太陽の大部分が月に隠れ、縁だけがリング状に輝いて見える「金環日食」が来年5月21日午前7時半前後、兵庫県南東部で観測できる。兵庫で金環日食を見られるのは1730年以来。「金環日食帯」と呼ばれるエリアは兵庫を斜めに横切り、外側では部分日食が楽しめる。その境目に位置すると予想される明石市では、市民ぐるみで観測データを集める計画が浮上。28日は子ども天文教室も開かれ、1年後の“天文ショー”に向け盛り上がった。
明石市立天文科学館(同市人丸町2)などによると、金環日食が前回、日本で見られたのは1987年で、沖縄県でのみ観測できた。一方、今回は金環日食帯が東京、大阪など大都市を含んで本州を横切り、全国で約8千万人が観測できるとみられる。
兵庫では神戸や阪神間などが範囲内で、部分日食との境目「限界線」は明石から猪名川町あたりになる見込み=図。金環日食帯に含まれる地域は限られるが、同館学芸員の井上毅さん(42)は「今回は部分日食の欠け具合も相当大きく、(皆既日食に沸いた)2009年7月22日の部分日食を上回る。金環日食帯を外れても、決して『残念』ではない」と強調する。
また、「限界線」周辺では、少しの場所の違いで、金環日食▽部分日食▽リングの一部が月表面の凹凸を反映して数珠のように見える「ベイリー・ビーズ」‐の3種類に分かれるとみられる。限界線周辺での大規模観測は世界でもあまり例がないといい、貴重なデータを集める絶好の機会になると期待されている。
28日に同館で開かれた天文教室では、小学生ら約50人が日食の不思議に聞き入り、「早く見たい」とワクワクした表情を浮かべた。同館は学校や個人に広く観測を働き掛けていくほか、200日、100日前にもカウントダウン講座などを開く予定で「来年は金星食や金星の太陽面通過もあり、天文のゴールデンイヤー。ぜひ関心を持って」と呼び掛けている。
(中島摩子)
(2011/05/28 15:35)
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