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[27600] 【習作】 Fate/beyond the night (女オリ主 再構成)
Name: でぃがー◆13afe510 ID:dab63444
Date: 2011/05/28 10:30
初投稿にして初創作になります。


以下の点にご注意してお読みください。

・本作は、Fate/stay nightの二次創作です。プレイされたことのない方を置いてけぼりにする可能性があります。
・本作の主人公は女性のオリ主になります。原作主人公の衛宮士郎とはできるだけ対極になるように設定を考えていますが、別に士郎アンチものというわけではありません。
・本作のテーマとしては、「来いよギルガメッシュ、慢心なんて捨ててかかってこい!」になります。つまるところ、HAのギルガメッシュ・ネイキッドをどう倒すか、これがやりたかっただけです。
・オリ主無双にはなりませんが、多分に独自設定・ご都合主義が含まれております。ご容赦ください。
・百合っていいよね!
・ご意見・ご感想をお待ちしております。



[27600] prologue  encounter the fate
Name: でぃがー◆13afe510 ID:9c6a8890
Date: 2011/05/28 00:22
月もない夜闇に雨が降る。雨足は強く、止む気配はない。

そんな中、寺林を傘も刺さず、まろびながら進む人影が一つ。

―――いや、ソレは果たしてヒトなのだろうか。
現代では見かけない長いローブを羽織っている―――赤いナニカが大量に付着している。
僅かに覗く顔は人並みならぬ、魔的なまでの美貌―――だがその目は虚ろ、顔には濃い疲労の色が窺い知れる。

そはサーヴァント、キャスター。冬木の聖杯戦争に呼び出された7騎のサーヴァントが1、魔術師の英霊である。

何故後方支援が中心となるキャスターが単独行動を取っているのか、何故サーヴァントがこの雨の中を疲労困憊で彷徨わなくてはならないのかーーー

それは彼女のローブが示していた。



マスターのいないサーヴァントは長くは現界できない。手持ちの魔力が尽きたら消えるのみである。

それでもキャスターは己がマスターを許容出来なかった。

元々叶えたい願いなどない―――いや、一つだけなくは無いが、それは聖杯に願うことではない。
彼女には、このたった7騎からなる戦争に挑む気概がそもそも欠けていた。

そもそもキャスターとは魔術師である。今回のキャスターは魔法使いに極めて近い、大魔術師と言って差し支えないレベルだが、それでも他のサーヴァントに比べると見劣りがする。キャスターとは、最弱の部類のサーヴァントなのだ。

従って、余程マスターが優れていない限り、直接他のサーヴァントと戦うことはほぼ敗北を意味する。なので、搦め手で凌ぎ切るしかない―――彼女の宝具はそれを可能とし得るのだ。

しかし、彼女を呼び出したマスターは、魔術師としても戦闘者としても小物過ぎた。

何故お前が出てきた、と彼女を責めるのみ。せめて三騎士が出ていれば、と嘆く。

これではどんなサーヴァントを呼び出したとしても勝てないだろう、と彼女はマスターに嬲られながら感じた。

手持ちのカードが弱いなら弱いなりの戦略を立てなければならない。さもなくば死ぬだけである。何せ、相手は自分などとは違う、本物の英雄―――殺しに特化した化物揃いであるのだから。

彼女はこんな小物と一蓮托生に死ぬのはごめんだった。たとえ、この身が魔力切れで消え果てようとも。

彼女はマスターに、サーヴァントを従え得る3回限りの絶対命令権、令呪を使い切らせた。そのために慣れない美辞麗句を揮い、その美貌と豊かな身体を使った。

そして自由になった彼女は、マスターを殺した。笑うしかない。自分は何のために呼ばれたのか。媚を使って、プライドを押し殺して、得られた結果は自分の消滅。

けして満たされない。分かっている。自分は裏切りの魔女。人並みの幸福など、望んではいけないのだろう。この手は、血に汚れている。

それでもただ一言、共に戦おうとさえ言ってくれれば。たとえどんな未熟者とだって戦えただろう。身体を委ねることにだって、屈辱を味わうことも無かっただろう。しかし、彼女が欲しいものは手に入ることはなかった。



かくして場面は冒頭に戻る。拠点を飛び出したキャスターは死に場所を求めて彷徨った。霊脈である寺に向かったのは、消えようとする身体に反する本能によるものか。

しかし、もう長くはない。足は言うことをきかなくなり、降りしきる雨の冷たさも感じなくなってきた。

最期は月くらい見たかったのだけど。

ふと思い、苦笑する。本当にままならない。何故、私なのか。何故私だけ―――





そして彼女は―――彼女達は



「そこで何をしてるの―――?」



運命に出会った。



[27600] 1月11日(金) 午前
Name: でぃがー◆13afe510 ID:e02f7f3b
Date: 2011/05/28 23:16
赤い空に黒い月。熱と痛み。不意に喪失感。

そして、地に満ちるは怨嗟。死ねしねシネ死ね―――


それが私の原風景。「ワタシ」が無くなって、「私」になったあの日。





1月11日(金)





