、20年ごろに新たな体制に移行。発電所の分散立地や、IT技術を活用した次世代送電網「スマートグリッド」に対応した仕組みを導入する。

 国内では1990年代後半から部分的に電力自由化が導入されたが、既存の電力会社が送電網を独占し、新規参入はほとんど進んでいない。電力会社を発電会社と送電会社に分離し、発電事業への参入を促すことが重要な検討課題になる。

 一方、短期的課題としては、電力各社間を結ぶ送電線の増強や、工場などで自家発電設備を持つ企業の電力市場参入を促す。原発は安全性を向上させた上で今後も一定規模を維持する方向で議論する見込み。

 エネルギー政策の策定はこれまで経済産業省が担ってきたが、今回は国家戦略室が事務局を務める成長戦略会議が「司令塔」とし、新たな方向を打ち出す考えだ。

(共同)
 

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