医療事故調査のための第三者機関設立を目指す弁護士らのネットワーク「医療事故情報センター」(柴田義朗理事長)のシンポジウムが28日、名古屋市中村区のウインクあいちで開かれ、医師や医療事故被害者の遺族、厚生労働省の担当者ら約90人が参加した。
パネリストは、モデル事業に取り組む東京・虎の門病院の山口徹院長ら医師4人、「医療の良心を守る市民の会」の永井裕之代表、厚労省医療安全推進室の渡辺真俊室長で、同センター常任理事の堀康司弁護士が司会を務めた。
第三者機関が設立されていない現状について、渡辺室長は「いろんな意見があり、集約することは難しい」と説明した。山口院長はモデル事業などの実績をふまえ、「(調査をきちんとするには)評価する人をトレーニングして育てないといけない」と指摘した。妻を医療事故で亡くした永井さんは「これまでも、解剖されることなく、真相が明らかにならずに亡くなった被害者がいるのではないか。第三者機関の早期設立は緊急の課題」と訴えた。
同センターは名古屋市東区に事務所があり、90年から患者や遺族を支援する活動を続け、厚労省は05年からモデル事業を実施している。【河出伸】
毎日新聞 2011年5月29日 地方版