2002-10-29 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
先週の金曜日は、いつもなら「朝まで生テレビ!」の放送があるはずだったんですが、今回に限り放送日が11月8日(金)になります。お見逃しなく!
そして今日から、マレーシアのクアラルンプールで日朝国交正常化交渉が再開されます。現地に到着した北朝鮮代表団の鄭泰和(チョンテファ)大使が、テレビ朝日の取材を受けて“拉致問題は解決済み”と語るなど、早くも交渉難航のきざしが見られますが、日本政府の本音としては、何をおいても拉致問題の解決が最優先の課題でしょう。
国連やAPECの場で合意された核開発の停止要求については、後回しとは言いませんが、少なくとも、帰国した拉致被害者の家族を日本に呼び寄せることができるかどうか、目途が立ってからになりそうです。
さて、今日は北朝鮮問題をいったん離れ、みなさんにもぜひ考えてもらいたい問題を取り上げようと思います。
それは、日曜日に行われた統一補欠選挙についてです。議員の辞職や死去に伴う補欠選挙が、春と秋の年2回にまとめて行われるようになって4回目。今回は過去最多の7つの選挙区で補欠選挙が行われ、そのうちの4つが、「政治とカネ」の問題で議員が辞職した選挙区でした。
こうしたことから今回の補欠選挙は、小泉政権の信任を問う「準総選挙」とも言われていたのですが、驚いたことに、投票率が全選挙区平均で21ポイントも低下したのです。
なかでも神奈川県のニュータウン地区に広がる衆議院神奈川8区は33.7%、参議院の千葉選挙区にいたっては24.1%という信じ難い低投票率でした。
補欠選挙は、「通常の選挙に比べて関心が集まりにくい」、と言われていますが、ここまで低い投票率は前代未聞です。有権者のたった3割程度の意見しか反映されていない選挙結果を、国民の判断として認めてしまっていいものなのでしょうか?
投票率が極端に低くなってしまった理由としては、
○辞職した議員への支持が根強く、投票を棄権した支持者が多い
○辞職した議員が次回選挙への出馬を匂わせているため、今回の当選者が中継ぎになると考えられ、関心が薄れた
○「政治とカネ」絡みで議員が辞職しただけに、政治そのものへの不信がつのり、投票意欲を減退させた
などが挙げられています。
投票率の低さ、白票の多さは、現在の政権というより、政治そのものへの不満の表れ、と見ることも出来るでしょう。
確かに、投票してもしなくても、その結果は結局、私たちの生活に降りかかってきます。しかし、そこで考えて欲しいのは、不満があるのに、黙ってムスッとしているのと、口に出して表現するのと、果たしてどちらが望ましいだろうか?ということです。
少なくとも民主主義という仕組みは、一人一人が自分の考えを持っていて、それを表現することを前提にしているのではないか?と私は思います。そして、議会に代表を送り込む“議会制民主主義”を私たちが採用している限り、その不満も代表を通して表現するべきではないでしょうか?
みなさんはどう思いますか? 投票権を手にするまでに、じっくり考えてみてください。