えんため大賞ラストスパートレクチャー!! 第1回
そんなわけで初回の本日は質問がありませんので、ちょっと特別な話をしたいと思います。それは、『自分の作品が落とされている理由を知る』ということの重要さです。皆さんの中の多くの人が、何回もの投稿歴を持っていると思います。えんため大賞でも必要書類のエントリーシートの中に投稿歴を書いていただいていますが、初めての応募の人は少なく、やはり何回も各社に応募を続けている人が多数います。
でもなかなか最終選考まで残れませんよね。そこで今回は、1次、2次、3次などあなたがどの段階で落とされているのか、それによって気づくべき点をお教えしたいと思います。ただし、これはあくまでも一般的、もしくは、えんため大賞(ファミ通文庫)の場合、ですので絶対そうであるとは言えませんので、あしからず。

あなたに欠けているもの、それは客観性、それと分析力、あとは圧倒的に文章力です。
1次選考というものはたいがいのレーベルが"下読み"と称し、玉石混淆の応募作品をざっくりとふるいにかける段階です。つまり規格(企画)のサイズ(主旨)にあっていないものは審査しても無駄なのであらかじめ落としておこう、というのです。落とされる要因として考えられるのは、
・ライトノベルの賞にライトノベル向きではない作品を送っている。
・小説の形になっていない(シナリオ、戯曲、ノベライズなど)
・少年向け、少女向けの区別をできていない。
・物語が終わっていない。
・文章があまりにも下手。
・既存の作品の模倣である。
・古い。
などなど。
ちょっと厳しい意見ですが、もし毎回1次で落ちるというあなた。決定的な勘違いをしている可能性があります。または、もっと文章力を磨くことからはじめるなり、基本からやり直すべきです。また、本当に自分が作家になりたいのか、自信があるのか考え直してみる必要があります。もし初めての応募で1次で落ちた人は、上記のような点にあてはまらないかどうか自分の応募作品を見直し、次回への反省点としてみてください。

2次選考からは、レーベルによってだいぶ基準が変わってきますので、ファミ通文庫基準で言うと、ここでやっと"ライトノベルとして面白い"という当たり前の選考が行われることになります。ですので、2次選考で落ちるということは単純に"面白くない"のです。
小説としてまあまあの態をなしていても、ライトノベルの読者をひきつける魅力のあるドラマではないということです。ありがちなのが、
・売れている作品の類似品、劣化コピーである。
・完成度は高いが、今の読者に受ける内容ではない。古い。
・何もかもが平均的で凡庸。突出したところがない。
ということでしょうか。
2次選考で落ちるというあなた。あなたらしい作品、チャレンジ精神のある作品、目新しさをどう取り入れるかなどよく考えて、こんな物語は初めて読んだ、という作品を目指しましょう。売れている作品を多数読んで勉強することも必要です。自分に何が欠けているのかを探してみてください。

ファミ通文庫で言う3次選考は、最終候補作に何を残すかを決める審査です。最終候補作には、担当編集者もつくことになっていますので、ここで残すものというのは、将来作家としてデビューさせられる可能性があるかどうかを見極めることでもあります。
残念ながらここで落ちてしまう人は、本当に惜しい人です。
・そのときの編集部で欲しているジャンルの作品でなかった。
・ 他社の人気作とタイプが近すぎる。
・ フレッシュさに欠ける。
・ 一発屋っぽい(他の作品は書けなさそう)。作家としての将来性が見えない。
・ネタは面白い、斬新だが、小説としての完成度が低い。
など、だいぶ運も左右することがありますので、懲りずに努力をし投稿を続けることが一番ですね。いわゆる傾向と対策を練り、そのレーベルがこの先、どんな作品を欲しがっていそうか、自分なりに考えてみるのもありかもしれません。
その先は……。そのときの編集部の方向性と作品の相性もありますので、その作品が放っている輝き次第でしょうか。タイトルのインパクト、その作品の持つ勢い、作品を通して見えてくる書き手のモチベーションなどが、我々の狙いとぴったりあったとき、受賞作が生まれるのです。
以上、簡単ですが、段階ごとにありがちな欠点を上げてみました。今のあなたに、足りないものが見えましたでしょうか。
ぜひ、こんなことを踏まえたうえで、聞いてみたいこと、疑問に思うことなど、質問をお寄せください。できる範囲で編集部がお答えします。
(ファミ通文庫編集長)