[大弦小弦]サッカー日本代表イレブンが試合前…

2011年5月30日 09時23分このエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(8時間34分前に更新)

 サッカー日本代表イレブンが試合前、胸に手を当てて君が代を歌う。W杯などではおなじみの光景だが、中には歌わない選手もいる。歌う歌わないは本人の自由意思。決して強制されるものではない

▼しかし、大阪府の教職員は起立・斉唱を強いられることになりそうだ。橋下徹府知事を代表とする「大阪維新の会」の議員らが、起立・斉唱を義務付ける条例案を提出した

▼なぜ今なのかという疑問がつきまとう。同会は先月、府や市の議員選で大躍進したばかり。選挙前にはほとんど争点にもならず、市民を交えた議論がどれほど尽くされたのか。多数を盾に、力ずくの姿勢が見え見えだ

▼条例案は、国や郷土を愛する心を育てることが目的の一つ。しかし、郷土愛などは自然発生的な気持ちで敬意を表すことが本来の姿であり、強制するものではない

▼ましてや君が代の場合、戦争を想起させる、として拒否する人は少なくない。だからと言って、「歌わない=愛国心がない」とは言えまい。個人の思想信条を法律でゆがめることは許されない。むしろ、さまざまな意見があることを教育現場で教えることが大切だ

▼押し付けられれば、息苦しい。規律の厳格化だけでは学校の雰囲気は張り詰める。もの言わず縮こまる先生を、子どもたちはどう思うか。不安だけが募る。(平良哲)

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