28日午後1時20分ごろ、山形県米沢市関の天元台高原ロープウエーの湯元駅付近の林道で、県立酒田工業高校山岳部員ら12人の乗ったワゴン車が林道から崖下へ約140メートル転落した。ワゴン車には、部顧問の男性教諭2人と2年生6人、3年生4人の男子生徒10人が乗っており、生徒5人が足を骨折するなど重傷、他の7人は軽傷。県防災ヘリコプターが同7時過ぎまでに全員を救助し、全員が病院に運ばれた。
県警米沢署によると、ワゴン車は8人乗りで、事故時は定員オーバーだった。運転していた車の所有者の池田三郎教諭(44)は「突然ブレーキが利かなくなった」と話しているといい、自動車運転過失致傷の疑いで事情を聴いている。主に長い下り坂でフットブレーキを多用するうち、ブレーキ装置が一時的に熱くなって利きが悪くなるベーパーロック現象が起きた可能性があるとみている。
林道の幅は約5メートルでガードレールはない。同駅近くの林道入り口には通行禁止の看板があり、通常は鉄製の柵で封鎖されているが、柵の支柱のある側を壊されて開けられているのが事故後見つかった。教諭2人は校長に対し、柵を開けたことを認めているという。
ワゴン車は下り坂で左カーブを曲がり切れず、横転しながら約140メートル下った斜面途中の鉄塔にぶつかり止まった。弾みで車外へ投げ出された生徒もいた。生徒の一人が同1時半過ぎ、携帯電話で「車が転落した」と119番した。
県警や県教委によると、山岳部は高校総体の下見のため、27日から2日間の予定で吾妻連峰の白布峠(1404メートル)から入山。テントを張って1泊し、下山途中だった。現場は湯元駅から東へ林道を約800メートル向かった地点。【浅妻博之】
毎日新聞 2011年5月28日 16時20分(最終更新 5月29日 0時36分)