政府は26日、社会保障と税の一体改革に伴い、2015年度をめどに消費税率を5%引き上げる方向で調整を始めた。経済に与える影響を考慮して、税率を段階的に引き上げる案も一部で浮上している。また、一体改革に伴う社会保障費の増額分を消費税増税のみではまかなえない場合、所得税など他の税目も併せて検討する構えだ。
財務省の試算によると、15年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字幅を半減する財政健全化目標の達成には、7.4兆円の財源が必要だ。
一体改革では、子育て支援などを含む社会保障の機能強化費や、消費税増税に伴う政府調達品の価格上昇分などを加え、必要額を算出する。
政府は6月から始める税制抜本改革の議論を通じて、1%当たり2.5兆円の税収が見込める消費税を5%引き上げ、12.5兆円の新規財源で一体改革の必要額をまかなう考えだ。
ただし、消費税増税を実施すれば、消費意欲の冷え込みなどで一時的に大きなマイナス影響が出る懸念がある。このため、財務省幹部は「3%と2%の組み合わせなどはありうる」と話し、2回に分けて5%の増税を実現する案を示唆した。
一方、社会保障の機能強化費が膨れあがり、12.5兆円の範囲内に収まらない場合、消費税以外の増税が課題に。政権公約に掲げながら実現できていない「配偶者控除」の廃止・縮小などが検討される可能性がある。
とはいえ、東日本大震災の復興財源確保が課題になるなか、増税が相次げば国民の反発は必至だ。消費税も税収の4割以上を割いている地方の取り分がこれ以上増えれば、増収効果が限定的になる恐れがある。