初めて買った1眼レフはPENTAX ME superでした。経年変化のため中のゴム部品が劣化してしまって使えなくなっていたのをトムさんの「ME復活応援サイト」を参考にして復活させることに昨年成功しました。しばらく使ってみたところ、露出がアンダー気味に判定されるという傾向があるので電装基板の露出感度調整を試みました。
軍艦部をあけると、フレキ基板に半固定抵抗が2つ載っているのがみえます。これはAE感度の調整用(下)とファインダー内LED表示の調整用(上)です。
問題なのは、LED表示にも調整箇所があるためにファインダー内の速度表示をあてにできないということです。ここでシャッターテスターが登場するところなのですが、AEが動作する程度の光量(EV10くらい)ではテスターのセンサーが反応しないのでせっかく作ったテスターも役にたちませんでした。また、安定した光量の標準光源がどうしても欲しくなります。そこで、まずは調整に必要な道具を揃えるところからはじめました。
AE調整用に標準光源を作りました。ここではジャンクのケースに60Wの電球を仕込んだものを作りました。 あらかじめ露出計でEV値を測定しておきます。今回作ったものはISO100のときにEV14.5 でした。
光量の調節は、レンズ側にフィルターをとりつけることで行います。。 今回はC12という表示の入ったフィルターを使いました。NDを使わない理由は、少しでも太陽光にスペクトルを近づけておきたいからです。
また、このシャッターテスターのセンサ部を改造しました(詳細)。回路図ではR2=20kΩとなっていますが、最終的には1kΩにして増幅率は約100倍まで上げました。
センサーの位置が測定によって変わると困るので、フィルムの大きさのスペーサー(24×35×1のプラスチック板)をセンサーの前にとりつけました。センサー部は本体から独立させてあります。受光部のスリットは感度をかせぐために少し広めの0.5mmにしました。
まずは、信頼できるボディを使って目標値を決めます。今回はPENTAX P30TにSMC PENTAX-A 50mm F2+KENKO C12をつけ、絞りF8の値を参考にしました。この組み合わせでシャッターテスターは14.5msという表示を示しまたので、同じレンズをME superにつけかえて半固定抵抗を合わせていきます。調整用に半固定抵抗のところに穴をあけた蓋を用意すると一瞬で調整が終わってしまうのでしょうが、さすがに用意できなかったので、すこし値をかえては蓋をかぶせて測定するということを繰り返します。絞りF8での値が目標に近づいたら、絞りリングを回したときにシャッターテスターの値が変化することを確認しておきます。
調整したボディーを使って試写した結果を示します。レンズはSMC PENTAX-M 40mm F2.8、フィルムはFujichrome Trebi 100Cを用いました。フィルムスキャンにはKonica Minolta DiMAGE Scan Dual IVを用い、その後のレタッチはしていません。フィルムとの相性のせいなのか少し色が転んでいますが、露出をみるだけなのでご容赦ください。
露出補正×1/2 | 露出補正なし | 露出補正×2 |
---|---|---|
露出補正を×2にしたときに白飛びが生じていることから、調整の結果は満足すべきものでしょう。
今回、PENTAX ME superのAE感度調整を試みました。そのために標準光源とシャッターテスターのセンサ部を新たに作り、リファレンスとしてPENTAX P30Tの測定値と近くなるように調整しました。
(2007.3.24記) KhI