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ワゴン車転落:8人乗りに12人 引率教諭「10回転」

崖下に転落したワゴン車から救助されるけが人=山形県米沢市で2011年5月28日午後3時28分、近藤隆志撮影
崖下に転落したワゴン車から救助されるけが人=山形県米沢市で2011年5月28日午後3時28分、近藤隆志撮影
報道各社の取材に応じる酒田工高の斎藤裕司校長=山形県米沢市立病院で2011年5月28日午後8時27分、鈴木健太撮影
報道各社の取材に応じる酒田工高の斎藤裕司校長=山形県米沢市立病院で2011年5月28日午後8時27分、鈴木健太撮影

 定員を超える高校生ら12人を乗せたワゴン車(8人乗り)は、崖下へ約140メートルにわたって転がり続けた。山形県米沢市の天元台高原ロープウエー湯元駅付近の林道で28日起きた転落事故。引率教諭は「10回転くらいした」と恐怖を語り、生徒への謝罪の言葉を繰り返した。

 事故現場は、幅約5メートルの急な下り坂がくねくねと続く林道の途中にある。ワゴン車は崖下の林の中に腹を見せて転がっていた。生徒3人がシートにくるまれて横になっているのが見える。県防災ヘリが3人を引き上げた。約50度の急な斜面だが、ワゴン車は木にぶつかりながら落ちたとみられ、死亡者はいなかった。

 県立酒田工高の斎藤裕司校長によると、事故に遭った山岳部員ら12人は来週の山形県高校総体に備え、下見登山合宿に来ていた。ワゴン車を運転していた池田三郎教諭(44)は「生徒たちがアスファルトの下り坂を延々と歩いて下るのをためらったため、車で下りようという話になった。間違った判断をした」と話したという。また池田教諭にも子供の学校のPTA行事があったため、早く米沢市を出発して酒田市に戻りたい事情があったという。

 斎藤校長は報道陣に「保護者の方々には大変申し訳ない」と話した。また池田教諭も病院で「大変なことをした。生徒に申し訳ない」と語った。同僚教諭によると午後2時20分ごろ、「車が10回転ぐらいした。腰やあごを強打して骨折している生徒がいるようだが、全員意識はある」と連絡してきたという。

 県警米沢署などによると、12人は来週、同高原で開かれる山形県高校総体登山競技の下見合宿のため27日午後に酒田市を出発し、同日夜は米沢市の白布峠駐車場でキャンプした。28日早朝にいったん教諭2人がワゴン車など2台に分乗して湯元駅付近まで下り、林道を通って同日行う縦走の目的地点の天元台まで登った。2人は天元台にワゴン車を置き、もう1台の車で来た道を引き返した。その後、12人で駐車場から天元台まで縦走。天元台に到着後、本来はワゴン車に荷物だけを積んで、生徒は徒歩で下山するはずだったという。【近藤隆志、鈴木健太、長南里香】

毎日新聞 2011年5月28日 21時35分(最終更新 5月29日 0時48分)

 

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