【ニューデリー杉尾直哉】アフガニスタン南部ヘルマンド州と北東部ヌリスタン州の州政府当局は29日、米軍主導の北大西洋条約機構(NATO)軍による誤爆が連続し、多数の子供や女性を含む民間人ら計52人が殺害されたと発表した。一方、NATO側はアフガン当局との合同チームを現地に派遣し、調査を始めた。
アフガン大統領府によると、カルザイ大統領は同日、「アフガンの女性や子供が殺されている」と指弾し、米軍と米政府に対して「最後警告」を発したという。今後も市民の犠牲が続いた場合、駐留米軍などの作戦に影響を与える厳しい措置に出るとみられる。
ヘルマンド州政府によると、28日、米海兵隊の基地が武装勢力に襲撃され、NATO軍の空爆支援を受けた際、2軒の民家が爆撃された。うちナウザド地区では、子供12人と女性2人が死亡し、6人が負傷した。北西部ヌリスタン州政府によると、州内でNATOが25日に行った空爆で民間人18人と警察官20人が死亡した。
01年に米軍がアフガンに侵攻して以降、誤爆などによる民間人の犠牲は増加し続け、反米感情の高まりを背景に旧支配勢力タリバンは勢力を拡大。アフガン国民の間にも米軍の早期撤退を求める声が高まっている。
毎日新聞 2011年5月29日 22時35分(最終更新 5月30日 8時26分)