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あれ、土壌中の放射能が増えている!?

ニュースの社会科学的な裏側

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5月以降は放射性濃度の低下が止まりつつあり、土壌中の放射性セシウムが安定している事が原因だと考えられている。原子力発電環境整備機構フェローの河田東海夫氏(原子力工学)によると、「セシウムが土壌と強固に結合している」そうだ(47NEWS)。

確かに、飯館村長泥や浪江町津島・赤宇木の土壌中の放射性セシウムの濃度は減少も増加もしていると言えない。しかし、セシウムが土壌と強固に結合しているとは言えないかも知れない。理由は以下の三つである。
  1. 福島市杉妻町のセシウムの値が有意に上昇している。土壌と強固に結合しているのであれば、外部からの流入もありえないが、それに反する。

  2. 他の地域も計測誤差が大きい。ヨウ素は比較的安定した計測値を示しているのだが、セシウムの分散は桁違いに大きい。測定における誤差だけではなく、流入・流出による影響が出ている可能性がある。
  3. 上記が測定誤差であれば、134Csと137Csの値が乖離すると考えられるが、概ね一致した傾向を示している。
文部科学省のデータを元に、福島市杉妻町のヨウ素とセシウムの値をプロットしたものだが、上昇傾向にあるのが分かると思う。また、同じ計測日の134Csと137Csの値は近い。


念のため、放射能濃度と経過日数の関係を回帰式y=α・βx+ε(y:放射性濃度、x:経過日数、α、β:係数、ε:誤差項)に当てはめてもみたが、全ての推定された係数に1%未満のP値が得られ、信頼性が確認された。

特に雨も降っていないのに放射能が増えている理由は分からないが、福島市杉妻町は川岸の県庁がある場所で、周囲よりも土地が低いなどの特徴があるのかも知れない。

水溶性のセシウム化合物は、雨で洗い流される事が期待されている。現在もセシウムが土壌中に留まっているのは、福島市の周辺は5月の降水量が 20〜30mmと平年の87.5mmより少ないためだと考えられる。しかし、これから梅雨に入るため、希望をかねた観測ではあるが、土壌中放射性濃度の低下はまだ期待しても良いであろう。

もちろん梅雨を過ぎても放射性濃度が低下しない場合は、土壌の入れ替えなどの除染作業が必要になると思うが、しばらくは雨乞いをして様子を見ていても悪くないと思う。悲観的でも、楽観的でも、どのみち結果は変わらない。

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