国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」への登録を目指し、国内では初めて福岡県田川市と福岡県立大が共同で申請していた炭鉱記録絵師、山本作兵衛(1892-1984)の記録画など697点が遺産に登録されることになった。25日に英国・マンチェスターで開かれた国際諮問委員会で内定したことを西日本新聞社がユネスコのホームページ(HP)で確認した。同遺産にはこれまで76カ国の193件が登録されているが、国内からの登録は初めて。
田川市は、市内に残る旧三井田川鉱業所伊田坑第一、第二煙突や竪坑櫓(やぐら)など炭鉱遺産について「九州・山口の近代化産業遺産群」の一画として世界遺産登録を目指していた。
2009年10月に選考から漏れたが、現地調査した海外の専門家たちが記録画を高く評価。市が所蔵する県指定有形民俗文化財の584点を含む記録画589点と、日記や雑記帳など関連資料を合わせた697点について10年3月、ユネスコ本部(パリ)に送付していた。
記憶遺産は政府だけでなく、自治体や非政府組織(NGO)からの申請もできる。文部科学省は11日、藤原道長が書いた日本最古の日記「御堂関白記」など国宝2件を申請すると発表したが、昨年3月の段階では国内に選考委員会はなく、田川市が直接申請していた。
=2011/05/26付 西日本新聞朝刊=