コープネット事業連合

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暫定規制値を超える放射性物質の検出とその対応について(5月23日版)


2011年5月23日
コープネット事業連合


 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震において被災をされた皆様に心からお見舞いを申し上げます。


 福島第一原子力発電所事故に伴い、食品衛生法上の暫定規制値を超えた放射能が一部の農産物や原乳から検出されました。
 政府はこれを受け、福島県の一部、茨城県の一部の産地に対し、指定品目について、当分の間出荷を差し控えるよう指示しています(5月23日現在)。
 ※群馬県は4月8日に全面解除。千葉県は一部市町の指定品目で出荷制限がありましたが、4月22日に全て解除されました。栃木県は4月27日に全面解除となりました。


コープネットの考え方


1.食品の安全は、消費者の基本的な願いです。政府には、消費者が安心して、農産物、畜産物を購入できるよう、適切な対応を望むものです。また、消費者に過度な不安や混乱を与えないように、情報は一元化をはかり、正確で迅速な情報を分かりやすく提供されるよう望みます。


2.今回の事態は、一地域だけではなく、全国の食品の安全に関わる重要な問題です。コープネットは、政府の調査や、対策に協力し、冷静で科学的な対応をしてまいります。組合員・消費者の皆さまには、適切な判断と行動ができるよう、情報提供を進めてまいります。



Q&A


 組合員の皆さまは、今回の事故が人の健康にどの程度、そしてどのような影響があるのかについて不安な思いをされていることと推察されますが、政府・行政機関による事実の公表に基づき、客観的で冷静な対応をされますようお願いいたします。
 この間、生協にいただいた組合員の皆様からのご質問などをもとに、特に不安をもっていらっしゃる事項についてQ&Aを作成いたしましたので、以下ご紹介いたします。


Q1.政府の指示により一部食品の出荷制限がなされましたが、その内容は?
A1.
各自治体による検査の結果、規制値を超えた放射能が検出された農産物について、検査の結果が基準値を下回るまで、当面の間、出荷されないこととなりました。
 5月23日現在において、出荷制限されているのは、
  ・福島県産のホウレンソウなどの非結球性葉采類(5月4日に10市町村、5/11に17市町村が
   解除)、カブ(5月4日に21市町村、5/18に26市町村が解除)、ブロッコリーなどのアブラナ科
   の花蕾類(4月27日に9市町村、5月4日にいわき市、5/11に12市町村、5/18に17市町村が
   解除)、キャベツなどの結球性葉采類(4月27日に17市町村、5月4日に13市町村、5/11に
   17市町村が解除が解除)。たけのこ(伊達市、相馬市、いわき市、三春町、天栄村、平田村。
   5/13に南相馬市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、西郷村が追加)、こごみ(福島市、
   桑折町)
   原木しいたけ(露地):伊達市、相馬市、南相馬市、田村市、いわき市、新地町、川俣町、
   浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村、川内村、福島市、
   本宮市
   福島県の原乳(4月8日に7市町が解除、さらに4月16日に25市町村が解除。4月21日に
   2市町が解除。5/1に2市町が解除。それらの地域を除く)、福島県で水揚げされたイカナゴ
   の稚魚(コウナゴ)
  ・茨城県北茨城市と高萩市のホウレンソウ
 また、出荷が自粛されているのは、
  ・茨城県海域のイカナゴの稚魚(コウナゴ)、福島県いわき市のシラス・アユ、北塩原村の
   ワカサギ、阿武隈川のヤマメなど。
  ・福島県相馬市のセリ
  ・茶(生葉):茨城県(大子町、境町、常陸大宮市、常陸太田市、城里町、茨城町、常総市、
   坂東市、古河市)、神奈川県(南足柄市、小田原市、愛川町、清川村、湯河原町、真鶴町)、
   栃木県(鹿沼市、大田原市)、千葉県(八街市、大網白里町)、福島県(塙町)

