ここから本文エリア 資源ごみ持ち去り横行2011年05月29日
◆条例で禁止、効果上がらず◆ ごみ集積所から小型電化製品などの資源ごみを持ち去る例が後を絶たない。県内では、条例で持ち去りを禁止する自治体が増えているものの、目立った効果は上がっていない。地元住民とのトラブルも絶えず、持ち去り違反者との「いたちごっこ」が続く。 〜*絶えぬ住民とのトラブル*〜 5月26日午前8時ごろ、金沢市内のごみ集積所前に、大阪ナンバーの2トントラックが止まった。降りてきたのは、ジャージー姿の30代とみられる男性。集積所に出された炊飯器や自転車を荷台に積み込んだ。不審に思った住民が声をかけると、無言で立ち去った。 同市では金属価格の高騰を受け、2008年夏ごろから炊飯器やファンヒーターなどの小型電化製品や自転車の持ち去りが急増。そこで09年4月に市廃棄物条例を改正し、市の「禁止命令」を無視したものは逮捕され、最高で20万円の罰金が科されることになった。 市リサイクル推進課によると、施行から今年4月までに、警告を受けた違反者は45件31人、3度目の違反で禁止命令を受けたのは3人に上った。 昨年10月には禁止命令を無視した30代の中国人の男(大阪市在住)が廃棄物条例違反の疑いで逮捕され、20万円の罰金刑を受けた。男は「鉄くずを集め、月に10万〜18万円を稼いでいた」という。 市によると、持ち去りの現場を押さえて身分証明書の提示を求めた相手の半数以上が中国人で、車には関西方面のナンバーが多い。事情を聴くと「仕事を失い、お金を稼ぐため」「金沢では分別回収が徹底され、持ち去りやすい」などと理由を挙げるという。県内の金属リサイクル業者によると、5月現在の買い取り価格はアルミ1キロ80円、銅線1キロ150円程度。最近では、直接ごみを持ち込む違反者もいるらしい。 警察と協力してパトロールしている自治体もあるが、持ち去りは減っていない。白山市では昨年6月に改正条例を施行したが、その後も目撃情報だけで115件に達した。 違反者の暴力行為も深刻化している。昨年9月、警告をした金沢市職員に体当たりをしたとして、中国人の男が現行犯逮捕された。さらに、注意する住民とのトラブルも絶えず、「怒鳴られた」「にらまれた」などの苦情が寄せられる。市の担当者は「罰則付きの条例では甘い。警察がすぐに取り締まれるようになるのが一番」と話す。 同市では、取り締まりのために違反者が乗る車の車種やナンバーなど詳しい目撃情報を求める一方、「危険なので、注意はせずに直接110番か市に連絡を」と呼びかける。 (黒田壮吉) 〜*広がる条例、罰則も*〜 古紙や空き缶などの資源ごみ持ち去り禁止条例は、03年に東京都世田谷区で制定され、全国で増えてきた。政令指定都市では横浜市、千葉市、札幌市などが制定。鹿児島市や佐賀市、三重県四日市市など罰則を設ける自治体もある。 県内では09年に金沢市が家庭ごみ全般の持ち去りを禁じたのを皮切りに、各自治体に広まった。白山市、野々市町、小松市は罰則規定まで定めている。 持ち去りを看過できない背景には「資源ごみの売却益は自治体の貴重な財源」との認識がある。白山石川広域事務組合の昨年度の資源ごみの売却益は2400万円。収入は環境美化やリサイクル推進に使われる。 まだ条例のない内灘町やかほく市、宝達志水町でも持ち去りの目撃情報があり、各自治体は「件数が増えるようなら、条例制定を含め対応を考えたい」としている。
マイタウン石川
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