東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉を冷やすための注水が行われているため、施設内にたまっている高濃度の放射性物質に汚染された水の量が増えています。今後の雨で、汚染水の水位がさらに上昇し、海や地下水に流れ出すおそれがあるとして、東京電力は注意深く監視しています。
気象台によりますと、福島第一原発の周辺では、前線や台風の影響で29日から30日にかけてまとまった雨が予想されています。一方で、福島第一原発では、原子炉を冷やすための注水が行われているため高濃度の放射性物質に汚染された水が出続けていて、トレンチと呼ばれるトンネルのたて穴の部分や汚染水の移送を中断している2号機と3号機のタービン建屋でたまっている汚染水の水位が上昇しています。28日午前7時現在、トレンチの水面から地上までの高さは2号機で57.6センチ、3号機で43.1センチとなっています。東京電力は、今後の雨でトレンチやタービン建屋などの施設にたまった汚染水の水位がさらに上昇し、海や地下水に流れ出すおそれがあるとして、注意深く監視しています。また、敷地内に飛び散った放射性物質が流れ出さないよう、東京電力は、敷地内の地面やがれき、それに原子炉のある建屋などに流出を防止する特殊な処理剤の散布を行っていますが、雨で作業は中断されています。雨の降り方によっては新たな作業が追加されたり、必要な作業が中断されたりして、事故の収束に向けた工程表のスケジュールに影響を与えることも予想されます。