  ※詳細の指定品目については、農林水産省のホームページ「出荷制限要請等の状況」
   に掲載されています( http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_ryutu.html )。


Q2.コープネットで扱っている商品はどうなるのでしょうか?
A2.
コープネットとしては、国の出荷制限や摂取制限の指示や地方自治体の出荷自粛指導に基づき、該当地域の指定された商品について取り扱いの中止を行っております。


Q3.暫定規制値を数倍超えてしまったものを食べても大丈夫なのですか?
A3.
食品衛生法の暫定規制値を超えた食品は、出荷停止の扱いとなり、市場に出回らないようになっています。もしそれを摂取してしまったとしても暫定規制値は厳しい値になっており、健康に影響を与えかねない値より、かなりの幅が設定されています。
 食品安全委員会でも、そのQ&Aの中で、暫定規制値は「相当の安全性を見込んで設定してあるものです。」としています。
 また、野菜などは「洗う、煮る(煮汁は捨てる)、皮や外葉をむく、などによって汚染の低減が期待できる(放射線医学総合研究所)」とされています。


Q4.「ほうれん草」の暫定規制値の人体への影響はどの位ですか?
A4.
ほうれん草の放射性ヨウ素の暫定規制値(2,000ベクレル)について、シーベルトに換算すると、1キログラムあたり0.032mSv(ミリシーベルト)となります。これは、このほうれん草を1キログラム食べると、東京~ニューヨークを航空機で旅行(片道)したときの放射線の人体への影響(約0.1mSv)の約3分の1となります。
 放射性セシウムの暫定規制値(500ベクレル)について、シーベルトに換算すると、1キログラムあたり約0.007mSv(ミリシーベルト)/キログラムとなります。これは、このほうれん草を1キログラム食べると、東京~ニューヨークを航空機で旅行(片道)したときの放射線の人体への影響(約0.1mSv)の約14分の1となります。
 参考:日常生活において、宇宙線や大地などの自然界から被ばくしている線量は1年間で2.4ミリシーベルトです。医療レベルでは、胃のⅩ線検診1回で0.6ミリシーベルト、CTスキャン1回で6.9ミリシーベルト。東京~ニューヨークを航空機で旅行(片道)したときの自然放射線の量が0.1ミリシーベルトです。(食品安全委員会資料より)


Q5.今回の件でコープネットが扱っている商品について独自の検査をしないのですか?
A5.
今回の福島原発事故による放射能汚染の問題は国家的な緊急事態であり、国をあげてこの危機的な状況への対応がなされておりますので、行政機関が行うモニタリング検査に協力をし、その結果に対して機敏な対応をすることがコープネットの基本的対応です。
 放射能の検査機関は限られており、行政による検査が優先的に実施され、その結果に基づく出荷制限などの行政措置が早急にとられることが消費者の食の安全確保にとって急務であると考えています。
 このような緊急事態の中で、自主検査の限界(サンプリングの数に限界があるなど汚染状況の全体像を把握できる検査とはならない等)もあり、風評被害を引き起こす可能性もあるということで独自の検査はしてきておりませんでした。
 この間、コープネットグループのエリア(1都7県)における出荷制限が一部を除き大半が解除されるなど、食品の放射能汚染状況は徐々に改善されつつあり、行政によるモニタリング検査の頻度も毎日から週1回になってきています。
 しかしながら、原発事故の収束もまだ不透明で、半減期の長いセシウムなどの放射性物質の残留問題などもあり、組合員や消費者の皆さんの不安は解消しておらず、今後も長期的な対応をしなければならない状況であることも事実です。
 このような中で、コープ商品を開発している日本生協連の商品検査センターでは放射能検査体制が整い、必要な場合の検査をすすめてきています。
 今後については、コープネットとしても、組合員が安心して利用できるように、商品に関する情報を蓄積していくことを目的に、放射能検査を日本生協連とも協力し実施していきます。
 また、引き続き広報・学習を通じて組合員への正しい情報提供に努めていきます。
 あわせて、国に対しては、消費者の不安に応えるために、適切なモニタリング調査の強化と正確でわかりやすい情報提供の強化を求めていきます。

