原発事故年内の収束不可能

　福島第１原発事故で、東京電力が「年内の収束は不可能」との見方を強めていることが２９日、複数の東電幹部の証言で分かった。１～３号機でメルトダウン（炉心溶融）が起き、原子炉圧力容器の破損が明らかになったことで、幹部は「作業に大きな遅れが出るだろう」としている。

　東電は４月１７日に「６～９か月で炉を冷温停止状態にする」との工程表を発表していた。５月１７日の工程表見直しでも、この期日に変更はなし。工程表上は１０月～来年１月の間に冷温停止とされている。だが、幹部のひとりは「９か月という期限はあくまで努力目標だ」としており、収束後に想定される、政府の周辺住民の避難見直し時期にも、影響が出そうだ。

　１号機ではメルトダウンと圧力容器破損が判明。格納容器を水で満たす「水棺」から、汚染水を再利用する「循環注水冷却」に冷却の方針を切り替えた。このシステム構築について、東電技術系幹部は「技術的に、想定より１～２か月余計にかかる」とみている。

　また、別の幹部は「１～３号機の収束作業は同時進行できていない。各号機に同様の遅れが生じると９か月という期限もギリギリ。作業員には申し訳ないが、正月返上で収束にあたってもらうことになる」と、見通しを語っている。

（2011年5月30日06時02分  スポーツ報知）

ソーシャルブックマークに登録