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【社会】

風評被害全作物で賠償 紛争審2次指針案 観光業も対象

2011年5月28日 夕刊

 東京電力福島第一原発事故の賠償範囲を定める文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が、月内の取りまとめを目指している第二次指針で示す農水産物の風評被害について、自粛を含め出荷の制限を受けた地域とする案を軸に検討に入ったことが二十七日、分かった。

 品目は、食用の農水産物すべてを対象とすることで調整している。二次指針では観光業の風評被害も賠償対象と認める方向だ。

 三十一日に開かれる会合で協議した上で、決める見通し。決定すれば、出荷制限を受けた福島、茨城、栃木、群馬四県の全域と千葉県内の三市町を産地とする野菜や福島、茨城の両県産の魚が風評被害による賠償対象となる。ただ、審査会の一部からは対象範囲をさらに拡大すべきなどの意見もある。

 出荷制限の対象となっていない品目でも、同じ産地の場合、放射性物質を摂取する危険を回避するため、消費者や取引先が拒絶反応を示すのは合理的だとしている。

 農家や漁業者の減収分や返品にかかった費用などを損害と認める。農産物のうち、飼料作物や葉タバコなど食用以外については、引き続き検討課題とする。

 観光業の風評被害については、東日本大震災による自粛ムードなど複雑な要因が考えられるため、地域の範囲など具体的な線引きは持ち越す。

 避難生活に伴う精神的な苦痛は、避難先別に四分類して賠償する。避難先を(1)体育館などの避難所(2)仮設住宅や賃貸マンション、親類宅(3)旅館・ホテルなどの宿泊施設(4)自宅で屋内退避−に分け、避難所でプライバシーの無い生活を強いられた住民への賠償額を最も高くする方向で具体的な額を検討する。

 二次指針で盛り込めない風評被害の賠償については、審査会の下に設置する農業や食品産業、観光など十七分野の専門委員が六月にも実態調査を始め、範囲の確定を急ぐ。

 

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