2011年5月28日20時16分
ヘリポートに着いたワゴン車事故の負傷者を搬送する救急隊員=28日午後3時42分、山形県米沢市八幡原2丁目、相場郁朗撮影
ワゴン車が滑り落ちた斜面。途中で投げ出された生徒らに救急隊員が「ヘリで救助するから頑張れ」と何度も声をかけた=28日午後3時55分、山形県米沢市関、西尾邦明撮影
28日午後1時すぎ、山形県米沢市の天元台高原スキー場付近で、県立酒田工業高校の男子生徒10人と男性教諭2人が乗ったワゴン車が林道から転落し、脇の急斜面を約150メートル滑り落ちた。県警や消防などによると、生徒5人が足を骨折するなど重傷、残り7人は軽傷という。ワゴン車は8人乗りで、県警は定員をオーバーしていたとみて詳しく経緯を調べている。
車に乗っていたのは同校山岳部員の2、3年生10人と、同部顧問の池田三郎教諭(44)と伊藤兵吉教諭(58)。同校などによると、山岳競技の高校総体県予選を控え、1泊2日の日程で予選のルートを下見した帰りだった。一行は27日にワゴン車ともう1台の車に分乗して同校を出発。今回、下山した全員がワゴン車に乗り、もう1台を止めていた出発地点に向かう途中だったという。
林道はふだん一般車両の通行が禁止され、出入り口は施錠されているが、池田教諭は「28日はカギがなくてもゲートが開けられた。本来はカギを借りて入るべきだという認識はあった」と話しているという。
米沢署によると、現場は道幅約5メートルで、緩いカーブ。車は林道脇の約50度の急斜面を回転しながら滑り落ち、数人は途中で車外に投げ出されたらしい。県の防災ヘリなどが現場から米沢市内などの病院に全員を順次搬送。自力で歩けない生徒も複数いるという。
ワゴン車は池田教諭の私有車で、池田教諭が運転していた。斎藤裕司校長によると、事故後、池田教諭から家人を通じて同校に連絡があり、「8人乗りの車に12人乗っていた」「急坂でブレーキが利かなくなった」と説明したという。