<チルドレンのためのエヴァンゲリオンの後書き>

以前にも後書きはブログで書いていたのですが、他の作品のたとえなどをあげて分かりにくかったので、簡潔にまとめさせていただきます。
私がこの作品を書きたいと思った動機は、TVアニメ版エヴァで苛立っているアスカがバスルームで暴れているのを知りながら、ミサトが何もしない事でした。
ミサトは辛い過去を抱えていて、加持リョウジの事もあったので、どうアスカに接していいのか解らなかったのでしょう。
別に私はミサトを嫌っているわけではないのですが、この時ミサトが家族としてアスカを上手く慰めて上げて居れば葛城家崩壊は防げたのではないかと感じました。
そこで私は、娘を持った経験のあるミサト像を考えました。
さらに教師経験を加えて、セカンドインパクトの原因を掘り下げて使徒の力をもったスーパーなミサトの誕生です。
本編以前のミサトの軌跡も書いてみたかったのですが、独立編としてやるとLASでも無く救いの無い話になってしまうので、作品中で過去の回想と言う方法を取りました。
書き始めた当初は、ゲンドウが悪役と考えていました。
しかし、書いているうちに冬月さん、ユイさん、キール議長と悪役の対象が移って行き、最後にはミサトは全ての人物の悪行を許してしまいます。

「私は今まで様々な人々が自分勝手な考えで、過ちを犯すのをみてきました……しかし、全てが間違っているわけではなく、正しい事もやっていたはずです。
罪を憎んで人を憎まずと言います。
あなたも過ちを認めて心を開けば、そうすればあなたを慕ってくれる人が現れるはずですよ……」

罪を憎んで人を憎まず。
悪役を断罪するカタルシスに欠けると思いますが、これがこの作品に込めたテーマでもあります。


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