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新入社員を疲弊させるOJT

籔 孝昭
AllAbout ガイド
籔 孝昭/人事/組織
4.2
2,713
2011年5月5日 00:42

人事セクションが研修プランを策定せずに、現場任せにしているOJT研修では、社員が育つかどうかは運頼み。無計画なOJT研修が、新入社員を疲弊させている。

国内企業新入社員に対する研修は、集合研修OJTが2本柱となっています。
集合研修では、主に人事セクションが中心となって、ビジネスマナー企業理念、社内用語、事務処理手順などを教育します。
そして、集合研修が終了した後は、現場でのOJTという名の教育がスタートするのですが、OJTが有効に機能するためには、
1.OJTの現場担当者が責任を担う自覚と意欲があること。
2.OJTの現場担当者が教えるスキルや能力が備わっていること。
3.OJTでの育成目標が明確に示されていること。
が不可欠です。
多くの企業では、人事セクションが研修プランをしないままに、新卒社員を現場に配置し、新人教育を現場に押し付けているのではないでしょうか。
また、ビジネスの最前線である現場は、どの業界でも非常に忙しい。高い生産性を誇るということは、誰もがギリギリのところで働いているということであり、新人教育に貴重な時間を費やす暇がないのが現実です。
これでは、できる人材になるかできない人材になるかは、新入社員の資質もさることながら現場次第ということになります。

美容業界の新入社員研修に対する取り組みを紹介します(日本経済新聞 2011年3月7日の記事を編集)
《全国で約150店を展開する美容室大手の田谷は、2009年4月に若手美容師の育成を目的とした「TAYAアカデミー」を始めました。TAYAアカデミーの研修では入社1~2年目の若手社員に美容師歴20年以上のベテラン社員と各店舗の店長が付き添って、きめ細かく指導する。従来は店舗任せだった若手の養成を本社主導に変更したのは、店舗ごとにばらつきのあった技術力を均一にするためです。
田谷は毎年、専門学校の卒業生200人以上を美容師の卵として採用していますが、美容業界では、入社からしばらくは先輩の作業を補助する下積み生活が続くため、なかなか給料も上がらない。見切りをつけて転職する若手が後を絶たず、アカデミーを始める直前の08年度には新入社員の離職率が35.2%に達していたとのこと。そこで、アカデミーでは入社4~5年目だった美容師としての独り立ちの時期を「最短で3年目」とする目標を掲げた。
アカデミーの導入後、09年度の新入社員の離職率は22.5%に低下。06年に2.4年だった平均勤続年数も11年1月時点では4.8年に伸びたとのこと。》

厳しい就職氷河期を勝ち抜いて入社した新入社員新入社員の多くは、入社時点では企業に対するロイヤリティも高く、モチベーションも高いはず。そんな彼ら彼女らの3割が3年以内に退職するのは、企業人材育成に対する失望感があるからではないでしょうか。
新入社員にキャリアステップを明示し、それに向けた人材育成戦略を策定・実行することが、企業には求められています。

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