「…っ、うぁっ」

意識が覚醒する。気分は最悪だ。とは言っても、目覚めが良かったことなんて、記憶に無いのだけど。

「ふ、うっ…」

力を入れて身体を起こす。身体はいつも通りに気だるい。

「寒っ、ストーブストーブ…」

正月も過ぎ、冬の寒さは佳境に入ってきている。この部屋、というかここの寺にはエアコンというものがないので、とっととストーブを入れないと凍死してしまう。いや、割とリアルで。



ちゃっちゃと着替えて食堂に向かい、肉っけのない食事を取って身支度を済ませる。
出来るだけ早く手を動かしているつもりだが、じつにのろい。むむむ、これでは待たせてしまうな。まあ、いつものことか。

用意を整えて、待ち合わせをしている山門に向かう。走ると持続的に減少している体力がさらに減るので、出来る限り急いで歩く。

山門にはすでに先客がいた。というか、こいつを待ったことがそもそもないな。

「ふむ、来たか。では行くとするか」

「ん、待たせたね」

そう言って歩き出したのは、柳洞一成。いわゆる一つの、幼馴染である。

彼は怜悧な顔立ちをしていて、眼鏡が実に似合う優等生である。好みじゃないけど。中身は実に堅物であり、離れにある私の部屋には自分から上がってきたことさえ無い。いや、来られてもなんもないけどさ。そんでもって、私たちが通っている穂群原学園の生徒会長でもある。

「今日は体調がよさそうだな。善哉善哉」

こいつは幼馴染だけあって、私の体調に敏感だ。まあ、散々目の前で倒れてるからな。

「まあ、ね。今日は天気も良いし、良い日になりそうだ」

この時は、そう思っていた。また平凡な日々が続いていくのだろう、と。



幼馴染同士ならではの容赦のない会話をしながら、学園までの道を進む。こんなに早い時間に家、というか寺を出るのは、山門から続く長い階段を下りるのに時間がかかるのと(主に私が)、一成が生徒会長であるためである。

別に生徒会長だからって毎日早く行かんでも、と思うのだが、この糞真面目な幼馴染は一日たりともその習慣を欠かさない。まあ、私も生徒会に所属しているので仕方なく付き合っているわけである。


「ん、あれは…」

「おお、衛宮か。おはよう」

学園近くで、見知った顔を見つけた。

「ああ、おはよう。一成、湖城。今日も早いな」

「おはよ、衛宮。いつものことだけど、悪いね、付き合わせちゃって」

「ああ、別に良いんだ。好きでやってることだしな」

目の前にいるのは、穂群原学園のブラウニーこと衛宮士郎。特徴的な赤毛に、朴訥とした顔立ちをしている。なんでも元弓道部員で、天才的な腕前を誇っていたらしい。なぜ辞めたのかはよくわからない。別クラスだったからそこまで交流なかったしね。それじゃ、なんでこうやって朝挨拶を交わしているのか、というと―――



「ん、ここの教室のだってさ。任せた」

「任された。それじゃ、分かってると思うけど―――」

「作業中は覗くなよ、と。まあ確かに集中力のいる作業だとは思うけど、そんなに人の目が気になるもんなの?」

たかがストーブの修理に一家秘伝の技があるわけでもあるまいし。

「いや、なんとなく、だよ。作業中は結構ぶつぶつ呟いたりして恥ずかしいしさ」

「ふむ、なら良かった。故障したストーブにしか興奮しないとかだったらどうしようかと。」

「なんでさ。そんな歪んだ性癖なんて誰が持てるんだよ」

「んー、ほら、凍死しかねない寒さをストーブに助けられた経験が快感に、とか?あ、そんな呆れた顔で見るなよー」

なんだか知らないが、衛宮は物を直すのが非常に上手い。今まで故障したストーブや運動部の機材を何個となく修理するのを目にしてきた…修理中の現場は恥ずかしいので見せたくない、という同級生の主張を守って実際修理に立ち会ったことはないが。

さらに、衛宮は修理の依頼を一切断らない。あまりにも自分の都合を考えていないようなので、一度何故か聞いてみたことがあったが、それが皆のためになるならそれでいい、とのこと。そのため、都合良く使われることも多いのだが、本人は嫌な顔一つ見せない。

元々一成のクラスメートだったそうなのだが、生徒会に修理依頼が舞い込むことが多く、困っていたところに衛宮が手を挙げてくれたと言う。ここまで来ると、こいつは聖人か修理に快感を見出す変態かにしか思えないのだけど…

「分かった、んじゃ生徒会室戻ってるから、終わったら来てね。熱いお茶でも御馳走しよう」

「おう。湖城の入れるお茶は美味いからな。楽しみだ」

「ん、楽しみにしとけ。じゃ後で」

まあ底なしの善人なんだろう。流石に結構世話になっている友人を変態扱いしたくないし。さてさて、美味いお茶でも用意しに行くか。


あ、そう言えばまだ名乗って無かったかな。私は湖城光(コジョウヒカル)。性別は女。死にぞこないのポンコツだ。

















あとがき

文章を書くって難しいですね。Fate自体もやったのが大分前だから一成の口調とか思いだせない…。

ここの文章が唐突だ、とか、繋がりがおかしい、等ありましたら、感想に書いていただけると助かります。


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