※行政機関による放射能検査の状況
 各自治体では放射能検査を実施しており、随時厚生労働省等のホームページでその結果を公表しています(食品安全委員会のホームページに毎日の厚生労働省の情報が掲載されており、3月19日~5月22日で3,696検体分の検査結果が公表されています)。


Q6.埼玉や東京など原発から離れた場所においても放射線が観測されていますが、大丈夫なのでしょうか?
A6.
現在測定されている範囲の放射線量では、長期的にも短期的にも健康影響が出るレベルではありませんのでご安心ください(文部科学省は毎日1時間毎に各地で測定し結果を公表しており、検出量は低下し続けています)。


Q7.水道水は飲んでも大丈夫ですか?
A7.
測定値が指標を超過した場合、1.指標を超えるものは飲用を控えること、2.生活用水としての利用には問題がないこと、3.代替となる飲用水がない場合には、飲用しても差し支えないこと、とされています。
 なお、3月22日以降各地に出されていた水道水の乳児への摂取制限はコープネットエリアでは3月27日までに全て解除されました(4月5日現在、福島県の一村のみ乳児飲用制限)。

 指標とは、放射性ヨウ素300ベクレル/キログラム。放射性セシウム200ベクレル/キログラム。
 放射性ヨウ素で100ベクレル/キログラムを超えるものは、乳児用調整粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導することとされています。ミネラルウォーターを使う場合、ミネラル分の多い「硬水」は下痢をすることがあり、「軟水」で調乳するほうがいいようです。


Q8.魚から放射性ヨウ素が検出されたようですが、食べても大丈夫ですか
A8.
イカナゴ(コウナゴ)から放射性ヨウ素が検出したことから、4月5日に魚介類中の放射性ヨウ素の暫定規制値が急遽設定されました(基準値は、野菜類と同じ2,000ベクレル/キログラム)。
 今後、野菜と同じように、暫定規制値を上回る魚介類については食用にされることがないように食品衛生法で規制されます。


Q9.「放射線」「放射能」「放射性物質」これらの違いは何ですか?
A9.
「放射線」とは放射性物質(セシウム137など)の崩壊に伴い、放出されるエネルギーを持った粒子又は電磁波のことです。「放射能」は、放射線を出す能力です。その能力を持つ物質を「放射性物質」といいます。
 一般に放射能漏れとは、放射性物質漏れのことであり、放射線をだす放射性物質が原子力施設の外へ漏れ出すことです(食品安全委員会Q&Aより)。
 つまり、放射性物質が放射線を出す能力が放射能ということになります。


Q10.「ベクレル」と「シーベルト」はどうちがうのですか?
A10.
「ベクレル(Bq)」とは、放射能の強さを計る単位であり、単位時間に原子核が崩壊する数を表したものです。
 「シーベルト(Sv)」とは、人間が放射線を浴びたときの影響度を示す単位です。
 人への健康影響を計る単位としては、シーベルトを使います。ベクレルからシーベルトへ換算する式があり。ベクレルに実効線量係数を掛けて計算できます(詳細は食品安全委員会のHPに記載あり)。


Q11.昆布やワカメに被ばく予防効果があるというのは本当ですか?
A11.
インターネット等で根拠のない情報が飛び交っており、注意が必要です。
 昆布やワカメなどには、ヨウ素が含まれていますが、含まれる安定ヨウ素量が一定でないなどの理由から予防効果は期待できません。
 なお、被ばく予防にための「安定ヨウ素剤」は、原子力災害の緊急時に指定された避難場所などで指示があった場合にのみ服用してください。


<参考資料>


食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf(PDFファイル:389キロバイト)


「放射線と安全確保」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/pamphlet/_icsFiles/afieldfile/2009/06/22/090522.pdf(PDFファイル:1.13メガバイト)


消費者庁
http://www.caa.go.jp/



2011年05月23日